マガジンのカバー画像

蟻を見つめていた頃

79
20年前に書いたエッセイ。一部加筆修正。 ★は2017年以降、新たに書き下ろしたエッセイ。
運営しているクリエイター

#学校教育

★人柄の善し悪しと仕事の能力

★人柄の善し悪しと仕事の能力

「あの人は性格が良くて仕事ができる」こんな人がいたら、文句のつけようがない。

普通の職場には「性格は悪いけど仕事はできる」人と、「性格は良いけど仕事はできない」人が多く存在する。

周りを見渡して見ると、日本人は、他人を判断するとき「仕事の能力」よりも「人柄の善し悪し」の方に重きを置いているのでないかと思われる。利害の伴わない友達同士ならばそれで良い。長く付き合っていく上で、最重要ファクターは人

もっとみる
★国語科教師の本分

★国語科教師の本分

国語科教育とは何か?私は、大学卒業以来30年間、国語教師として国語を子どもたちに教えてきた。国語を英語に翻訳するとjapanese。つまりは、中学生に30年間、日本語の授業をしてきたのである。

そして、今もって、「国語の授業は、他の教科に比べて、指導法があいまいで、教師の力量(教え方の善し悪し)に左右される」教科だなと感じる。数学や英語、理科、社会は、教師が変わっても指導法が180度違うというこ

もっとみる
★子どもに不適応な学校システム

★子どもに不適応な学校システム

子どもが不登校になるのは、子どもが学校に不適応を起こしているのでは無く、今の学校システムが、子どもに不適応だからであると感じています。

「学校は先生が子どもに勉強を教える場所」日本人なら誰でも知っている神話が、今崩れようとしている。子どもたちが学校から去り始めている。

学力重視の日本の教育機構。その中にすっかり組み込まれて歯車と化した教師、原動力となる親の期待。今の学校は、正に秀才製造機と呼ぶ

もっとみる
★教師の雑談力

★教師の雑談力

教師には営業マンと同じくらいの雑談力が必要であると私は考えています。教師が毎日行う授業。学習指導要領に基づいて作られた教科書がありますから、その内容を解説しつつ進行して行くのが授業のセオリーなのは言うまでもありません。しかし、教科書しか教えない教師は子どもに好かれることはありません。

私が高校生の時、林田(はやしだ)先生という初老の男性教師が地理を教えていました。林田先生は、全く抑揚のないイ

もっとみる
★教員採用試験の倍率が下がるということ

★教員採用試験の倍率が下がるということ

団塊世代の大量退職期に伴って、10年ほど前から大都市圏では新規教員の採用数が増加している。東京都の小学校全科で見ると、毎年1300人前後の採用数で、応募者数に対する採用者数倍率は3から4倍で推移している。30年前は約10倍。比べるまでもなく低倍率である。東京都では、教師養成塾と称して優秀な教員志望者を大学4年生から青田買いする施作を実施しているが、焼け石に水である。

教員採用試験の倍率が下が

もっとみる
★学校はこんなとこ

★学校はこんなとこ

はじめに

「学校に行ったら先生の言うことをよく聞くのよ!!」
私が小中学生を過ごした昭和時代、母親は登校する我が子の背中に向かって、そう呼びかけた。
昭和の親にとって、学校は、子どもを預けておけば、勉強を教えてもらって我が子が賢くなり、さらには、集団生活をすることにより聞き分けが良くなる、つまり、しつけまできっちり叩き込んでもらえる場所であった。また、子どもたちも、学校は毎日行くべき場所であ

もっとみる
★「楽しく生きる」か「楽に生きる」か

★「楽しく生きる」か「楽に生きる」か

皆さんは、「楽しく生きていますか?」と質問されたとき、自信を持って「はい!」と言いきれるだろうか。

私の周りの多くの人は、「本当は○○がやりたいのだけれど、それでは食べていけないので、何となく今の仕事を続けています」と答える。つまり、「楽しく」生きるよりも「楽に」生きる道を知らず知らず選択している。あるいは、選択しなければ生きていけないと、思い込んでいる。

彼らに「人生やりたいことをやって生き

もっとみる
多数決の恐怖

多数決の恐怖

★この文章を書いてから20年。全く進歩が感じられない世の中に愕然とする。先日行われた衆院選。多数決が出した結果は、前政権の継続である。私はこれが最良解であるとはどうしても思えない。

無関心は民主主義を麻痺させる。投票率が50%に満たない選挙では真の民主主義は機能しない。政権与党はそれが分かっていてあえて何も手を打とうとしない。60年、70年安保の時代。多くの大学生が政治に反発して行動した。今より

もっとみる