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#短編小説
宝くじ魔法学校 #毎週ショートショートnote
「ちっ。今日も当たらなかったか。」
男は、手に持った夢の跡をビリビリと破いて、ゴミ箱に捨てた。
数年前に「宝くじ魔法学校」が出来てからというもの、普通の人は殆ど宝くじに当選しなくなってしまった。
しかし、男にとって、宝くじは生きがいだ。そう簡単に辞めることは出来ない。
「1等が当たれば、今の仕事ともオサラバできるんだけどな。ガキの頃に宝くじ魔法学校がありゃあなぁ。」
宝くじ魔法学校に入学
失恋墓地 #毎週ショートショートnote
『探さないでくれ』
突拍子もないメッセージを受信したツバサはため息をついた。
「またか……どうせあそこだろうな」
文句を口にしながら、大きなシャベルを手に家を出る。向かった先は墓場だ。
ツバサは中に入り、立ち並ぶ墓石を一つ一つ確認しながら歩いた。
「坂口……坂谷……アキ。ここだな」
探していた名前を見つけたツバサは、持ってきたシャベルで、墓石の前のまだ柔らかい地面を掘った。地面の下からは
大増殖天使のキス #毎週ショートショートnote
「神様ぁ! もう限界です! 早く増員してくださいよぉ!」
「まったく、やかましいのう」
あまりの激務の連続に耐えかねた私は、天使業務の合間に、神様に文句を言いに来ていた。
「神界はどこも人員不足なんじゃ。わがままを言うでない」
「そんなこと言ったって、もう人間増えすぎて私一人じゃどうにもなりませんってば!」
「でも、お前ら新しく創るの大変なんじゃよなぁ。ほら、ワシってば、ゲームのキャラクリで
秘密警察を宣伝してみる #毎週ショートショートnote
「パパは秘密警察で、日本を守ってるんだぞ。 凄いだろう!」
休日の男は、誰にも打ち明けてはならないはずの秘密を、今年の春、小学校に入ったばかりの娘へ打ち明けていた。娘にかっこいい所を見せたいという見栄は、規則には勝てなかった。
「パパすごい! おうえんしてあげるね!」
娘はきらきらとした表情で、画用紙に何かを書き始めた。そこには、可愛らしく描かれた父親の似顔絵と、習ったばかりのひらがなで、応
最後のマスカラ #毎週ショートショートnote
「ウチもここまで、か……」
亜美はビルの屋上へ逃げ込んできていた。閉めた扉も内側からガンガンと殴られていて、長くはもちそうにない。
街中がゾンビで溢れた、あの最悪のパンデミックから命からがら生き残ってきた彼女も、もう限界が来ていた。ここが自分の死に場所だと悟った。
体中傷だらけの彼女は、残った体力をふり絞り、肩にかけた小さな鞄から、鏡と、探索中唯一手に入れられた化粧品のマスカラを取り出し
告白水平線 #毎週ショートショートnote
「ねえ、ウミガメのスープって知ってる?」
下校中、綾は幼馴染の圭太にそう話しかけた。
「ああ、水平思考ゲームってやつだろ? YESかNOで答えられる質問で状況を絞り込む、みたいなの」
「それそれ。私さ、問題考えたから、やってみない?」
「すごいじゃん。いいよ」
「じゃあ、問題。アヤはケイタと遊んでいると、胸が苦しくなります。なぜでしょう」
圭太は、少し焦った様子を見せながら質問を始めた。
「
鳥獣戯画ノリ #毎週ショートショートnote
「ぎゃー!」
目眩がしてぼーっとしていたところに、悲鳴が飛び込んできて目が覚めた。悲鳴が聞こえた方に目をやると、そこには、等身大のカエルがいた。
「ぎゃー!」
俺も思わず悲鳴を上げてしまった。その声でまた向こうも悲鳴を上げた。
――悲鳴のラリーが3回ほど続いたところで、向こうの口から聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「あれ、も、もしかして、シンジ?」
「その声は……コーちゃん!?