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見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

2021年から実施している「見る場所を見る」の第4弾(8月開催の「2+」を含む)となる展覧会「見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」を、2023年12月21日(木)から26日(火)にかけてGallery そらで開催します。三ヵ年計画としてスタートしたこのプロジェクトもいよいよ最終年度。今回、倉吉と郡部のリサーチを行ったことで、当初からの目標だった鳥取県全体の映画館とレンタルビデオ店の開閉館年表も一旦完成させることができそうです。年末の慌ただしい時期の開催となりますが、ぜひともお越しください。

見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

日時:2023年12月21日(木)〜12月26日(火)
   10:00〜18:00(最終日は16:00まで)

会場:Gallery そら
  
(鳥取市栄町658-3 駅前サンロード/TEL 0857-29-1622)
企画:佐々木友輔杵島和泉(テキスト・年表)、Clara(イラスト)

かつては鳥取にも数多くの映画館やビデオレンタル店があり、人々に親しまれてきました。しかしそうした「見る場所」の記録はほとんど残されておらず、外観写真なども僅かなため、在りし日の記憶は急速に薄れつつあります。そこで私たちは、「鳥取の映画文化」をテーマとする展覧会の開催を通じて、眠っていた記憶を蘇らせ、人々と映画との関わりを見つめ直すプロジェクトを開始しました。第3弾となる今回は、鳥取県中部の倉吉市と郡部にあった映画館とレンタルビデオ店を調査し、鳥取で活動するイラストレーターClaraによるイラストで再現します。また過去の展覧会でご提供いただいた資料を活用し、鳥取市内の映画館フェイドインで行われていたレイトショーに関する調査研究の成果報告も行います。

第1部:イラストで見る、倉吉市内・郡部の映画館&レンタルビデオショップ史

戦前の倉吉では、1920年に芝居小屋から常設映画館になった旭座、1925年開館の日本館、芝居小屋の寿座の三館が、長らく映画興行を行なっていました。戦後には、有楽座や冨士館、えいらく館、倉吉東映と次々に新たな映画館が開館。旧倉吉駅と白壁土蔵群周辺の歩いて回れる範囲内で様々な映画を楽しむことができました。他方、郡部の映画文化は市内と比べて圧倒的に情報が少なく、全容解明は困難ですが、表向きは養蚕場として建てられた映画館や、全国的に注目された視聴覚教育ライブラリーなど、興味深い記録が残されています。本展示では、これらの映画館およびレンタルビデオ店の資料調査を行い、Claraのイラストによる記憶の復元を行います。(企画:佐々木友輔、Clara)

Clara(クララ)
鳥取県鳥取市生まれ。イラストレーター。鳥取県総合情報誌「とっとりNOW」の表紙をはじめ、鳥取市地域振興券のイラストや全国高校生手話パフォーマンス甲子園の募集チラシ、猫カフェ「Kitty Blue」の壁画など手がける。また、鳥取の皆さまにより多くの映画を楽しんでいただきたいという想いから、2017年に映画の自主上映団体「クララとクロダのひょっこりシネマ」を始める。

佐々木友輔(ささき・ゆうすけ)
1985年兵庫県神戸市生まれ。映像作家・企画者。鳥取大学地域学部准教授。映画・ドキュメンタリー制作を中心に、執筆・出版、展覧会企画など領域を横断した活動を続けている。近年の主な上映に、福島映像祭2020、第13回恵比寿映像祭、第50回ロッテルダム国際映画祭、第20回リスボン国際ドキュメンタリー映画祭、Experimental film culture vol.5 in Japan ~ポレポレオルタナティブ~など。

第2部:夜は寝るもの?──映画ファンの「ハレの場」としてのフェイドイン・マンスリーレイトショー

鳥取市内で長い歴史を持つ映画館・世界館が「シネマスポット フェイドイン」として新築オープンしたのは1991年のこと。同時期に続々と開業したレンタルビデオショップと共存し、常に新時代の要求に応える映画館を目指して、自宅では味わえない特別な時間を過ごせるようなイベントが企画されていました。本展示では、フェイドインが行っていた「マンスリーレイトショー」を中心にして、スクリーンを見つめる夜が映画ファンにとっての「ハレの場」になっていたことを明らかにします。(企画:杵島和泉)

杵島和泉(きしま・いずみ)
2001年佐賀県生まれ。2020年4月鳥取大学地域学部国際地域文化コース入学。鳥取県の映画館で発行された映画館プログラムや地方新聞記事等のノンフィルム資料に注目した調査研究を行っている。アーカイブやフィルム上映にも関心を持ち、地域資料の整理や映写補助の活動にも取り組んでいる。

関連企画:オンラインゲストトーク「失われた風景を求めて──断片的な記録と記憶の復元を考える」

日時:2023年12月23日(土)17:00〜19:00
登壇者:佐藤洋一(早稲田大学教授)、佐々木友輔(本展企画者)、杵島和泉(本展企画者)
 
会期中、都市形成史および都市空間における映像表現を専門とする研究者の佐藤洋一さん(早稲田大学教授)をゲストにお招きしてオンライントークを行います。佐藤さんは米軍が記録していた占領期日本の膨大な写真の収集を行い、戦後の東京の都市空間を浮かび上がらせる試みを続けてきました。そこでこのトークでは、佐藤さんの調査研究および「見る場所を見る」が実践してきたイラストレーション・ドキュメンタリーの取り組みをそれぞれ紹介した上で、断片的な記録からいかにしてかつての都市文化や人々の営みを想像・再現することができるかを議論します。

佐藤洋一(さとう・よういち)
早稲田大学社会科学総合学術院教授。1966 年生まれ。博士(工学)。都市史、ビジュアルアーカイブ。著書に『図説占領下の東京』(河出書房新社)、『米軍が見た東京1945秋──終わりの風景、はじまりの風景』(洋泉社)、『占領期カラー写真を読む』(衣川太一と共著・岩波書店)『戦後京都の「色」はアメリカにあった!──カラー写真が描く《オキュパイド・ジャパン》とその後』(共編、京都府京都文化博物館)。

参加方法

オンライン実施となります。講座開催前日24:00までに、以下の参加申込フォーム(Googleフォーム)からお申込みください。ご記入いただいたメールアドレスに、Zoomのリンクアドレスをお送りします。

https://forms.gle/feda8KHN1VqL5V6L7

あなたの「記憶」をお聞かせください

鳥取の映画館やビデオレンタルショップについて覚えていることや、印象に残っている映画体験について、ぜひ皆様のお話をお聞かせください。記録写真や資料などの情報提供も大歓迎です。以下の方法を用意しています。

  1. アンケート
    展覧会場にアンケートを記入・掲示するコーナーを設けます。


  2. メール・お手紙等
    以下の宛先まで情報をお寄せください。必ず返信可能な連絡先とお名前をご記載ください。
    メール|sasakiyusuke@tottori-u.ac.jp(佐々木友輔)
    お手紙|〒680-8551 鳥取県鳥取市湖山町南4丁目101
    鳥取大学地域学部 佐々木友輔 宛


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