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中国駐在時に気をつけた多国籍コミュニケーションのtips


身の上話ですが、ちょっと前まで中国でいわゆる駐在員というものをやっておりました。

それまで仕事の時は「コミュニケーションとかどうでもいいわ」と思ってたけど、いざ海外現地法人に行くと単なる意思疎通ミスが仕事のボトルネックになってるケース(駐在あるある)をあまりに多く見てきたので、正しく共通理解を作りコトを早く進めるという意味でコミュニケーション超大事だなと思うようになりました。

ということで今日は語学力以外の観点で「多国籍でのコミュニケーションってこの辺で齟齬が起きやすいよね」「こうすると割とスムーズに意思疎通できるよね」みたいな話を書きます。

ちなみにこれを書いてる僕の経歴は以下の通り。

●留学経験なしのいわゆる純ジャパ。就活では「ぐろーばるなしごとがしたいです」の呪文を壊れた機械のように唱え続ける。
●日系メーカーに新卒入社のまま10年以上の温室栽培。
●営業としてアジア圏現地法人と仕事 → 中国駐4年 → PMとして全エリア現地法人と仕事。

ということで、Theオールドエコノミーの構成員がN=1経験則で「多国籍コミュニケーションこうやると上手くいくんじゃない(テキトー)」を思いつくままに書いていきたいと思います。



とにかく視覚化する

最初に元も子もないことを言うと、根本的に言語ベースでのコミュニケーションを信じすぎない方が良い。

英語がビジネスの共通言語になった結果、多くのケースでお互い非ネイティブ同士が英語で会話を続けることになったのが現代社会。お互い第二言語で会話して齟齬が出ないわけがない。

なので、言語だけで意思疎通できると最初から思わず、チャートなりフレームなり準備して同じ絵を見ながら「今ココの話しとるで」「今日答え出したいのはコレやで」と議論の範囲をある程度固定すると、明確な合意に辿り着きやすい。

自分も中国駐在時代は打ち合わせ前には簡単なスライド1~2枚用意するか、5分前くらいに会議室入ってホワイトボードに殴り書きしてから打ち合わせに入ることが多かった。(チャートでなくテキストだけ書いておく場合もあったけど、それでもただ口頭会話するよりは同じ何かを見て話した方が遥かにミスコミュニケーションは減る)


Yes/Noの分岐で会話する

一般的にクローズドクエスチョン(Yes/No回答になる質問)よりも、オープンクエスチョン(自由回答できる質問)の方が議論を活発にさせると言われる。

ただ、お互い第二外国語である英語でオープンクエスチョンの議論をやると空中戦になりやすい。言葉の定義や認識を合わすのにかかるコストが無駄に高くなるためだ。

空中戦を防ぐには、最初はクローズドクエスチョンを多めにして「あなたの言ってることってコレで合ってる?」「AとBどっちがいいと思う?」とYes/Noの分岐である程度の粒度まで論点を小さしてから、必要に応じてオープンクエスチョンを混ぜていく方がこれまた合意に早くたどり着ける。(その分セレンディピティはなくなるが、僕はそれで良いと思ってる)


「利用価値があるやつ」と思われる

ビジネスにおける信頼関係は基本的には以下どちらか。

●ウェットな信頼関係
こいつは良い奴。ナカーマだ。

●ドライな信頼関係
こいつは良いアウトプット出す。協力しておくと自分も得しそう。

んで、
残念ながら人間の信頼関係は相性ではなくシンプルに接触頻度に依存することは既に証明されているので、物理的に距離のある本社と海外現地法人のスタッフがウェットな信頼関係を築くことはほぼ無理と思った方が良い。(厳密に言えば、出来るけど時間とコストがかかる)

であれば、目指すのはドライな信頼関係だ。
しっかり自分の価値や貢献しどころを見せてこいつは利用価値があるな、むしろこいつと協力すると自分の人事考課(=給料)にもメリットありそうだなと思ってもらえればベスト。

具体的にやることは極めて地味だが「即レスする」「リクエストには(それが本質からずれてようが)一旦答える」「質の高いアウトプットを出しそれを明確に伝える」など。

やっぱり最初はひたすらGIVEという基本原則を忠実に実行して信頼貯金を貯めておくと、相手も協力してくれるようになる。感覚的にはこういうの積み重ねとけば1ヵ月くらいで信頼は得られる。


Whyはちゃんと伝える

多国籍コミュニケーションは「お互いが完璧には分かり合えないこと」が前提になる。その意味で、何かを伝えたかったらやりすぎなくらいローコンテクストに、Why → What → Howのような伝え方をしておくと理解を得やすい。

特にWhy(なぜそれをやるべきか)の納得感は実効性を高める上ではめちゃくちゃ重要で、ここがシンプルなほど良い。
本社で議論されてる抽象度の高い言葉や三段論法のようなものは避けて「だってこれやると売上あがるっしょ!」くらいシンプルにWhyを説明できるのが理想。

英語でWhyを明確に説明しきれないようであれば、それは本社でしか通用しない理屈と思って最初から依頼しない方が良いと個人的には思う。


多分伝わったかな、は伝わってないので再確認する

英語での会話になると「あれ、今言ったことちゃんと伝わったかな…」と思うケースというのはお互いに起こる。

で、経験則的にはこういう場面をスルーしてミスコミュニケーションになってるケースは結構多い。

実際には伝わったのかなという違和感は持ってるのだけど、そこで意思を持って止める胆力を持たないと、伝わってるだろう(実際には伝わっててくれという願望)でスルーしてしまう。

相手が相槌を打っていようがYesと答えていようが、気になったら一度止めて「ここまで話したことって伝わってる?何か意見ある?」と確認した方がボタンの掛け違いは防げる。


自分の英語のレベルは先に伝えておく

最後。
超基本的なことだけど例えばVCとかやるのであれば冒頭に自分の英語のレベルを先に伝えておくと良い。

自分の場合は非ネイティブの英語は聞き取れるけど、ネイティブの英語は聞き取れないというレベルなので、アメリカやイギリスとのVCで初めましてのメンバーがいる際は「ネイティブの英語は早すぎて聞き取れんのでゆっくり話してくれ」と冒頭に伝えることが多い。

相手も伝わらないと困るので、ちゃんと伝えておけば手加減して話してくれる。

聞き取れなければ流さず質問しよう。中学で習った伝説のぱーどぅん?を使うチャンスはすぐそこだ!



以上。

人生においてコミュニケーションは目的そのものだけど、
ビジネスにおいてコミュニケーションは手段レイヤーだなと思います。

んで、手段にはある程度の解があることが多いので、わりとこういう小手先で改善できるんじゃないかなぁという感じはしますね。


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