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名作 『グレート・ギャツビー』 スコット・フィッツジェラルド

1925年に発表された小説でアメリカの大手出版社ランダムハウスのモダンライブラリーの選ぶ20世紀最高の小説の2位に選ばれていて、アメリカの学校の教科書などにも取り上げられるような作品らしい、『グレートギャツビー』を今更ながら読みました。

あらすじは書きませんが、裏表紙の内容紹介を下に記します。

豪奢な邸宅に住み、絢爛たる栄華に生きる謎の男ギャツビーの胸の中には、一途に愛情を捧げ、そして失った恋人デイズィを取り戻そうとする異常な執念が育まれていた…..。第一次世界大戦後のニューヨーク郊外を舞台に、狂おしいまでに直向きな情熱に駆られた男の悲劇的な生涯を描いて、滅びゆくものの美しさと、青春の光と影が漂う憂愁の世界を華やかに謳いあげる

自分用のメモのようなものですが、名作なので今更かもしれませんが一応ネタバレをしないように、この作品のエッセンスが詰まった上記の内容紹介に沿ってこの作品の世界を紹介します。

「絢爛たる栄華に生きる」
このお話の舞台は1920年代、第一次世界大戦の終戦後、アメリカにおけるアフリカ系アメリカ人のアートや文学、音楽の全盛期である「ジャズエイジ」もしくは「ハーレム・ルネサンス」として知られる時代ですね。好景気、自動車やラジオの発達、証券取引が盛んに行われ、ニューヨークの摩天楼ができてきたのもこの時代です。そこでは発展する東部アメリカでアメリカンドリームを実現した、もしくはしようとする野心的な人間が溢れていました。この小説の中でもそんな自由で美しい雰囲気を感じ取ることができます。

「滅びゆくものの美しさ」
一方で1920年はいわゆる禁酒法が制定されました。禁酒法下では飲酒事態は禁止されていなかったものの、製造・販売・輸送が禁止されていました。そこでパーティで盛り上がる成り上がりのものもいれば、賭博や詐欺まがいの仕事も横行するような裏稼業もありふれていたようです。そんな煌びやかな世界とは対をなし、もたれかかるように発展した退廃的な世界も当時の社会の雰囲気と言えるでしょう。

「青春の光と影が漂う憂愁の世界」
世間的にはアメリカンドリームの体現者とも言える、貧しい立場から成り上がった主人公のギャツビー(この過程も少し怪しさを孕んでおり、退廃的な雰囲気の象徴とも言えると思います)の直向きな愛がこの小説の肝要であります。一方で、終戦の安心と経済や世界情勢の不安定さという二面性からくる一時の栄華と退廃、虚無感が節々に現れています。当時の、そしてギャツビーの周りの人間の、散財や消費、俗物的な人間関係を追い求めるデカダンスな思想が、ギャツビーにおけるアメリカンドリーム=ある女性との一途な愛に対して「光と影」とも言えるコントラストをもたらしているように思います。

このような時代背景の元に書かれた、友情と愛の物語、そしてフィッツジェラルドの筆致によって描き出されるジャズエイジの華麗であり俗物的な雰囲気、そしてそんな世界への嫌悪、時にはアメリカンドリームを掴んだ若者への好意や尊敬といった対照的な感情も表現されているように思います。

ジャズエイジについて調べながら当時の雰囲気を思い浮かべつつ読みましたが、名作と言われるだけあって、面白かったです。



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