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データで分かる!?地方に未経験デザイナーが入れる会社はあるのか?

「未経験からデザイン会社に入りたい!でも地方だと全然見つからない?!」
デザイナーを目指してる人から、よく相談をもらう内容です。確かに、都市部にかなり偏っている業種です。
なので、ある地方で未経験者にとっては「会社は無いに近い」のは現実としてあると思います。ただ「地方」と言っても幅広すぎるし、デザイナーは結構いろんなタイプの企業で働いています。

そこで、今回は公開データの数値から、地方での就職状況を分析しました。また、補強資料として、現役デザイナーにもアンケートをとってみました。
日本人の多くは地方に住んでいます。デザイナー目指す人は、この辺の事情を知っておいて損はないと思います。

書いてる人の紹介

地方都市(札幌)出身ですが、デザインの仕事はほぼ東京都内で行ってきました。あと、毎月10人ぐらいのデザイナー志望の就職相談に乗っています。その中で地方在住者は多いです。
また、デザイン制作会社、広告代理店、メーカーのインハウス、デザイン会社の経営などいくつかの立場でデザイナーの採用を担当してきました。

現在は、地方に本社があり、都内に営業所のある某メーカーで採用戦略の担当もしています。
地方と都心の両方で採用活動を行なっており、それぞれで採用の難しさを感じる日々を過ごしています >_<

調査データ1:Indeedの就職件数

就職情報の検索エンジン的な位置付けになっている「indeed」のデータ。

調査概要

  • 各地域で「デザイナー」求人検索した件数を使用

  • アクティブ性の強い、14日以内の求人情報に絞って集計

  • 調査期間 2023年4月23日(例年求人がかなり多い時期)

調査対象

  • 10大都市での採用状況

  • 政令指定都市での採用状況

  • 県庁所在地での採用状況

調査データの中で、10大都市の結果を紹介します。
これを見ると、デザイナーの募集は東京に偏っているのがわかります。東京と東京以外の10大都市の募集件数を比較すると一目瞭然ですね。
数値から考えると、デザイナーの採用に関しては「東京以外は地方」と考えた方がよさそうです。。

算出方法:indeedで14日以内に掲載のアクティブ求人数。毎年求人の多い4月の調査データ。

※本調査は、2023年4月23日にindeedで実施したものです。また「デザイナー」での求人検索のため、さまざまな分野のデザイナーが含まれた数字となります。

※参考情報 東京都内のデザイン求人の内訳
・グラフィック 2,770件
・WEB 5,798件
・2D 499件
・3D 2,167件
・プロダクト 313件
・インテリア 549件

求人数の出典:indeedで14日以内に掲載のアクティブ求人数。毎年求人の多い4月の調査データ。

indeedを選んだ理由

さまざまな採用媒体を運用していますが、その中でもindeedは最大の情報量があります。特にデザイン系の会社は小企業も多く、初期費用が高いリクルート系のサービスよりもデザイン系の情報が多いのが特徴です。

調査データ2:地方のデザイナーにアンケート

デザイン会社は地方にどのぐらいあるのか?東京大阪の二大都市以外の現役デザイナーに回答をお願いしました。
また、デザイナーが把握しやすいいわゆるデザイン専業会社に絞っています。

アンケート概要

  • 対象:東京大阪の二大都市以外に在住の現役デザイナー

  • 内容:在住都道府県内で、定期採用する規模のデザイン会社の数

  • 範囲:10社程度、30社程度、50社程度、100社以上

  • 有効解答:211

    ※アンケートの有意性を示す検定に通るには500ぐらい欲しいところです。地方デザイナーの母数(多分5万人ぐらい)とクロス集計をしない単純なアンケートであれば、経験上200程度でも十分使えると判断しました。

アンケートの結果と見方

結果として10社以下が6割です。
これは、東京大阪の二大都市は別格として、多くの地方にはデザイン会社があまりないことを示しています。
ただ、デザインができる会社は、デザイン会社だけでないです。印刷会社のデザイン部や地域の広告代理店、事業会社でも質の高いデザインを行ってる所はあります。

デザイナーを採用する企業の種類

  • デザイン会社:WEBやグラフィックなどのデザインを主に行っている企業

  • 広告代理店:媒体の扱いがメインだが、社内製作部がある場合も。制作物の種類は多い

  • 印刷会社:印刷がメインの会社。制作部を持ちグラフィック系のデザイナーが在籍していることが多い。

  • 事業会社:メーカーなどの社内制作部。デザイナー数人のことが多く、デザインからコーディングまで守備範囲が広い人向き

デザイン会社以外にもデザイナーを採用する会社は結構あります。なので会社数については2〜3倍ぐらいで考えると、ちょうど良さそうです。
ただ、未経験の人にとっては、6割の地方では「会社はないも同然」に見えると思います。理由は以下

6割の地方では、会社はないも同然の理由

6割の地方での求人数の推定

  • デザイン会社数:10社程度

  • デザイナーが在籍する会社:30社程度

  • 制作部規模:5人〜10人

  • 応募頻度:2年に1名は入れ替わりがある

  • 未経験を対象:5社に1社

デザイン会社が10社だとして、印刷会社や代理店などを含め3倍の30社程度は、デザイナーが在籍する会社があると仮定します。
また、2年に1回採用するとすると、採用枠は年間15人。地方ほど即戦力要望は強いので、未経験を対象にするのは2割ぐらい。
なので、県内では年間3名の枠を争うことになります。この状況で、就職活動をするのは現実的ではないでしょうね。

調査結果1:
10大都市での未経験デザイナー採用可能性

東京以外の10大都市ではデザイナーの募集は多いです。特に、大阪、京都、神戸が通勤圏内で合計すると1000件近い求人が出ています。やはり京阪神は強いですね。
未経験者の採用意向ですが。都市圏では転職する人も多いです。なので、3社に一社は未経験でも検討すると思います。

調査結果

算出方法:indeedで14日以内に掲載のアクティブ求人数。毎年求人の多い4月の調査データ。
各都市の人口は2010年国勢調査

10大都市圏での総論

このエリアに住んでいる人は、未経験でも地元で就職するのは十分可能です。ただし、未経験可という募集をしている会社わずかです。ポートフォリオなどを整えて、経験者求人にも挑むのがおすすめです。スキルがある程度あれば、検討されることは少なくないです。
また、さいたま市、川崎市、横浜市の人は、都心が通勤圏内。東京での就職の方が選択肢は広がると思います。

調査結果2:
政令指定都市での未経験デザイナー採用可能性

10大都市以外の政令指定都市を人口の多い順から調査しました。このエリアは、周辺にも大きな都市がある所が多く、人材の流動性も高いと思います。
なので、未経験の採用もある程度は行われると思います。

調査結果

算出方法:indeedで14日以内に掲載のアクティブ求人数。毎年求人の多い4月の調査データ。
各市の人口は2010年の国勢調査データ

政令指定都市での総論

地域により結構ばらつきが出ています。仙台市や千葉市ではデザイナーの求人が60件以上と多いです。このエリアは10大都市と同等ぐらいの状況だと思います。
また、都心部に近い都市も多く、未経験の採用もある程度はありそうです

ただ政令指定都市でも、浜松や北九州は募集が20件前後です。未経験の採用はなかなか厳しそうです。

調査結果3:
県庁所在地での未経験デザイナー採用可能性

人口が50万人以下の政令指定都市のなかで、広域エリアの代表的な都市を選抜して調査しました。
このタイプの街だと、経験者採用により重きが置かれると思います。なので、未経験者を採用するのは2割程度だと想定します。

調査結果

算出方法:indeedで14日以内に掲載のアクティブ求人数。毎年求人の多い4月の調査データ。
各市の人口は2010年の国勢調査データ

県庁所在地での総論

結果として金沢以外の都市では10件前後のところが多いです。
仮に2割程度の未経験採用率と考えると、稀にしか採用枠がない状態です。このエリアで未経験の就職はかなり難しいですね。

まとめ

募集がない地方だと引っ越しも必要?

今回は都市を中心に、年間でも募集数の多い4月に調査をしました。
デザイナーは、昔から大都市に偏った職業です。ただ、数値を見るとより集中が進んでいるように思えます。東京か京阪神などの政令指定都市じゃないと、未経験者が就職するのは難しいですね。

人口が50万人近い県庁所在地でも、デザイナーの募集は10件未満のところが多い状態。。
あと、地方は自動車生活圏が多く、同じ県内でも遠すぎて通えない場合もあると思います。さらに郊外に住んでいると、未経験者にとっては「募集は無いも同然」は言い過ぎではないですね。この辺は、現役デザイナーへのアンケートで「6割の都道府県では募集が無いも同然」という結果ともあってます。
つまり、努力だけでは解決できない環境も少なくないですね。
リモートだったら場所は関係ないのでは?という見方もあります。自分の採用経験でも、地方在住のデザイナーをリモート採用してるので、経験者には当てはまります。

ただ、デザインは身体性の高い職業なのもあり、未経験からリモートは無理があります。
しかし、採用面談まではリモートのところが増えています。本気で目指す人は、採用された後に引っ越すことも視野に入れると選択肢が増えると思います。

実家を離れられない、家族が反対するなど、いろいろな事情もあるでしょう。
ただ、プロを目指すには何かを犠牲しないといけない、そういう所もある職業です

地方の独自媒体も探してみよう

都心と地方の両方で採用活動をしていて感じるのが、採用媒体の違いです。今回indeedの数値を紹介ているのは、色々な求人媒体を活用してきた中で最も情報量が多いからです。(小企業の多いデザイン分野では特に)
ただ、地方だと紙媒体での求人もまだ強かったり、東北や九州などエリアで強いネット媒体もあります。
地方独自の取材力がある所も多く、会社紹介なども結構きめ細かくしてたりします。
なので、地方系の採用情報にあたってみるのもオススメです。

地方と中央のレベルの差は今やあまりない

20年ぐらい前は、大都市圏と地方のレベル差は結構ありました。これは資料などの情報が紙ベースで、物理的に地方にはなかったのもあると思います。
ただ、ネットが中心の時代になって、情報格差はほとんどなくなりました。
なので、地方でもすごいデザイナーはたくさんいます。
ただ、調査にも表れていますが、地方は個人事務所も多くて就職先として限定的です。

地元にこだわりのある人もいると思います。そういう場合は、都市圏で修行をしてから地元に帰るのという選択肢もあると思います。



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