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shino
2018年2月27日 19:27
踵の吐き潰した上履きを脱ぐと、白い靴下に穴が空いていた。またやってしまった。下駄箱のスチール扉を開きながら、芋虫のように飛び出た小指を見下ろす。部活終わりで火照っているせいだろうか、薄暗くなった昇降口の床はやけにひんやりとしていて、触れたそこだけ気持ちよかった。「あのさ、依子」 すぐ横で液体の跳ねる音がした。顔を上げると、モカの胸元があった。小学校、いや中学生まではあたしの方が大きかった
2018年2月26日 21:13
ドン、と肘でグラスを突いてしまった。並々と注がれていたワインは振り子のように大きく波立ち、底に敷かれていた白いナプキンをべちゃりと汚した。赤い染みがあっという間に広がっていく。先まで浸されたのを浅い息を漏らしながら眺めていると、右隣りからおしぼりが差し出された。「……ありがとう」 笑みを浮かべ、端の方を摘まんで受け取った。おしぼりがナプキンの上に垂れて落ちる。「どういたしまして」