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土木設計者向け構造計算支援

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記事一覧

断面について ~木構造のための構造力学~6

目次 第1回 計算書を読んでみよう 第2回 力のつりあい 第3回 モーメントとは? 第4回 反力 第5回 応力 第6回 断面について(今回) 第7回 図心・断面一時モーメント 第8回 断面二次モーメント 第9回 断面係数 第10回 許容応力度  応力までは、表現は線でしたね。でも実際は木材でも鉄骨でも鉄筋コンクリートでも太さを持ちます。構造ではこの太さのことを断面といいます。その断面も太い、細いだけではなく、円形だったり長方形だったり、縦だったり横だったり、いろいろあります

許容応力度 ~木構造のための構造力学~10

目次 第1回 計算書を読んでみよう 第2回 力のつりあい 第3回 モーメントとは? 第4回 反力 第5回 応力 第6回 断面について 第7回 図心・断面一時モーメント 第8回 断面二次モーメント 第9回 断面係数 第10回 許容応力度(今回) 許容応力度  構造計算の中では非常によく聞く言葉です。材料がこれ以上持たない限界値より小さい値が許容値として定められており、これを許容応力度といいます。材料によって異なります。構造設計では、構造物に発生する応力度が、許容応力度以下で

力のつりあい ~木構造のための構造力学~2

 普通、構造力学だと、ここからはじめますね。ただ今回は前の事例を見てもらったので、一応「ふ~ん」って感じに少し理解していただいたと思います。 このトピックでは力のつりあいという、日常生活でごく「当たり前」な事象について解説します。簡単な割に、見落とす可能性がある分野です。しっかり学んでいきましょう。 目次 第1回 計算書を読んでみよう 第2回 力のつりあい(今回) 第3回 モーメントとは? 第4回 反力 第5回 応力 第6回 断面について 第7回 図心・断面一時モーメント

モーメントとは?~木構造のための構造力学~3

目次 第1回 計算書を読んでみよう 第2回 力のつりあい 第3回 モーメントとは?(今回) 第4回 反力 第5回 応力 第6回 断面について 第7回 図心・断面一時モーメント 第8回 断面二次モーメント 第9回 断面係数 第10回 許容応力度 モーメントとは? モーメントはわかりにくい力なので、この章で確実に理解してください。 (今、読み返すとちょっとわかりにくいです。もう少し表現を考えてみます) 力学上のモーメントとは、回転する力です。例でいえば自動車のハンドルや、ス

応力 ~木構造のための構造力学~5

目次 第1回 計算書を読んでみよう 第2回 力のつりあい 第3回 モーメントとは? 第4回 反力 第5回 応力(今回) 第6回 断面について 第7回 図心・断面一時モーメント 第8回 断面二次モーメント 第9回 断面係数 第10回 許容応力度  応力は一番難しい分野です。 建築士試験で応力分野を得点源にしている人のほとんどは理解しないで使っているようです。その結果、試験を終えると忘れてしまいます。確かに点数とるだけだったらそれなりに簡単です。  応力は、外からの力(外力)

図心・断面一次モーメント ~木構造のための構造力学~7

目次 第1回 計算書を読んでみよう 第2回 力のつりあい 第3回 モーメントとは? 第4回 反力 第5回 応力 第6回 断面について 第7回 図心・断面一時モーメント(今回) 第8回 断面二次モーメント 第9回 断面係数 第10回 許容応力度 図心  断面の中心です。正方形や長方形なら対角線の交点です。円なら円心です。もっとも正式にはその断面が厚さが均一である場合の重心です。実際にはそこまで難しく考えなくてもかまいません。  こんな感じで理解していれば、大丈夫でしょう♪

断面係数 ~木構造のための構造力学~9

目次 第1回 計算書を読んでみよう 第2回 力のつりあい 第3回 モーメントとは? 第4回 反力 第5回 応力 第6回 断面について 第7回 図心・断面一時モーメント 第8回 断面二次モーメント 第9回 断面係数(今回) 第10回 許容応力度  いよいよ基本的な力学の大詰めになってきました。断面係数と断面2次モーメントは非常に似ている公式ですが使う場面が異なりますし、性質も異なります。必ず比較しながら間違えないように覚えましょう。 断面係数(記号はZ)  断面係数とは、

【#17】材料力学の強化書 〜曲げ応力と曲げモーメントについて〜

今回のトップ画像はイギリスはスコットランドにあるエディンバラ城です。その城下町は中世の街並みを再現していて、有数の観光地として知られています。 12世紀から16世紀までの間の数多くの戦争で、破壊されては再建されることを繰り返してきたそう。なかなかの苦労を感じさせますね。 さて、材料力学の話に戻りましょう。 前回は微分積分の応用として「微分方程式」について説明しました。今後の単元として「曲げ」という変形を扱う上で必要になるので、頭の片隅に置いておくと良いと思います。 今

反力 ~木構造のための構造力学~4

目次 第1回 計算書を読んでみよう(今回) 第2回 力のつりあい 第3回 モーメントとは? 第4回 反力(今回) 第5回 応力 第6回 断面について 第7回 図心・断面一時モーメント 第8回 断面二次モーメント 第9回 断面係数 第10回 許容応力度  力が「なんとなく」わかってきたら、反力を勉強してみましょう。だいぶ構造力学っぽい内容になってきます。しかし仕組みは簡単なので、さらっと理解してみましょう。いきなり数式が出てきて戸惑うと思います。用語の読み方と意味は先に頭に叩

細長比の感覚的理解

細長い部材の安定性を考える際、細長さが重要となる。その際、細長比(ほそながひ)という指標が用いられる。細長比$${λ}$$(ラムダ)は名前の通り物体の細長さを表し、数字が大きければ細長く、数字が小さければ図太くなる。 $$ λ=\frac{L}{i} $$ ここに$${L}$$は長さ、$${i}$$は断面二次半径である。断面二次半径の説明は別項に譲る。 一般に、物体が細長いか、図太いかを判断する際に、長さと太さの比率を考える。下図のとおり、太さについては円柱であれば直径

断面二次モーメントの感覚的理解

物体の曲げやすさ・曲げにくさを表す指標として断面二次モーメント$${I}$$がある。慣性モーメント(moment of inertia)とも表現されるが、土木工学の構造力学の分野では前者のように表現することが多いため、ここでは断面二次モーメントと呼ぶが、同じものである。慣性モーメントの方がイメージがつきやすいが。 例えばプラスチック定規を曲げる際に、下図のBのように薄い方向に曲げると曲がりやすく、Aのように太い方向すなわち幅方向に曲げると曲げにくいのは、断面二次モーメントが

断面二次半径の感覚的理解

別項で、細長比、断面二次モーメントについて考えてきた。 物体の細長さ・図太さを表すのに長さと太さの比率で表すと感覚的にもしっくりくる。構造力学の専門用語として細長比$${λ}$$(ラムダ)があり、長さ$${L}$$と断面二次半径$${i}$$の比率で表す。 $$ λ=\frac{L}{i} $$ 太さを表す際に、円柱、角柱、それ以外の任意の形の断面をもつ際に、共通の指標とする必要があり、そのために断面二次半径$${i}$$を用いると都合がよい。では、その太さを表す断面二

曲げモーメントを応力度に変換する断面係数

曲げモーメントを応力度に変換する断面係数Z断面係数Zとは簡単に言えば、「曲げモーメントにどれだけ抵抗できるか?」示す値です。 $$ Z=\frac {BH^2} 6 $$ 何となく暗記していましたが、今回はなぜこうなるかを研究してみます。 ある板に曲げモーメントMがかかった時 断面内部には 引張られる力 と 圧縮される力 が発生します。 この状況はシーソーに三角形の物体が乗った状況とみることができます。 三角形の端っこをσとすると、シーソーに加わる力は三角形の面積

排煙規定のキホン【学校では教えてくれない建築実務の流れ】

幅広い用途の建築物で必要になる排煙設備について、動画で解説するシリーズをリリースしました! こちらの動画シリーズでは、排煙規定や排煙設備の概要と基本的な考え方について建築基準法と施行令、また防火避難既定から告示まで、よく使われる範囲について網羅的に解説する動画になっています。 (※現在は目次の4までの内容を配信中です。追って動画を追加していきます) 排煙関係の規定は主に建築基準法施行令126条の2に規定された設置基準から始まり、排煙設備の構造や防火避難既定、告示にいたるま