マガジン

  • 土木の備忘録

    ある土木構造物に関する情報は、インターネット上の様々なところに分散されて記録されており、網羅的になっていないことが多いです。私が深く携わり、知りえた知見を記録する場として、不定期で記載していきます。 Wikipediaと同じ趣旨であり、Wikipediaを直接編集した方がよいのではないかというツッコミも戴きそうですが、Wikipediaも参照しながら個人でまとめていきます。

  • 感覚的理解と工学的意味

    難しい現象や専門用語の本質的を知るための感覚的理解、工学的意味について考察する記事です。

  • 教えること

    高等教育機関での工学教育について、これまで実践してきた内容をまとめていきます。

  • 作品

  • 代案を出す

最近の記事

感覚的理解と工学的意味について書く理由

物事の本質をとらえることが大事であるが、やろうとしてもなかなか難しい。数学や物理の難しい概念、少し言い換えると普段接することのない抽象的な概念は、なかなか自分のものとして理解することは難しい。 概念を図形として簡単なモデルとして、とらえることができると、理解につながることが多い。逆を言うと、本質が理解できていないと図形や簡単なモデルでは表現できない。 それって一体どういうこと、と、1つ掘り下げたり、1つ具体例を挙げるだけでも理解が深まることが多い。それがコツなのかとも思う

    • オームの法則を図化して理解する

      電気回路の比喩 電気回路は、どんなものに喩えられるだろうかと考えると、一般には、管を通る水の流れなどと表現されて、管の面積が小さいと抵抗が大きく・・・、と表現されているようである。わかりやすい。 さらに、電圧とは何か、という話は、位置エネルギーと表現されて、水をポンプアップして高い所に上げて、滝のように落とす、という喩えでわかりやすい。滝のように流れ落ちる際に、電球やモーターの仕事をするのである。 そして、ともに、流れる水の流量が、電流の大きさなのである、と。 では、

      • 断面二次半径の感覚的理解

        別項で、細長比、断面二次モーメントについて考えてきた。 物体の細長さ・図太さを表すのに長さと太さの比率で表すと感覚的にもしっくりくる。構造力学の専門用語として細長比$${λ}$$(ラムダ)があり、長さ$${L}$$と断面二次半径$${i}$$の比率で表す。 $$ λ=\frac{L}{i} $$ 太さを表す際に、円柱、角柱、それ以外の任意の形の断面をもつ際に、共通の指標とする必要があり、そのために断面二次半径$${i}$$を用いると都合がよい。では、その太さを表す断面二

        • 断面二次モーメントの感覚的理解

          物体の曲げやすさ・曲げにくさを表す指標として断面二次モーメント$${I}$$がある。慣性モーメント(moment of inertia)とも表現されるが、土木工学の構造力学の分野では前者のように表現することが多いため、ここでは断面二次モーメントと呼ぶが、同じものである。慣性モーメントの方がイメージがつきやすいが。 例えばプラスチック定規を曲げる際に、下図のBのように薄い方向に曲げると曲がりやすく、Aのように太い方向すなわち幅方向に曲げると曲げにくいのは、断面二次モーメントが

        感覚的理解と工学的意味について書く理由

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          細長比の感覚的理解

          細長い部材の安定性を考える際、細長さが重要となる。その際、細長比(ほそながひ)という指標が用いられる。細長比$${λ}$$(ラムダ)は名前の通り物体の細長さを表し、数字が大きければ細長く、数字が小さければ図太くなる。 $$ λ=\frac{L}{i} $$ ここに$${L}$$は長さ、$${i}$$は断面二次半径である。断面二次半径の説明は別項に譲る。 一般に、物体が細長いか、図太いかを判断する際に、長さと太さの比率を考える。下図のとおり、太さについては円柱であれば直径

          細長比の感覚的理解

          授業出席を求める側の思い

          授業への出席とは何か。考えを整理してみたい。 以下、高等教育機関(大学・高専)での工学(エンジニア)を育成する立場としてなので、国語や数学の授業とは異なるかもしれないことを断っておく。共通する概念はあると思っているが。 学校での成績評価に関して、出席点を与えてはいけない、というのは文部科学省(学位授与機構?)から示されている。と書きつつ、原典は確認したことはない。 大学教育においてある講義の単位について、最終試験をパスすれば出席なんて不要という考えの大学の先生の話はネッ

          授業出席を求める側の思い

          この商品がもし税込100円だったら

          「世界がもし100人の村だったら」は名作だ。私たちに色々な示唆を与えてくれる。 新型コロナウイルスへの対応で巣ごもりに伴う消費が冷え切る現在、地元の企業・街の商店を応援、という雰囲気の中、大手チェーンでの商品の購入というのは一体どの程度地元の売り上げへのプラスになるのかというのは私たちは情報を持っていない。 同じ本を買うならAmazonよりも地元の本屋で注文、というのもわかるが、なかなか踏み切れない。そこで、次のような指標を何か計算して、開示してもらえないだろうか。 あ

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          誤解されにくい例示や例題

          旧題名「学生が誤解しにくい説明とは」から改題 学生が誤解をする原因として、教員の説明が適切でないことがある。説明自体が間違っていることではなく、例として挙げた問題の組み合わせが適切でないことで、学生が誤認識をすることがある。学生の理解内容の全てが試験問題でチェックできるかというとそうではなく、本当は誤って理解しているのに、学生が誤ったままの考えで解答した結果がたまたま正答と同じ数値であると、教員は学生の誤った理解に気づかない。 例を挙げると、「小数第3位で四捨五入して小数

          誤解されにくい例示や例題

          「たとえ」により理解する

          授業でものごとを説明するために、「たとえ」を使うケースがある。「たとえ」と聞くと、「例えば・・・・(具体例の列挙)」と「○○に喩えると・・・・(類似・共通点)」の両方が頭に浮かぶが、後者の「喩え(比喩)」について書く。 工学の学問(数学、力学)等を教える際に、込み入った概念、全く新しい概念などは、理解してもらうことは難しい。初学者にとって細かいことは二の次で、どのような概念なのかの概略を掴むことができれば、続いて理解しやすいと強く思う。そういったときに「喩え」を使うケースが

          「たとえ」により理解する

          新幹線の搭乗方法の代案

          新幹線の乗車時の混雑、人の交錯をどうやって最小にするか。飛行機の混雑緩和搭乗方法は航空会社も検討しているが、新幹線での改善というのは私は実感したことはない。思考訓練のひとつとして取り上げたい。 新幹線乗車時の混雑を分類すると次のようにパターン化できるだろう。 新幹線の混雑の分類 出入口が車両の前方と後方の両方にあるため、同じ車両の中ですれ違いが発生する。(飛行機にはない特徴) 同じ車両内だけでなく、別の車両に移動したい通過交通も発生する。(飛行機にはない特徴) 窓側座

          新幹線の搭乗方法の代案

          そのサービスは高いか安いか? ~価値が等しいと考えると得られるもの~

          ものやサービスの価格が高い/高く感じるという話とは少し切り離して、価格と価格代替について概念を整理してみたい。この辺の話は経済学の分野であるというのは何となくわかるが、以下は経済学の知識は使っていないし、勉強もググりもしていない。私の生活で得てきた、ひとつの考え方を提示してみたい。効率が良いかという話でなく、そういう考え方をとってみると、少し生き方が楽になる、無駄なゴタゴタを排除してすっきりするという感じだろうか。思考実験のひとつである。結論として、価格相応という風に考えてい

          そのサービスは高いか安いか? ~価値が等しいと考えると得られるもの~

          ○×(マルバツ)問題の採点方法

          正誤を問う設問、いわゆる「〇×(マルバツ)問題」は、目をつむってサイコロを投げれば50%の確率で当たる(当てずっぽうの期待値50%)、と思っている人が多いが、運用の仕方によってはそうでもない。 正解すると+1点、不正解で0点とすると、あてずっぽうに解答すれば平均で+0.5点を取得することができる(期待値が50%)。問題を解く立場とすると、なるべく点数を取る目的を達成するためには、わからない/自信のない問題でも何かを解答することがプラスに作用する。これには副作用があり、出題す

          ○×(マルバツ)問題の採点方法

          教えることを考えるにあたって

          高等教育機関で工学を教えている。現在の職場で働き始めてから9年目になる。高等教育機関で教える教員は、小・中・高などの教員養成の訓練を受けていない。特に工学の専門教育を行う者は博士の学位を持つものの、教えることに関しては個人の経験によるもの、独学によるものが大きい。その後の研修や自己研鑽で学ぶこともあるが、その内容や頻度は個人によってばらばらである。 高等教育機関の代表は大学であるが、大学教員のための教育方法等の本はいくつか読んできた。教育学という学問体系を基礎から学ぶことは

          教えることを考えるにあたって

          ETCマイレージ自動還元設定の代案

          ETCマイレージの自動還元設定は、今ある  ①還元最高額に達したら自動ポイント還元 だけでなく、  ②年度末で失効直前には「全残高の範囲で」最高額を自動ポイント還元 というオプションもつけたらどうだろうか。 多分、ユーザーに一定数いると思われる「今年度失効分と来年度失効分をにらめっこして今すぐ還元するか来年度に継続してポイントを増やすことに賭けるかは自分で決めたい!」という人は②をオフにすれば済むわけだし。 世の中には「常に」将来のために「ポイントは溜めたい」という人もい

          ETCマイレージ自動還元設定の代案

          秋岡芳夫とDIY

          NHK+で『デザイン トークス+(プラス) 選「DIY」』のオンデマンド番組をたまたま見つけ、試聴した(放送期間は2020/11/28まで)。その中で「アイディアを生かした 家庭の工作」という書籍が紹介されていた。秋岡芳夫さんらの創作グループKAKによるものという。機能美をもつ椅子/机(置き方を変えると様変わり)の虜になってしまった。 Amazonで検索しても出てこなかったが、すぐに、復刻版の存在に辿り着く。モノ・モノという活動を紹介したこのページ。充実しているので、ページ

          秋岡芳夫とDIY