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○×(マルバツ)問題の採点方法

正誤を問う設問、いわゆる「〇×(マルバツ)問題」は、目をつむってサイコロを投げれば50%の確率で当たる(当てずっぽうの期待値50%)、と思っている人が多いが、運用の仕方によってはそうでもない。

正解すると+1点、不正解で0点とすると、あてずっぽうに解答すれば平均で+0.5点を取得することができる(期待値が50%)。問題を解く立場とすると、なるべく点数を取る目的を達成するためには、わからない/自信のない問題でも何かを解答することがプラスに作用する。これには副作用があり、出題する側としては、受験者が理解して正解しているのか、理解せずに正解している「まぐれ正解」なのか区別がつかない。100点満点換算すると、受験者の得点が(期待値として概ね)50点~100点の間に分布することになる。広く採用されているこの方法を仮に「方法A」と呼ぼう。

実はもうひとつの採点方法があり、「方法B」と呼ぶこととする。正解すると+1点、不正解だと-1点、無回答だと0点、とするものである。自信のない問題は当てずっぽうに解答すると、+1点になるか-1点になるかの掛けになるので、「無回答の0点」を選択することに意味を帯びてくる。「方法A」との比較をしたときのメリットとしては、採点する側に受験者の理解度がわかりやすい点にある。総得点や、ある問題の解答状況から、理解度をある程度推し量ることができる。「方法B」のバリエーションとして、不正解だった時の重み付けを軽減して-0.5点としたり、強めて-2点とすることもできる。

方法Bでは、同様に100点満点換算すると、理解していない当てずっぽうの解答の期待値は0点、完全に理解できている場合が100点と、受験者の理解度を方法Aより感度高く反映できる点にある。

気をつけるべきは、出題時にどのような方法で採点をするのかというのを事前に明らかにしておかなければならないことである。採点方法によって解答するやり方が異なるためである。方法Bは一般に認知されていないし、冒頭にさらっと書いても読み飛ばされることも多々あるので、より具体的にわかりやすい方法で説明をしなければならない。

学校の定期試験や入学試験に導入する場合には、想定する平均値を何点ぐらいに設定するのか、という難易度の調整も必要となってくる。平均値は前述の通り下がってくるので、それを加味した総合的な問題作成が必要になってくる。

方法Bについて続ける。この方法には、ある問題と独立した別の問題が総合得点に関係する(独立しない)という特徴がある。喩えると、仮に英語の問題と数学の問題が一緒に出題されて、数学で不正解があると、その分英語が減点されてしまう、というような事態が生じるのがこの出題法(採点法)の特徴である。そもそもどういった学力を測るのかという出題目的を考えたとき、ギャンブル性・ゲーム性を持たせることは望ましくなく、このような方法Bの採点方法では、ある特定のジャンルの問題の中だけで完結させた方が良いように思われる。(一方で、テレビのクイズ番組のようにゲーム性、一発逆転などのギャンブル性を持たせると、方法Bに面白さがでてくる。)

たとえば、定期試験であれば全部が○×問題ということはないだろうから、「問1:▲▲に関する基礎知識」という狭いジャンルの中で○×問題を10問作って20点満点とし、問1の総得点は最低0点とすればよい。具体的には、3問正解(+6点)、5問不正解(-10点)、2問無回答(0点)として計算した結果、-4点であるが、問1の最低点は0点なので0点として、問2以降には影響を及ぼさないとか。

たとえば、○×問題が20問あっても、似たようなジャンル内で5問×4ジャンルとして、ジャンル毎に最低点を0点とするような採点方法であれば、分野が変わっても引きずることなく評価できる。

こうやって概観してみると、たまに見かける、○×問題が複数あって全問正解した場合にのみ加点する、という採点方法は方法Bのバリエーションであることに気づく。

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