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田舎で味わう南国気分とそこから学ぶエコロジー

ここ宮城県石巻市に移住してきて、よく見かける不思議な光景がある。それは、日本の田舎、和風建築と庭園の間に佇むヤシの樹の姿。今住む家の玄関前にもこのヤシの樹が植えてあり、おかげさまなのか茶の間から毎日東北にいながら南国気分を味わう事ができる。

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ヤシの樹と言えば、今まで南国の熱帯や温帯などの温暖な気候で育っているイメージがあっただけに、なんで田舎の至る所にこの南国の樹がこんな沢山植えられているのだろうかと日頃から不思議に思っていた。南国気分を味わうために一時的な流行で植えたのか、それとも勝手に自生した物なのか。

あまりにもよく見かけるこのヤシの樹。気になって色々と調べてみると、凄い事実を知り、その役割に感動してしまった。

田舎の各地で庭木として植えられているのこのヤシの木は「棕櫚(シュロ)」と呼ばれるヤシ科の植物。そして、日本で植えられているもののほとんどは「和棕櫚(ワジュロ)」と呼ばれるものだそうだ。その他にも、唐棕櫚(トウジュロ)」「合い棕櫚(アイジュロ)」などがあるらしい。

このシュロの凄さはいくつもある。

まずは植物として丈夫という性質、強い生命力を持つ事。今年のこの長い極寒の冬、時にはマイナス15にもなった天候でも枯れずにいるこの強い耐寒性、そして元々沿岸部に自生していた植物なだけに、海の塩分にも強い耐性を持っている。さらには、熱にも強く、火にも燃えにくいなどの耐性をも兼ね備えている。

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そして次に、その材質が様々な用途で我々の生活を助けてくれる事。

シュロの樹の幹には「シュロ皮」または「シュロ毛」と呼ばれる繊維質が巻きついている。このシュロ皮の特徴である伸縮性と腐りにくさが、昔から様々な道具に利用されてきた。

ほうきや縄、敷物にたわし、ハエ叩きやうちわ至るシュロ製品。その繊維以外でも、葉っぱを編んで容器にしたり、雨除けや日除け用に組んで使用も出来る。本当に広い用途で使われる素材を提供してくれる。

少し前までは、当たり前のようにホームセンターやスーパーで化学製品を買って使っていた僕も、環境先進国ドイツに渡りエコな暮らしの中で、天然素材を使用した物を買うようになった。背景として、その製品の作られる過程と使った後のことも考えるようになったからだ。

化学製品の原料は石油。石油は化石燃料だから、使用する量が増えれば燃え分だけ二酸化炭素が大気中に発生し、地球温暖化の原因となる。また、自然界が化学製品を分解するにはとても長い年月が必要とされるため、ゴミとして処理される。

シュロ製品は天然素材で出来ているから、使えなくなったらどこか外に置いておけば、いずれ朽ちて分解され、やがて土に還る。もしくは、燃やして灰にすれば土壌改良材として農地に撒くこともできる。

また、そのシュロ製品と同じように藁製品もある。

お米農家さんのもとで働かせて頂いてから、食べ物を作る事、食べ物や素材を無駄にしない事、いろんな場面で農家さんの知恵や工夫をたくさん学んできた。その笑の使い方も、その学んだ中の一つだ。

一昔前までは当たり前だったエコロジーなシステムと道具たち。

なぜ田舎の家には南国気分を感じる樹が植えられているのか?その答えは、こんな理由があったんだと、また一つ勉強になりました。

田舎の景色に、学び有り。ありがとうございます。

最後に、シュロの花言葉。

「勝利」「不変の友情」

この意味もあって、最近では南国気分を味わう観賞用に植えている人もいるのかな。

ここで今日のドイツ語!

ヤシの樹:Palme(パルメ)

それじゃ〜、また来週!Bis nächste Woche!!

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