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筋トレのコツ6:乳酸とパンプアップが成長ホルモン分泌のきっかけになる?

この記事では筋トレを続けていく上で重要になるコツの中でも、「乳酸」とそれに伴う「パンプアップ」についてまとめています。

後述のように乳酸の蓄積及びパンプアップは、成長ホルモン分泌のきっかけになると言われています。そのため筋肥大を目指すトレーニングにおいては、敢えて乳酸を貯めるようにしてトレーニングを行う事が効果的です。

一方、グリコーゲンは補充が遅いです。一年を通して試合があるようなスポーツの場合、毎回毎回大量のグリコーゲンを消費していたら、パフォーマンスの上下動に繋がります。つまり実際の試合においては、なるべくグリコーゲンを消費しないように体を動かす事も重要になる事があります。


運動後に蓄積する乳酸とパンプアップ

筋肉内には糖の一種であるブドウ糖から合成された「グリコーゲン」が蓄えられています。

特にこのグリコーゲンは大きな筋力を発揮するような「無酸素運動」において、短時間の内に爆発的に消費され、その反応の結果としてあの「乳酸」が作られます。

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乳酸は「酸」という名前がついているように「酸性」です。特に乳酸のような酸性の物質が筋肉内、あるいはその周囲にある血管内に蓄積すると、周囲が酸性に偏ります。しかし人間の体は「弱いアルカリ性」が正常であり、そのまま酸性に偏ると様々な弊害が起こります。

そこで、それを戻すための機能が働きます。人間の体には通常、「どちらか一方に偏った時、それを正常に戻そうとする機能(恒常性:ホメオスタシス)」があり、それによって酸性を正常の範囲内まで戻し、バランスを整えようとします。

すると、その乳酸を薄めるために、血液中にある水分の量が増え、それによって筋肉内に流入する血液の量を増やそうとします。その結果、筋肉が張った状態になり、俗にそのような状態の事を「パンプアップ」と言います。

このパンプアップの主な原因となる乳酸ですが、実は乳酸自体には、筋肉を動かしづらくするような作用はありません。

「乳酸」と聞くと「疲労物質」というイメージが強いのですが、乳酸はその場に留まり続ける訳ではなく、いずれは血流に乗って流れ、薄まって、時にはエネルギーとして再利用される事もあります(ピルビン酸に戻されてクエン酸回路へ、あるいは肝臓でブドウ糖に戻る事ができる)。よって乳酸は必ずしも疲労物質ではありません。

しかしそうしてパンプアップすると、一時的に筋肉が大きく膨らみ、その膨らみが邪魔をして、筋肉が動かしづらくなります。これによって体が重く感じ、それが疲労感の元になる事はあり得ます。

また乳酸が大量に作られたという事は、エネルギーとなるグリコーゲンが大量に消費されたという事であり、単純に筋肉を動かすためのエネルギーが減っています。それによって筋肉が動かしづらくなれば当然疲労感の元になります。なので「乳酸=疲労の原因」というのは必ずしも間違ってはいません。


乳酸が成長ホルモン分泌のきっかけになる

激しい運動によって乳酸が大量に作られた時、それをきっかけにして「成長ホルモンの分泌」が促されると言われています。

この「乳酸の大量生成が成長ホルモンの分泌を促すきっかけになる」というメカニズムについては、まだ完全には分かっていないらしいのですが、その理由としては、

・成長ホルモンには血糖値を上げる作用もあるので、グリコーゲン(糖)の大量消費による血糖値の低下が、成長ホルモン分泌のきっかけとなっている。ただし血糖値を上げる作用と成長作用は別の経路を辿る。

・筋肉内の酸素が減るため、酸素を利用しない解糖系(糖を代謝してエネルギーを得る回路)が刺激され、単純に糖を消費する事こそ、成長ホルモン分泌のきっかけになっている。

・グリコーゲンを大量に消費するような運動は、当然筋肉の細胞にもストレスとなるので、そのストレスが成長ホルモン分泌のきっかけとなっている。

・体の均衡を崩すような大きな変化や、それを整えようとする事がスイッチとなり、成長ホルモンの分泌が行われている。

などが考えられます。

つまり筋肉の成長を促すためには「敢えて乳酸を蓄積させるような運動を行う事」、あるいは「敢えてパンプアップさせるような運動を行う事」が重要になるという事です。

簡単に言えば「高重量のダンベルやバーベルを扱うようなウェイトトレーニング」、あるいは「短時間で全力運動と軽度の運動を繰り返すようなインターバルトレーニング」などを行う必要があるという事ですね。


グリコーゲンの補充と疲労回復

筋肉内に蓄えられていたグリコーゲンは、全力での運動では僅か数十秒(33秒程度)しか持ちません。

そのような数十秒に及ぶ全力での運動を、短時間で何度も繰り返した場合、グリコーゲンは爆発的に消費され、一気に枯渇し、それを完全に近い形で回復させるためには、最低でも2~3日程度かかると言われています。そのため少なくともその間は、グリコーゲンの補充を優先させる必要があります。

特にグリコーゲンは糖の一種であるブドウ糖から合成されます。つまり2~3日程度の間は、グリコーゲンを大量に消費するような激しい運動を避けると共に、ブドウ糖及びブドウ糖が結合した糖(デンプンなど)を意識的に摂取、その上で、ブドウ糖をスムーズにグリコーゲンへと合成し、更にそれを筋肉内にスムーズに補充する必要があります。それこそが「筋肉の疲労回復」となる訳です。

一方、グリコーゲンの補充は、実際にはグリコーゲンを消費した直後、更に言えば消費しているその瞬間から既に始まっており、特に「運動後2時間の間も合成が促される」と言われています。

つまり激しい運動を行った後、2~3日程度の間、グリコーゲンの補充に努める事はもちろんなのですが、運動後、更には運動前~運動中にもグリコーゲンをスムーズに補充、すなわち糖をスムーズに補給する事が重要になります。それも「筋肉の疲労回復」になり、また「筋肉に大きな疲労を残させない」という事に繋がります。

ただしスポーツによっては1年を通して試合があり、毎試合グリコーゲンを使い果たしてしまっては、1年を通してパフォーマンスが持ちません。

そのため、そのようにグリコーゲンの回復に努めるのはもちろんの事、練習あるいは試合で「グリコーゲンをできるだけ消費しないような体の使い方」をして、1日の疲労をできるだけ少なく済ませ、その疲労をできるだけ次の日に持ち越させないという事も重要になります。




以上です。お役に立てれば幸いです。

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