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2024年6月の記事一覧

夏仕様の吾輩

夏仕様の吾輩

吾輩は犬である。名前はポッキー。

マルチーズとトイプードルの遺伝子を持つ、齢1歳のアダルトな犬である。6月の福岡は暑い。これからもっと暑くなることは、この世に生を受けて一年しか経たない吾輩でも想像に難くない。

おとんとおかんが吾輩の毛をカットしに連れて行ってくれた。もふもふのかわいい吾輩を短髪のシュッとしたイケメンにイメチェンしようというおかんの魂胆が見え見えである。任せてくれたまえ。吾輩はか

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ハピバオレ!

ハピバオレ!

吾輩は犬である。名前はポッキー。

むしの日に生まれた犬。それはまさしく吾輩のことである。6月4日で齢一歳となった。人間年齢にすると17歳。世が世なら、吾輩は成人である。そう、もうオレ、大人。

誕生日の朝、吾輩は散歩中、橙色のいい匂いのする丸いものを見つけた。こっそりと口に咥え持って帰ろうとしたところ、例の如くおかんに見つかった。いつもはのっそりと歩いているおかんだが、吾輩の盗み食いを見ると、途

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俺のはいつも、兄ちゃんのお下がり。

俺のはいつも、兄ちゃんのお下がり。

薄手の長袖のシャツ一枚がちょうどいい気温だった。
朝晩は少し肌寒くも感じたが、昼間は少し歩けば体が温まり、袖を捲りたくなるほどのいい天気。

今朝も相変わらずバタバタしていた。小学五年生の息子が、出勤時刻5分前に今週の時間割を出してきた。持ち物の欄を見て、私はガックリと肩を落とす。

裁縫道具。

昨日言って欲しかった。小学五年生になると裁縫道具が必要になる。学校から購入申し込みの封筒が届いていた

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「いってらっしゃい」に添えるもの

「いってらっしゃい」に添えるもの

「いってらっしゃい。気をつけてね」

母は私が出かける時は必ずそう言って、私を見送ってくれた。私は角を曲がる時、絶対に振り返ると決めていた。

だって母は、私が見えなくなるまで、手を振ってくれていたから。

🚶

「なんで、昨日のうちに準備しとかんと?」
「うるさい」
「ギリギリになったらお母さん遅刻するやん。早くして〜」
「ちょっと待って! すぐ終わる〜」
「頼みますよ。早くしてくださ〜い」

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ボクは、旅をする。

ボクは、旅をする。

ボクは旅に出ることにした。

どこまで歩いていけるのかを知りたい。
どこまで道があるのかを知りたい。

世界はどこまで広いんだろうか。

誰かが教えてくれる世界なんて、興味がない。
道なき道をボクは行く。

自転車でぐんぐん進むと、ボクはよく分からないものを見つけた。丸いナニか。なんだろう。よくわからないけど、とりあえず乗ってみることにした。

すると、不思議なことが起きたんだ。
今まで歩いていた

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