都市計画家・加藤寛之

都市計画家・加藤寛之

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  • Think Local 第3章 これまでと、これから

    第3章では人口増加時代の都市計画から、人口減少時代の都市計画に向けて、何がどう変化する必要になるのかをテーマにしていきたいと思います。 約四半世紀に渡り、複数の地域と向き合い、実績を出してきた著者が、21世紀の新しい都市計画のあり方を探ります。 具体的な話題から、ロジカルな展開まで、これまで培ってきたノウハウをご紹介し、現在著者が取り組みもがいている現場の状況と、今考えている都市の暮らしのあり方を共有したいと考えています。

  • 第4章 都市計画とは

    第4章では、時代によって変化してきた都市計画についてお話します。都市計画は、あくまで都市経営課題を解決するための処方箋であって、未来永劫変化しないものではない。 約四半世紀に渡り、複数の地域と向き合い、実績を出してきた著者が、21世紀の新しい都市計画のあり方を探ります。 具体的な話題から、ロジカルな展開まで、これまで培ってきたノウハウをご紹介し、現在著者が取り組みもがいている現場の状況と、今考えている都市の暮らしのあり方を共有したいと考えています。

  • Think Local 第2章 まちづくりとは

    第2章では「まちづくり」の定義を考えてみたいと思います。 約四半世紀に渡り、複数の地域と向き合い、実績を出してきた著者が、21世紀の新しい都市計画のあり方を探ります。 具体的な話題から、ロジカルな展開まで、これまで培ってきたノウハウをご紹介し、現在著者が取り組みもがいている現場の状況と、今考えている都市の暮らしのあり方を共有したいと考えています。

  • Think Local 第1章 仕事のスタンス 組織

    約四半世紀に渡り、複数の地域と向き合い、実績を出してきた著者が、21世紀の新しい都市計画のあり方を探ります。 具体的な話題から、ロジカルな展開まで、これまで培ってきたノウハウをご紹介し、現在著者が取り組みもがいている現場の状況と、今考えている都市の暮らしのあり方を共有したいと考えています。

最近の記事

第3章 03 これまでと、これから(最終回)

地域の個性が生きる時代さて次は「これから」を見ていきましょう。  これからは人口が激減していきます。激増した時とは逆ですから「鳥取県」1つ分が毎年消え失せるのです。そして生産年齢人口割合もどんどん縮小していきます。消費する人も生産する人も減っていく時代。  何もしなくてもお客さんが増えていく時代から、いろんな手立てをしたってお客さんが減っていく時代の到来です。  事業でいうと、何か大きな問題を起こさなくても、必ず売上が減っていくわけです。かつて日本が経験したことのない継

    • 第3章 02 これまでと、これから

      みんなという幻想が成立した時代 前回は、人口減少時代に突入した「これから」は、「これまで」の考え方に限界が来ているというお話をしました。  今回はその続き。もう少し「これまでと、これから」を考えてみましょう。下図は、超簡単に「これまで」を整理しました。   「これまで」は人口が激増し続けていました。その間、いわゆる生産年齢人口割合と言われる15歳から64歳までの人口割合も拡大しつづけています。お金を稼いだり、お金を消費したり、お金がかかったりする世代です。それが意味する

      • 第3章 01 これまでと、これから

        未曾有の人口縮退 北九州市立大学地域創生学群教授の片岡寛之さん、近畿大学建築学部教授の宮部浩幸さんに招かれ大学生に向けた講義をしています。もう10年近く授業の一コマを担当しているのですが、ここ数年で気がついたことがあります。  それは、当たり前なのですが、今の学生にとって、この後第3章を通じてお話する「これまでと、これから」の「これまで」の話は違和感で、「これから」の話は当然の如く感じているということです。  時代の潮目が変わってから物心のついた学生たちにとって、これまで

        • 第2章 04 まちづくりとは(最終回)

          オススメの作法 未来のまちの価値を想像する上で有効な手法は単純。地域の「要素」を丁寧に読み解くことです。今在る真実から未来が生まれるからには、今をしっかりと読み解いてみることが大切です。そして、それらの要素を未来に向けて変換してみるわけです。もう本当にこれに尽きます。  商品であれ、お店であれ、人であれ。地域の歴史や伝統、文化風習、産業であれ、とにかく丁寧にひとつひとつちゃんと拾い上げたり深堀りしてみてください。たとえば、使われていない醸造蔵があるとします。何を作っていたの

        第3章 03 これまでと、これから(最終回)

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        • Think Local 第3章 これまでと、これから
          3本
        • 第4章 都市計画とは
          0本
        • Think Local 第2章 まちづくりとは
          4本
        • Think Local 第1章 仕事のスタンス 組織
          6本

        記事

          第2章 03 まちづくりとは

          まちには兆しがある 未来のまちの価値を想像する時にとても有効な方法があります。それは、現状のまちを思いっきり楽しんでいる人たちに出会うことです。  元気が無くなりつつあるまちにおいても、そのまちの課題をもろともせず、楽しんでいる人たちのことです。そもそも課題なんてどうでも良くて、今現在のまちを違った視点から捉えて新たな価値を見出している、いや多分実はそんなことも考えてもいない場合が多くて、単純に楽しかったり、遊び心を持ってワクワクしていたり、未来の素敵な風景をご機嫌に描

          第2章 03 まちづくりとは

          第2章 02 まちづくりとは

          まちが衰退する原因前回に続いてまちづくりとは?について考えています。今日は、まちが衰退する(価値が低下する)原因を探ります。  なぜまちが良くなっていかないのか。その答えは、原因の設定ミスにあります。そもそも、まちに元気がない原因は何なのかという問いに真正面から立ち向かったことがあるのか、ということかもしれません。  上の図を御覧ください。原因の設定ミスでよくあるパターンをあげています。  まずは「賑わいがない」という課題。よく言われる事だと思うのですが、よく考えると、

          第2章 02 まちづくりとは

          第2章 01 まちづくりとは

          そもそも、まちづくりって さて、そろそろ本題に入りたいと思います。何度か登場した「まちづくり」という言葉ですが、サルトが取り組んでいる仕事は、大雑把に言うと「まちづくり」と呼ばれています。  「まちづくり」という言葉は、結構いろんな分野で使われて、防災のまちづくり、福祉のまちづくり、景観のまちづくりなどなど。余りにも範囲が広い言葉ですが、サルトが主に取り組んでいるのは「元気のない地域を元気にする」という分野での「まちづくり」です。そのために個別の建物や施設を扱うのではなく、

          第2章 01 まちづくりとは

          第1章 05 仕事のスタンス 立ち上げてきた組織(最終回)

           さて、これまで紹介してきた組織以外でもサルトが関わる地域では主体的に身銭を切る(お金だけじゃなく)ことをスタンスとしてまちづくりを進めています。  このことは結構重要で、単に行政からの仕事を請け負うだけじゃなく、どんな小さなことでも何らかの身銭を切らないと信頼関係を築きづらいのがこの業界だと思います。  福岡県北九州市黒崎にある寿通り商店街の株式会社寿百家店。商店街の複数物件2階部分をシェアハウス化し1階部分を小分け複合店舗にしつつ、その一画で直営の「あんとめん」という

          第1章 05 仕事のスタンス 立ち上げてきた組織(最終回)

          第1章 04 仕事のスタンス 立ち上げてきた組織(その3)

          STAY local ステイローカルは一棟貸しの宿です。  2015年からAirbnbを使い自宅の一室で海外の旅行者を受け入れていました。その数は100組以上。  世界各国からゲストがやってきて、自宅で一緒に過ごす時間も多いから、世界中にどんどん友だちができていく。  自分たちの海外旅行は仲良くなったゲストを巡り、ゲストの結婚式にも呼ばれる。そんな素晴らしい体験も、民泊の法律によって自宅では出来なくなることが分かり作ったのがステイローカル。  この事業は、近畿大学建築

          第1章 04 仕事のスタンス 立ち上げてきた組織(その3)

          第1章 03 仕事のスタンス 立ち上げて来た組織(その2)

          前回に引き続き、今回は芦原橋、鹿屋、そして暮らしている阿倍野区昭和町について。 一般社団法人リイド 次に大阪市浪速区で設立した一般社団法人リイドについて。  ここは、国や大阪市行政が同和対策事業を始めとして地域改善対策事業に取り組んできた芦原橋エリア。その後も部落解放同盟浪速支部が地域課題の解決に向けて日々奮闘している場所でもあります。  このエリアは、JR環状線芦原橋駅からすぐ、大阪メトロ御堂筋前と四つ橋線の2つが通る大国町駅徒歩圏、繁華街ミナミまで自転車圏内にも関わ

          第1章 03 仕事のスタンス 立ち上げて来た組織(その2)

          第1章 02 仕事のスタンス 立ち上げて来た組織(その1)

           ここから少し、これまで関わり立ち上げて来た組織やチームの概要を紹介していきます。  大阪枚方、三重伊賀、兵庫丹波、大阪芦原橋、鹿児島鹿屋、大阪昭和町、大阪弁天町などなど。  それぞれ簡単ですが、サルトがどんな仕事をどのような感じで取り組んでいるかつかんでもらえるかなと思っています。 枚方宿くらわんか五六市 大阪府枚方市で地元有志と立ち上げた定期マーケットです。枚方宿は東海道五十六番目の宿場町。  当初は師匠の会社で町並み保存の取り組みを支援していたのですが、地元の方

          第1章 02 仕事のスタンス 立ち上げて来た組織(その1)

          第1章 01 21世紀の都市計画家

           本題に入る前に、自己紹介をします。  もうかれこれ10年以上、自分のことを勝手に「都市計画家」と呼んでいます。建築分野でも土木分野でもない人間がどうして都市計画家なのか。  それは先ほどお伝えした、20世紀にどんどんモノをつくってきた過去が関係しています。道路も作るし、公園も作るし、ビルも建てる。ビルじゃなくても建物をどんどん建ててきた。  20世紀の都市計画はハードがメインでした。だから20世紀の都市計画家はハードを扱う専門家が多かった。  でも21世紀の都市計画

          第1章 01 21世紀の都市計画家

          第0章 00 はじめに

           皆さんこんにちは、加藤寛之です。数ある記事の中からこのお話にたどり着いて頂き誠にありがとうございます。  このお話は、基本的には今から社会に出ようとしている学生や社会に出て5年未満の方、若い公務員の方々へ向けた、私からのメッセージです。  約四半世紀、日本全国の色々なまちと関わり、まちに具体的な変化を起こすために試行錯誤する中で感じた都市計画に関する新しい考え方です。  しかし、これからの日本社会を楽しく格好良く暮らしていくためのエッセンスにもなる内容なので、現状に違

          第0章 00 はじめに