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第1章 04 仕事のスタンス 立ち上げてきた組織(その3)


STAY local

 ステイローカルは一棟貸しの宿です。
 2015年からAirbnbを使い自宅の一室で海外の旅行者を受け入れていました。その数は100組以上。

 世界各国からゲストがやってきて、自宅で一緒に過ごす時間も多いから、世界中にどんどん友だちができていく。

 自分たちの海外旅行は仲良くなったゲストを巡り、ゲストの結婚式にも呼ばれる。そんな素晴らしい体験も、民泊の法律によって自宅では出来なくなることが分かり作ったのがステイローカル。

 この事業は、近畿大学建築学部教授宮部浩幸さんとタッグを組み、ゼミ生から提案を受けたものを宮部さんが1つの設計図にまとめ、ゼミ生自ら解体他DIYに参加してもらって完成しました。

 実は東京から近畿大学に通う宮部さんの週1回の家でもあり、それ以外でゲストを迎えるという二毛作。丁度バイローカルの取り組みも認知度が上がり、自分たちが海外旅行の時に意識しているように、地元の人が暮らすように旅するをコンセプトに、STAY LIKE A LOCALを略してステイローカルと名付けました。

 事業は妻の麻理子が事業主となり、妻の自己資金に加え、宮部さんも含む友人やサルトから出資をして資金調達し、物件オーナーから借りた物件をリノベーションしました。

 現在は、賃貸で貸していますが、いつか再び宿泊事業も復活させたいと思っています。

株式会社THE MARKET

 THE MARKETはサルトが今後20年かけて育てていきたいブランドです。

 このお話は後で詳しく書きますが、ここでは簡単に紹介します。2013年から始まったバイローカルムーヴメントは「良き商いを守り育てる」を合言葉に始まりました。

 高尚な意義を唱えるのは簡単、でも実際にまちで商いを続けている商売人の立場を心から理解していたかといえばそうではなかったわけです。

 言うは易し行うは難し。そう感じたら即行動、まずは自分で商いをしようと始めたのがひとつの大きな理由です。

 もちろん、それだけではなくて、THE MARKETではサルトのミッションである「おいしい革命」ムーブメントを作りたいと思っています。

 地方で頑張る生産者さんを応援したい。まずはそれが出発点でした。都会のお金が産地へ向かうことで、彼らの大地につながり、地方の風景を守ることにつながります。

 また、ネットを通じて何でも手に入る時代においては、本当の美味しさは、小さな経済圏の中で、仲間が作ったものを、顔を知ったお店で手に入れて、親しい人と食す時に感じられるものだと思います。

 加えて、季節の移り変わりを大切にして、今ある旬のものだけで食卓を囲むことが本当の豊かさや幸せにつながるのだと思っています。冬場にきゅうりは無いし、トマトも無いけど、足るを知る精神が心も体も健康にする。

 THE MARKETでは、ご近所の日常にこそ未来の幸せがあるのではないかと思っています。平日でも休日でも、顔が見える自分の街が一番楽しい。そんな未来の素敵な都市の暮らしづくりに取り組みたいと考えています。

ポップベイ・パートナーズ

 投資会社からの依頼で、大阪・弁天町駅直結の大阪ベイタワーで定期マーケットを開催。ここは元々のオーク200、大阪市が約550億円の負債を出した施設。

 そこを投資会社が取得、リニューアルの最中でした。当時は温浴施設とホテルがあり、後はリーシングを控え空き区画が目立つ状況。

 弁天町周辺の方が駅利用以外で日常的に訪れる場所とは言えませんでした。そこで当時港区区長であった筋原章博さんが投資会社の方にサルトを紹介、施設の公開空地でのイベント開催を依頼されることに。

 ただしサルトはイベント会社ではない。イベントがエリアの価値を向上させ、かつ地元の人が気軽に訪れ、空き区画へのリーシングが円滑に進み、結果売却時にも有利な条件で売却できる仕掛けなら一緒に取り組みたいと交渉、そして始まったのが「POPBAY」です。

 なので定期マーケットの開催だけではなく、地域を紹介する冊子「弁天Koteko」を発行、その後地元フリーベーパー「ムーチャ」と組んでバイローカル的な特集を数ヶ月に渡って行うとともに、マーケットには地元店舗を口説き出店してもらう。

 次第に定期マーケットの認知度も高まり、毎月1000人程度の方が大半は地元から訪れるようになり、ベイタワーのリーシングもほぼ完了。

 投資会社は次のステップである売却へ。そして2023年3月、投資会社は新オーナーとの売買契約を締結しました。


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