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ポアロシリーズ

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#小説

胸いっぱいの満足感と少しの違和感

ポアロシリーズ2作目「ゴルフ場殺人事件」。
こういう順番があるものは順序よく進めたいこだわりがあるので、初心に立ち返り2作目を読んでみた。

うーん。どうしてこのタイトルなんだろう。
全体的にとてもテンポが良く、読むのに全く苦労しなかった。語り手であるヘイスティングズに感情移入できるので嬉しくなったり悲しくなったり腹立たしかったり、読んでる間中感情が忙しい。
仕掛けもよくできていて、今となっては珍

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ミステリ界の問題作との出会い

ポアロシリーズ3作目アクロイド殺し。
この作品の性質上何を書いてもネタバレが避けられないため、以下ネタバレを含みます。

この作品はフェアかアンフェアかでミステリーファンの中でも大論争が起こったらしい。たしかにミステリー作品としてはかなり異質(今では珍しくないのかもしれない)ではある。
私自身もこの作品をフェアかアンフェアか判断することがこの作品の感想を書く上で必要なことだと思う。しかし私にはでき

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ミステリとは離れたところに面白さあり

 ポアロシリーズ4作目「ビッグ4」。読む前に調べたレビューによるとどれもあまり高評価ではなく荒唐無稽だという意見を多く目にしていたので,あまり期待せず読むことにした。ひとつ前の「アクロイド殺し」ではヘイスティングスに会うことができなかったので,今回はヘイスティングスに会えるかどうかだけを楽しみにして読み始めたと言ってもいいかもしれない。毎度のことながらミステリーの読み手として模範的ではないなとつく

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物語は二度始まる

ポアロシリーズ15作品目「ナイルに死す」。

一つ目の殺人が起きてからは、突然自分の中でエンジンが掛かったかのように一気に読んでしまった。
全体像を知ってから第一部を読み返すと改めて作りの精巧さと面白さに二度楽しめる。
あーこれも伏線!?あ、ここはダブルミーニング!?って声に出したくなるくらいの驚き。最初に読んでいたときの第一部とは全く違った印象を受ける。

長編の中でもなかなかに長い部類に入ると

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