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マグロが入る?お父さんが作る? 実は単純な名前のスパイス | スリランカカレーの特徴#1

独自の進化を遂げた、ミックススパイス

隣国インドでは使わない、スリランカ独自のミックスカレーパウダー。
その名を「トゥナパハ」と言います。

最初は「ツナパパ」と聞き違え、
ツナ?パパ??なんじゃそりゃーと思いましたが、
マグロもお父さんも関係なく、トゥナパハ。どうぞ、お見知りおきを。

シンハラ語で、トゥナ=3、パハ=5。
名前の由来は諸説ありますが、3種類とか5種類くらいのスパイスで作られることからきているよう。
正式名称は「トゥナパハ・クドゥ」で、「クドゥ」とはシンハラ語で「粉」を指します。

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未焙煎の生カレーパウダー(アム・トゥナパハ)と焙煎のローストカレーパウダー(バダプ・トゥナパハ)があり、ローストはその名の通り、焙煎するのでやや黒っぽい色をしています。
写真はいずれもスリランカの大手スパイスメーカーのものですが、見比べると明らかに色が違いますね。
一般的に、生は野菜や豆のカレーに使い、ローストは肉や魚のカレーに使います。

しかし、スリランカカレーはトゥナパハだけを入れれば完成するのかというとそうではなく、さらに素材ごとに異なるスパイスやハーブを加えて作ります。
味のベースを握っているのがトゥナパハ、加えるスパイスで方向性を決めると言えるかもしれません。
*(   )はシンハラ語表記

家庭の味も面白い

生タイプは、コリアンダー(コッタマッリ)、クミン(スードゥル)、フェンネル(マードゥル)の3種類をベースに作ります。ローストタイプはこれに加えて、カルダモン(エナサール)やクローブ(カラーブ)などなど、いまは5種類以上のスパイスを組み合わせて。

スパイス専門店やスーパーでたくさんの種類が売られていますが、家庭でも作ります。同じ種類のスパイスを使っていても、その配合や作り方は家庭ごとにオリジナリティがあります。当然ながら味わいも異なり、とても興味深いです。

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スリランカの家庭でトゥナパハ作りを教わりました。
写真は作りたてのもの。左が生タイプ、右がローストタイプです。
生タイプは基本に忠実に、上記の3種にセイロンシナモン(クルンドゥ)をプラスして作りました。これが昔ながらのスタイルだそう。

【アム・トゥナパハ】
・コリアンダー(コッタマッリ)
・クミン(スードゥル)
・フェンネル(マードゥル)
・セイロンシナモン(クルンドゥ)

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(上から時計回りに)コリアンダー(コッタマッリ)、フェンネル(マードゥル)、クミン(スードゥル)、棒状のものがセイロンシナモン(クルンドゥ)

ローストは材料の各スパイスをそれぞれホール(粒)の状態で焙煎し、合わせて粉砕。パウダー状にします。
スパイスは火の通る時間が種類によって異なるので、
1種類ずつ、または火の通りが同じスパイス同士を煎り、冷まし、粉砕。
なかなか手間のかかる作業ですが、家庭の味には欠かせないですからね。

楽しい食べ比べ

一方、スパイス専門店もたくさんありますし、市販品も負けじと多くのメーカーがトゥナパハを出しています。

スリランカのスーパーへ行くと、スパイスの棚は広い面積を占めていて、眺めているだけでテンションが上がります。いろいろなメーカーの品を買って、作り、食べ比べてみるのも楽しい。

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地方色もあり、南部の海辺の港町・ゴールや最南端の町マータラだと魚のカレーに適したものが数多く並んでいたり、北の果てジャフナ※ではとびきり辛いチリたっぷりのものが主流であったり。写真はゴールのスパイス店。

日本の味噌が、地域によって原料や製法に違いがあり、地域色が濃くあらわれるのと同じですね。
トゥナパハも変化があって、奥が深いのです。

ぜひいろいろ試して、自分好みの味を見つけてくださいね。

※ジャフナは特有の食文化があり、トゥナパハもジャフナカレーパウダーとして地位を確立しています


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