クロスバイクを買ったら「通勤」が私の知ってる通勤じゃなくなった件
社会人になって何年も経つのに、いまだに通勤が好きになれない。
毎日同じ時間に同じ場所に行く、という行為が苦手だ。いまだに朝はぎりぎりだし、遅刻もする。
通勤路の途中から、同じ職場の人たちが増えてくるのも嫌だ。みんなが同じ建物に吸い込まれていく。現代人の象徴みたいな風景。
でも最近そんな「通勤」がちょっといい感じになった。
むしろポルノグラフィティのハネウマライダーが脳内で無限再生されるくらいの軽快さだ。
電動自転車からクロスバイクに。
以前から通勤は自転車だった。
通勤は徒歩40分、自転車で20分、バスで1時間かかるので、電動自転車で通勤している。
電動自転車はすっごく楽ちん。
歩くよりカロリーを消費しないんじゃないか、
というくらい軽く漕ぐだけで進む。
半分寝ながらぼーっと漕いでいても、いつのまにか職場に到着している。
自転車とは言いつつ、電車やバスのように「受け身でいい」移動手段だ。
通勤するたびに、自分は「職場まで出荷される部品」のように感じていた。
電車チャリの唯一のいいところは、手持ちぶたさすぎて、小顔体操しながら運転ができるところくらい。
それが一変したのは、夫がクロスバイクのお下がりをくれたことだった。
クロスバイクとは、よくピチピチのショートパンツと虫のような偏光サングラスをかけた人が漕いでいる(偏見)、あのスポーツ用の自転車のことだ。
▼今ではわたしの相棒。
はじめて見た時、そのピカピカ具合に驚いた。
かっこよすぎて、人が乗っていい乗り物なのかと疑問になった。美しいつやつやした毛並みの馬を見た時とおんなじ気持ち。
果たしてわたしが乗りこなせるものなのか...
一抹の不安はあるものの、なんかワクワクした。日常が変わるのって、いつもなんて唐突で、ささいなことから始まるんだろう。
工程が多すぎる事前準備
このGIOSとやら、
なんと鍵もライトもベルもついていない。
クロスバイクは「自転車の軽さ」が命だから、あれこれつけると自慢の軽さが無意味になるからだ。
さすがピカピカ自転車。
簡単には乗らせてくれない。
以下、自転車本体とは別に購入して、取り付けをしたもの。
ドライバー、スパナ、六角レンチさえあれば、作業できる。自分でできなくても、自転車屋さんでも取り付けてくれる。
◾️ライト
盗難防止のため、取り外しが簡単にできるものにして、乗らない時は外しておく。
USB充電式で、スマホの充電もできちゃう。170gで持ち運ぶとなると、すこし重たい。
◾️防犯対策
クロスバイクは軽いから盗まれやすい。ということで防犯対策に力を入れた。
まずはシリンダ式の錠前。
次にワイヤーロックも。
最後に秘策として、いつでも場所がわかるエアタグを隠せるベルを購入。
この自転車見守りアプリも登録した。
年会費4000円だけど、3台まで登録可能。
もともとはバイク用に登録したのでのちのち外すかも。
◾️キックスタンド
駐車するときのスタンド。
スタンドもないんか、このチャリは。
とクロスバイク様の不遜な態度に驚愕したけど、これも重りになっちゃうからロードバイク乗りは嫌うんだと。
◾️チェーンガード
スカートやワイドパンツで乗るとチェーンに裾が巻き込まれると、自転車が急に止まってめっちゃ怖い。
このガードをつけたら、巻き込まれなくなったか!
そもそも自転車にスカートは履くもんじゃねえ。
やっぱりクロスバイクには、ピチピチパンツが1番似合うんよ。
🚴🚴♀️🚴♂️
ようやく準備が終わった。
自転車にパーツを取り付けるなんて、
こんなにパーツが多いだなんて、
今まで知らなかった。
手がかかるほど可愛い。
じゃじゃ馬なほど速く走るもんだからね、と期待に鼻の穴がふくらむ。
さて、いっちょ乗ってみますか!
アッ、これは「通勤」じゃない。
「背筋が伸びる。」
これがGIOSに乗って、まず感じたことだった。
両腕を伸ばしてハンドルを掴み、前傾姿勢になるから、背筋が伸びるんだと気づく。クロスバイクって背筋を伸ばさないと運転できないんだ。
そして「前を向く」。
というか前方を向くことしか、できない。
スピードが出るし電動自転車のようにどっしりと安定してないので、横や後ろをふらふらと見る余裕がない。
前を強制的に向かされるから、
だんだんと気分も前を向く。
「体が動くと、心が動く」
これは実は脳科学でも証明されている。
「やる気があって、なにかを始めることができる」って思う人が多いけど、その逆。
脳みそっていうのは、今やっている動作を継続したがる性質がある。だからダラダラしていると、ついダラダラし続けてしまって抜け出せない。
それを逆手にとって、やる気がなくても机に向かうと、あら不思議、だんだんやる気がでて勉強ができてしまう。
体を無理矢理動かすと、脳がその状態を継続しようとついてくる。
だからね、背筋を伸ばして前を向いてハンドルを握ると、心もまっすぐ前向きになる。
電動自転車は半分眠りながらでも、ぼうっとしていても漕げてしまう。
なんとなくでも職場についてしまう。
早く漕ごうとしても、その重たい胴体が邪魔をしてスピードは出ない。
このGIOSは、漕げば漕ぐほどスピードも乗るから気分も爽快だ。
視界の隅に映る景色がぐんぐん過ぎていく。
80キロくらい出てるんじゃないかと、興奮と緊張から背中にじわりと汗をかく。もっと速くもっと速く漕ぎたい。
たぶんスピード狂ってこうやって生まれる。
ああ、わかった。
これはもう「通勤」じゃない。
ただ「自転車に乗る」ことだけを考えるマインドフルネスであり、もはや瞑想であり、人はこれを古来からスポーツと呼ぶ。
一度乗ったら、ロードバイクを買わない理由を忘れた
以前から、クロスバイクってかっこいいなと思ってはいた。颯爽と乗る自分を想像しては、
①安くはない買い物だし
②自転車通だとか、こだわりがあるわけじゃないのに、自分なんかが乗ってもいいのかという疑問
③雨の日だとタイヤが細いため、滑って危ない(?)
④タイヤが細いからパンクがこわい
⑤盗まれそう
⑥雑に扱えないのめんどくさい
⑦運動音痴だから乗りこなせるか心配
クロスバイクを買わない理由がぽこぽこと浮かんだ。
でも一度乗ったら、そんな理由ぜんぶ忘れた。
もっと速く買っておけばよかった。
そしたら通勤の往復40分がもっと違うものになっていたし、ていうかクロスバイクの選手とか目指しはじめていたかもしれないのに。
たかが通勤。されど通勤。
でもその時間を「あ〜〜〜仕事マジで行きたくね〜〜。しかも中学生邪魔すぎる...あーもう。」
と朝っぱらからどんよりに終始するより、
「やっべ!はっや!早すぎて逮捕されちゃうかも!うわ!秋の風、きんもちいい!みんなおはよう!おはよう!!」
仕事と完全に切り離して、通勤そのものを楽しめるってけっこういい時間の使い方な気がする。
あ、でも小顔体操ができなくなったから、顔はちょっとデカくなった。
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