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ウイルスは遺伝子の運び屋さん?

いつも読んでいただき
ありがとうございます。
さおりんです。


前回は、レトロウイルスが元で
シンシチン遺伝子に進化して
シンシチウム細胞をつくり
それが胎盤になっていったと
ご紹介しました。


そもそも
レトロウイルス的なものって
なんでしょうね。


これはかつて私たちの祖先が
レトロウイルスに感染した証
ウイルス由来の塩基配列のことで
「レトロトランスポゾン」と
呼ばれます。


2003年に
ヒトゲノム(ヒトのDNA塩基配列)
が解読されました。
つまり
30億という膨大な遺伝子の設計図
のパズルを紐解いて
どこにどんな遺伝情報があるのか
十数年かけて国際プロジェクトで
解き明かされたのです。


するとなんと!
ヒトゲノム全体の半分以上が
ウイルスに由来するのではという
パズルの組み合わせだったことが
わかったのです!!


このウイルス由来とされるものが
2種類わかっているので
ご紹介します。

①レトロトランスポゾン
レトロウイルスの情報を写して
押しこんだとされるDNA由来の
配列。

②DNAトランスポゾン
DNAウイルスがヒトゲノムの中に
残したのではないかとされる配列。


ヒトゲノムにDNAトランスポゾン
はたくさん組み込まれている
のですが哺乳類が誕生したあたり
から劇的に増えているのが
レトロトランスポゾンです。


およそ、2500万年前、
レトロウイルスが哺乳類の生殖細胞
に感染したのです。
その結果、「有胎盤類」の祖先
になりました。


つまり、ねこもネズミも犬もクマも
もちろん人も
「レトロウイルス感染グループ」の
子孫なのです。


その証拠にレトロトランスポゾンが
ヒトのDNAにもきちんと
残っていました。


ですから、私たちが胎盤をもつ
哺乳類になれて地球上に繁栄できた
のは祖先が感染したレトロウイルス
のおかげと言えるのです。


通常、遺伝子は親から子へと同じ種
のなかで伝わるものですが
全く無関係の他の生物種へ遺伝子が
移動する「水平移動(水平伝播)」
という現象が知られています。
これはどうやら
ウイルスが関与しているようです。


たとえば、ウイルスと生物両方の
遺伝子で塩基配列がそっくりな部分
が存在するという事実が
いくつもあります。


ですから、あるウイルスから生物に
遺伝子が移動したり、逆にある生物
からウイルスに遺伝子が移動したり
ウイルスが異なる生物種のあいだを
渡り歩くうちに遺伝子を運んだと
考えることができるわけです。


ウイルスというのはそれぞれ特定の
細胞にだけ感染するモノで、目印に
しているタンパク質が同じとか
似ている場合は本来の潜伏する宿主
とは違う細胞に感染することが
あります。


私は臨床検査技師ですが
冬になるたび必ず流行するウイルス
の検査にインフルエンザウイルス
というものがあります。


毎年流行株が変化し病原性が強く
感染力が早く入院病棟で感染を防ぐ
のにいつも悩まされますが
元々カモや水鳥の腸内にいる
インフルエンザウイルスが、ヒトに
感染するようになった病気
なんだそうです。


鳥とヒトなので、全く別の生き物
なので本来はウイルスは感染しない
はずです。
かつては植物に感染していたものが
動物に感染するようになった事例も
あります。


異なる生物種への水平移動に
ウイルスが関与している可能性は高く
結果として生物進化にウイルスが関係
していることは間違いないでしょう。


ウイルスは必ずしも
細胞の敵ではないです。
何億年という時間軸の中では
細胞と蜜だったという痕跡も
みつかっているのです。


ここまで読んでいただき
ありがとうございました。
さおりんでした。

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今回の記事は
武村政春教授の著書
ヒトがいまあるのはウイルスの
おかげ!
の中から抜粋しながら
わたしの臨床検査技師としての
知識や主張、想いと共に
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