見出し画像

巨大ウイルスは生物が進化した?遺伝子やりとりの証

いつも読んでいただき
ありがとうございます。
さおりんです。


わたしは臨床検査技師として
学生時代にも微生物學も実習で
勉強していましたし
微生物検査もできるのですが
世の中が突然変異のウイルスのことで
大パニックになりましたよね。
久しぶりに学んだらハマってしまった
のでシェアします。


いま生物学者の考えが
遺伝子にでたらめに変化が起こって
その環境で有利だったものが結果
突然変異した株のウイルスとして
生き残ったということでした。


ただ、突然変異のひとつひとつは
有利でも不利でもないものがほとんどで
それが遺伝的浮動により集団内に広まり
生存に有利となった生物が生き残って
きたそうです。


これは「分子進化の中立説」といい
日本の遺伝学者である木村資生さんが
1968年に発表されました。


この考え方からすると、巨大ウイルスは
すごく複雑ですから
「生物の細胞に感染して遺伝子を盗む
ように取り込んでいって自分のゲノム
(遺伝子情報)を大きくしたのではないか」
とも考えられます。
だからどんどん取り込んで進化していくと
いつかは生物になってしまうかもしれない
と思うとわたしはなぜかロマンを
感じてしまったのです。


この巨大ウイルスの研究はマイナー扱い
なので、見方を変えれば最先端の未知の
発見が次々に出てきそうな刺激的な分野
であることは間違いないですね。


でもね、ちょっとびっくりしたのが
巨大ウイルスのもっている遺伝子
など特定の分子を、分子系統学的に
解析するとその分子がおよそどのくらい
前にできたのか推測できるそうなんです。


そうやって真核生物のかなり根っこの
ところ原核生物から分岐したあたりまで
さかのぼっていくと、巨大ウイルスは
何度も真核生物に感染を繰り返したこと
が見えてきます。


すると生物と巨大ウイルスは、
非常に近い遺伝子をいくつも
持っていました。
解析していくと遺伝子がどのくらい前に
どちらからどちらへ移ったのか
推測できます。これはお互いに遺伝子を
やりとりしてきた可能性が高いことが
わかるのです。


つまり、真核生物と巨大ウイルスは
お互いに進化しあっている関係だと
考えられます。


ウイルスは、細胞が感染によって
乗っ取られひたすら量産させられた
あげくに使い捨てられるような前提で
研究が進められてきました。
これが病原性ウイルスですね。


細胞が一方的に被害者になってしまう
ウイルスなんです。
でも、最近は
病原性をもたないウイルスも
圧倒的に多いことがわかってきました。


通常の微生物検査というのは
ある特定の微生物だけを取り出して
寒天に塗って数を増やして培養という
作業をするのですが
そこから遺伝子情報の解析などが
おこなわれていました。


最近はたとえば、試料の海水から
遺伝情報を一網打尽に解析する
「メタゲノミクス」という手法が
使われるようになることで
未知のウイルスが次々と
見つかっています。
いわば、ウイルスの海です。
生きているなかに自然界には
おびただしい数の微生物が存在します。


そのなかでも19種類もの翻訳遺伝子
アミノアシルtRNA合成酵素遺伝子
を持つ「クロスニューウイルス」も
そうやって見つかった巨大ウイルス
でした。


さあ、そんな
病気を起こさないウイルスが
何をしているかというと
やはり細胞の中に自分の遺伝子を
まき散らし、量産工場にしています。


でも細胞を殺したりひどいダメージを
与えたりすることはあまりないです。
長い期間のなかで感染を繰り返すうち
お互いの遺伝子に影響を与え合った
ことが遺伝子の解析から
わかってきました。


いまある生物はウイルスから恩恵を
受けてきた可能性が高いのです。
たとえば、哺乳類のなかに、私たち
ヒトも含む「有胎盤類」が現れたのは
ウイルスのおかげだったことが
明らかになっています。


また、このお話は
次回書いていこうと思います。
ここまで読んでいただき
ありがとうございました。
さおりんでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?