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ゾンビとウイルスの共通点

いつも読んでいただき
ありがとうございます。
さおりんです。


私たち、多細胞生物の世代交代は
生殖細胞によって行われます。
生殖細胞は精子も卵子も単細胞
なので単細胞生物からの仕事を
そのまま受け継いでいます。


私たちが個人というと
膨大な体細胞からできあがった
個体を指していますよね。
生身の体を持っているのが
本当のわたしであり、精子や卵子
ではないですよね。


これをウイルスにあてはめると
宿主の細胞に感染して増殖しつつ
あるウイルス工場の状態こそ、
ウイルスの本当の姿ということです。


だから、電子顕微鏡写真で私たちが
見るようなウイルスの粒子は
ウイルスの本当の姿ではない、と
主張する研究者もいます。


ウイルスは、細胞をもたないことや
自分では増殖できないことから、
生物の仲間に入れてもらえません。


しかし、フランス人の微生物学者、
パトリック・フォルテールは
これはウイルス粒子を見ていたから
ではないのかという疑問を
投げかけました。


不活性なウイルス粒子を本体と
考えるから、生きていないという説
が支配的になった、という前置き
の上でフォルテールは、
ウイルス工場はウイルス粒子を
つくる工場と読み直すべきなのだ
と主張します。


これを言い換えると
ウイルスの本当の姿とは
ウイルスに感染した細胞なのです。


ウイルスに感染すると、それまで
の細胞とは違ってウイルスが
命じるままにタンパク質をつくる
ようになります。


フォルテールは、この状態を
「ヴァイロセル」と呼び、これは
ひとつの細胞性生物である、と
述べています。
  

ヴァイロセルはウイルスに感染した
細胞というより、細胞を持った、
れっきとした生物と考える、
ということです。


ヴァイロセル仮説は、いまはまだ
たとえ話のひとつにすぎないのです
が、とても独創的で示唆に
富んでいます。


でも私たち人間が解き明かしてきた
ことは世界のある一片を切り取った
にすぎず、実際はもっとずっと複雑
です。


ウイルスが命じるままにタンパク質
をつくるようになった細胞をある種
の細胞性生物なのだととらえると、
脳裏に浮かぶのはホラー映画に
出てくるゾンビです。


ゾンビとはなんらかの理由で
動き回るようになった生ける死体
や蘇生死体です。


ゾンビによって傷つけられたり
殺されたりした人間もゾンビに
なります。そうやってどんどん仲間
を増やしていきます。


感染によって別の生物の細胞を
コントロールの下に置いて次世代を
つくるウイルスは人間をのっとる
ことで仲間を増やしていくゾンビ的
な行動をしているといえそうです。


ウイルス粒子を放出し、生物の細胞
をのっとって生物の完成形となり、
次世代をつくるためウイルスを量産
し、再び粒子を放出します。


ヴァイロセル仮説は、いままで
信じていた生命観を揺るがすもの
です。
生ける死体=ゾンビのように平穏
無事な日常をひっくり返すような
インパクトをもたらします。


でも、近年ゾンビはなぜか人気が
あります。ドラマや映画の題材にも
なったりしています。
ゾンビの何が私たちを魅了する
のでしょう。


ウイルスは、われわれの世界の
隣り合わせにあるもうひとりの
世界、パラレルワールドのような
存在です。


生物とは違った概念で増えていく、
すぐそこにある異界です。
増えていく仕組みは同じだけれども
まったく隔絶したルールのなかで
存在しています。


パラレルワールドであるウイルス
の世界が、私たちの世界とは隔絶
している根拠に、ウイルスは
共通祖先をもたないことが
挙げられます。


私たちヒトも植物もカビも大腸菌も
進化論の観点から見ると
進化の道筋をさかのぼっていくと
たった1つの祖先にたどり着くと
考えられています。
その共通祖先から数十億年かかって
さまざまな種類の生物に進化したと
言われています。


それは、遺伝子としてDNAを
持っていること、セントラルドグマ
という仕組みを持っていること、
細胞を基本構造にしていることなど
すべての生物が共通してもっている
性質があるからです。


一方、ウイルスには共通祖先が
いないです。
DNAウイルスとRNAウイルスが
いて、ゲノムとして使う物質が
異なること自体、共通祖先がいない
ことを意味しています。


しかし、ここにきて生物もウイルス
も含めた共通祖先が
DNAレプリコン(巨大ウイルスの
原型)だったのではないかという説
が出てきているので
いまやウイルスと生物を分けて
議論することは現実的では
なくなっています。


ちょっと話が
難しくなってきましたね。
くわしくはまた別な記事で
ご紹介しますね。


ここまで読んでいただき
ありがとうございました。
さおりんでした。

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今回の引用元は
東京理科大学教授
武村政春さんの著書
「ヒトがいまあるのは
ウイルスのおかげ!」です。
こちらを一部要約させて
いただいております。
ぜひ、お手に取って
読んでみてくださいね。

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