失敗だらけの新人だったからこそ、得られた未来
4月になった。
見計らったかのように、保育園への道の木が淡いピンク色になっている。週末にはお花見にいけるかな、お弁当持って家族と食べられるかなー、と鼻歌混じりにハンドルを切る。
こういう、ささいな日常のワクワクがしあわせだな、と思う。
自然の小さな変化を五感で感じられるのを、大人になってからうれしく思うようになった。
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所用で市役所に行くと、新入社員らしきスーツ姿の女性が、先輩職員の案内で施設内を歩いている。
そっか、4月は新卒の新入社員が入ってくる季節なんだなぁと思う。
私が新卒だったのは、1⚫︎年前か。
高卒で就職したので、18歳だった。バイト経験もない私が、いきなり地元企業の正社員入社。
今思うと、そりゃたくさん失敗するよなぁー、やらかすよなぁと冷静に思う。
事務職だけど、苦手な電話応対ばかりで案の定毎日地獄のように苦戦した。
男性ばかりの職場で、限られた女性社員の先輩は、怖くて厳しい方ばかりだったっけ。
電話先の声が聞き取れなくて要件がわからず、何度も叱られたり、呆れられたり、お客さまに怒られたり……。苦い思い出ばかりだ。
「私、社会不適合者だったんだなぁ……」と思いながらも、当時はリーマンショック後の就職難の時期だった。辞めると後がないので、ひたすらがんばるしかなかった。
毎日帰宅途中、車で泣きながら運転したり、会社の車から出るの前に足がすくんだりしていたのを、今も断片的に覚えている。
▼当時の様子
でも、あの経験があって良かったなぁと今は思う。
仕事は慣れれば、少しラクになる
一生懸命やっていたら、助けてくれる人もいる
「働きやすさ」は仕事の質で獲得する
信頼される人になることが大切
クレームには「まずは謝る」&「感謝」を伝える、がスタート
「いい人」でも「仕事ができない」と会社での居場所はなくなる
などなど……学んだことはたくさんある。
紆余曲折を経て、今はフリーランスにたどり着き、ありがたいことに毎日楽しく仕事ができている。それは、間違いなくあの頃の学びがあったからだと言える。
あの会社や上司、先輩方には、本当に皆感謝している。
どんな環境でも「学んでみよう」という前向きな姿勢があれば、なんとかやっていけるのだ。
とはいえ、あの頃に戻りたいかと言われたら、絶対にNOだ(笑)
でも、あの経験がなければ「不適合な仕事に就いてしまい、地獄を味わいながらも、今日も会社に向かう人の気持ち」は、わからなかっただろう。
たまたま運良く、最初からスムーズにできる仕事に就いていたら、「仕事が向いていない人の気持ち」「仕事ができなくなっている人の気持ち」は、わからない人間になり、何かと傲慢でイヤなヤツになっていたかもしれない。
ふとした瞬間にのぞく、悪意ある言い方や、傷つける対応を無意識に取るなどを「する側」の人間だったかもしれない。
過去の派遣の仕事や、今のフリーランスの仕事でも「一緒に仕事しやすくて助かります」と言っていただけることが多いのは、あの頃の苦労があったからだろう。
そう考えると、一見ネガティブな時期や経験だって、その瞬間すぐプラスに感じるのだ。闇が光になる。
「がんばれ!そして、がんばってくれてありがとう、あの頃の自分」
懸命に先輩の話を聞いている目の前の新入社員と、新入社員だったあの頃の自分に、そっとエールを送った。
最後までお読みいただき嬉しいです♪ありがとうございます!これからも心を込めて執筆していきます。