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ポジティブに心理学を|株式投資からチャーハンまで?

インデックス投資のノウハウをネットで調べていた時に、心理学で用いる「フレーミング」という概念を活用することで、暴落時にも株を売らずに我慢することができるようになり、困難を乗り切っているという投資ブロガーさんの記事を見つけました。

「フレーミング」とは情報を捉える際の、解釈や認識の認知的枠組みのことを指します。

株式投資で資産を増やそうと奮闘している場合は「20万円減少してしまった」と考えるのではなく、「520万円が500万円になってしまった。まだ500万円残ってる!」とポジティブに捉えるという心理学のテクニックです。

なるほど~と唸りながら、やはり辛いことを我慢するのは気合や根性ではなく、賢い工夫が必要なんだと再認識した次第です。

この「フレーミング」は何も株式投資のための心理学ではなく、人生における様々なケースで応用できるものです。

僕も過去に闘病経験があるのですが、当時は無意識にフレーミングの概念を活用して辛い時期を乗り切っていました。

「フレーミング」は、株式投資から闘病まで、あらゆる逆境に応用できるということなので、ぜひ多くの方に活用していただきたいと思い今回紹介させていただきます。


心理学におけるフレーミング効果

フレーミングとは心理学の概念で、同じ情報でも異なる視点や角度から情報を捉えることで、その情報の解釈や認識に影響が生じる現象を指します。

『ファスト&スロー』の著者であり、行動経済学の第一人者のダニエル・カーネマン氏と、心理学者の故エイモス・トヴェルスキー氏によって発表された概念です。

この考え方は、同じ事実でもどのような枠組み(フレーム)で解釈されるかによって人々の受け止め方や反応が変わる可能性があるというものです。

フレーミングをポジティブに活用すると、上述の株式投資の例で説明したように「20万円減少してしまった」と考えるのではなく、「520万円が500万円になったけど、まだ500万円残ってる」と考えることができます。

フレーミングは、同じ事実に対しても異なる視点から見ることで、僕たちの物事の感じ方や行動を変えてくれる強力な心理的ツールになります。

それでは、まずは僕がどの様な考え方でフレーミングを応用していたのかご紹介します。

逆境の立場で役立つフレーミング

さて、このフレーミングの概念を知った時、僕は過去の闘病経験を思い出すこととなりました。僕が経験したのは胃がんであり、胃の全摘出を伴う大掛かりな治療でした。詳しくはプロフィール記事をお読みください。

投資によって資産が減ってもその後の運用や稼ぎで減った資産は取り戻せますが、摘出した臓器は取り戻すことができません。この喪失感をフレーミングで乗り越えられるかというと、そこまで簡単なものではないでしょう。

しかし、あらゆることで喪失感に悩んでいた当時の僕は、そのメンタリティーの弱さから現在の行動においても消極的になってしまい、仕事を失って友人もだんだんと減っていき、恋人もできないまま、弱った状態でただ生き伸ばされていくだけの日々を送っていると感じてしまいます。

「これでは病気を治した意味がない」と思い立ち、意識を変えて積極的に様々な行動を始めました。多くの本を読み、様々な人と交流し、異なる環境に身を置いて、自分の価値観に変容を与える経験を進んで実行し続けました。

それによって、胃は失ってしまい食事が満足にできないけれど、自由に動かせる両手両足、抗がん剤治療で一時失ったけれどもその後に蘇った味覚、そしてこの先何十年にも渡る人生を生きていける権利、これらを「まだ持っている」と少しずつ思えるようになります。

これが逆境の立場で役立つフレーミングです。

しかし、我ながらこれは極端な例だと思います。もっと身近な活用方法はないのでしょうか?

身近なフレーミングの活用例

フレーミングは誰にでも応用可能で便利なテクニックです。二つのケースで活用例を考えてみたので、実践できそうな方法から試してみていただけると嬉しいです。

仕事におけるフレーミングの活用例

例えば仕事で給料が下がってしまったり、希望しない部署に急な異動になったり、同僚や上司から強いストレスを与えられてしまったり、様々なネガティブな出来事が誰にでも起こるはずです。

こういった仕事における嫌な出来事に対して、僕は基本的にフレーミングを活用して「仕事があるのは幸せなことだ」と考えるようにしています。

かつて病気を機に無職を経験したこともあるので、仕事の中身で嫌なことがあり悩むことがあっても「仕事がない悩み」がいかに辛いかを知っているのです。そのため、仕事への捉え方も変えやすく、この様に「仕事がある」という、今あるものに焦点をあてることができます。

そういった経験がない優秀な方だとしても、例えば「仕事が辛い」という枠組みを少し昔の終身雇用が当たり前だった時代や、もっと昔の職業選択の自由が与えられていない時代の世界観を枠組みにして捉えれば、「今の仕事は辛いけれど転職がしやすい時代に生きている」とは考えることができそうです。

他にも、コンピューター誕生以前の作業に思いを巡らせて現在の自分の生産性を考えてみたり、労災保険という概念が生まれる前の世界観で現在の労働環境を見てみたり、いろいろと考えようはありそうです。

料理におけるフレーミングの活用例

フレーミングの活用シーンは仕事だけに留まりません。毎日のように必要となる料理においてはどの様に活用すればよいのでしょうか。

例えば、今晩のメニューは「豚肉と卵のチャーハン」にするつもりで、仕事帰りに豚肉と卵をスーパーで買って帰ってきたとしましょう。ついでにビールも買います。

早くチャーハンを食べたいと楽しみにしながら自宅で料理の準備を始めると、お米が残っておらず買い忘れてしまったことに気づきます。

ここで途方に暮れてしまい、諦めてビールを飲み始めてしまってはいけません。フレーミングを活用してこの状況を乗り越えるべく、冷蔵庫を開けて何が残っているかチェックしてみましょう。

冷蔵庫の中にはうどんの麺が残っていました。

買ってきた豚肉と卵を炒め、うどんを加えて醤油ベースのタレで味付けをすることで、予想もしていなかった美味しい焼うどんが完成します。

しかもどちらかと言うとチャーハンよりもついでに買ってきたビールとの相性が良い気がします。

この様に、予定していたチャーハンとは違う料理になりましたが、美味しい焼うどんを味わうこととなり、フレーミングの活用によって予期せぬ逆境をクリエイティブなチャンスに変えることができるのです。

逆境をフレーミングで乗り越える

長い人生において、困難や逆境は数えきれないほど待ち受けているはずです。考えるだけでうんざりしてしまうかもしれません。

しかし、困難も逆境も実際はそこに存在しているだけです。

僕たちが物事の捉え方を変えることができれば、それは困難でも逆境でもなく豊かさの種なのかもしれないわけです。

現在の状況だけに囚われず、心の持ちようや視点を変えることで、例え小さな預金しかなくても、未来をより豊かにすることができます。お米を切らしていた様な小さな困難から株式投資や闘病生活まで、誰もが活用できるテクニックが今回紹介したフレーミングです。

きっと人生を豊かにしてくれるはずです。ぜひ身近なところから活用してみてください。


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