【📖レビュー】きょうだいの育て方｜小﨑恭弘

一人目妊娠が30代だった我が家にはまだぴよぴよ0歳児が1人ですが、同世代では2人目、3 人目と育てていらっしゃる家族が多い。私も3人兄妹なので、将来的にはきょうだいが欲しいなぁとも思っています。

がしかし、1人だけでもこんないあっぷあっぷしてるのに、きょうだいいたらどうなんねん！という不安が芽生え（気が早すぎる）手に取った本。

きょうだいの育て方

読んだ感想

上の子、下の子、真ん中の子の気持ちがわかるというカバーの言葉通り、きょうだいそれぞれのポジションの特性がいろんなパターン(兄妹、姉妹、男男女、女男女等)で解説されているので、わかりやすい＆面白い！
最後のFAQパートも"あるある"な内容ばかりで為になります！

この本の著者の小﨑さんの愛あるマイルド関西弁の文体も好き。

きょうだい育児の教科書みたいな「ほうほう。」と学びの多い一冊でした。

---

まとめ

この本はきょうだい子育てに奮闘する親御さんの心を少しでも軽くするために書かれた、きょうだい育児のヒントがつまった本です。
きょうだいそれぞれの気持ちやポジションによって異なるむずかしさや、それぞれに伝わるしかり方、愛情の伝え方がまとめられています。

きょうだい育児の難しさと必要な心構え

①それぞれに適切な対応をするために”どう違うのか”を理解する

※それぞれの違いについては後述
・きょうだい子育ての悩みは「上の子と下の子の扱い」のむずかしさ
・それぞれ個性や年齢差があるのに「平等」に扱えという文化が存在する
・必要なのはそれぞれの背丈にあった対応をすること＝「公平」

②子どもは親に愛され、自尊心や自己肯定感が満たされて初めて、他人や社会(共同体)を愛することができる

・きょうだいは親の愛を奪い合う存在
　※叱られてもいいから関わってほしいと思っている！
・赤ちゃん返りは親子の信頼関係が築けている証拠
・子どもは「一番」がだいすき
・まずは「あなたが大好き」という気持ちを満たしてあげる
・きょうだい＝共同体ということを実感させる

声がけのコツ
上の子の「〇〇(上の子)と△△(下の子)とどっちが好き？」という質問に対する答えは「あなたが一番よ」でOK！
　※抵抗があるならそのあとで「でも△△も好きよ」と伝える。

③仲良くなくても大切な存在。けんかは貴重な社会勉強！

・きょうだいは社会の葛藤を学ぶ子どもの成長に最高の存在
・きょうだいげんかの判定は各家庭(社会)のルールでOK
※先に手をあげたほうが悪い、基本的に上の子を怒る等
・きょうだいの関係性は一生変化する
・「仲良くなったらラッキー」「うまくいったら素敵」程度に構える

④それぞれの個性を認め、「みんな違ってみんないい」を意識する

・親に必要なことは、きょうだいを変に比較しないこと、むやみにライバル視をさせないこと
・俯瞰的に客観的にきょうだい関係をメンテナンスする
・上の子の子育てでできた”ものさし”(子育ての価値観)は下の子に適用しない。(例：〇か月で歩いた。〇か月で××ができた。)

同性のきょうだいと異性のきょうだい

同性きょうだいはいいこともダメなことも高めあえちゃう存在

・同性のきょうだいは遊び・趣味が似る傾向がある
・上の子の子育て経験を生かせるので育てやすい
・同じものさしで比較できる分ライバル視が強まる

異性きょうだいは多様性を意識できる存在

・きょうだいを通して異性に対する一定の理解が進む
・服やおもちゃなど個別対応が求められてがかかる
・「男のだから」「女の子だから」と言いがちなので注意！

思春期以降の関わり

・3歳ごろから”自分”と”自分以外”を意識し、集団生活を経て性別を理解
・12歳ごろから第二次性徴期(思春期)が始まる
・上の子が「自分の部屋がほしい」というまでは同部屋でもOK
※思春期以降に別部屋が作れなくてもパーソナルスペース
   (誰も入れない場所)が確保できれいてばOK

---

上の子の育て方

【上の子の良い面】
・第一子として周りの愛を一番に注がれてきたので、自信があり自己肯定感が強い
・人懐っこくコミュニケーション力も高い
・自分のペースがあり、おおらか、勝ち負けにこだわらない
・(特別扱いされてたので)余裕があり、のんびり屋さんになることも
・優しく世話好きでリーダーシップを発揮
・場を仕切るリーダーになる

【気を付けたい面】
・自分が一番出ないと気が済まずストレスがたまる
・プライドが高く自己中心的
・他者に対して威圧的、支配的になりがち
・注目を浴びるためお調子者になる(時に度が過ぎることも)

お兄ちゃん・お姉ちゃんという年齢的にも立場的にも親からの期待に応えることを求められ、つらいこともある。
育て方のポイントはプライドを保ちつつ、頑張りを認め、感謝を伝えること。

《GOOD声がけ》
「さすがお兄ちゃん！強い上にやさしいね」
「お兄ちゃんは年長さんだししっかりしているから、妹にもやさしくしてね」
「いつも頑張ってくれてありがとう」
「たまには、わざと負けてもいいんだよ」
《NG声がけ》
「お兄ちゃん／お姉ちゃんでしょ」
「お兄ちゃん／お姉ちゃんなのに」
※お兄ちゃん・お姉ちゃんになりたくてなったわけではないのでストレスになるのでNG

▶兄×弟パターン
負けてもよいことを、優劣にこだわる必要のないことを小さいうちから教える
・兄は絶対に弟には負けられないという意識があり、すべてに勝たないと気が済まない！
・乳児期は身体的にも精神的にも圧倒的優位だが、成長してから初めて負けを知るととんでもない挫折を味わい、心がおれてしまうこともある

《GOODな声掛け》
「よく我慢したね。本当の強さは気持ちの強い人のことだよ」
「辛いときはないていいんだよ」
「自分のきもちを出して周りの人と仲良くするのも大事だよ」

▶兄×妹パターン
ほどよい距離感が保たれるが、関係が気薄になりがちなため、共同作業やミッションを与え兄の責任を意識させる

・力や体の大きさで優っており常に優位にたてるため、兄×弟ほどライバル視はしない
・兄が頑張らないといけない状況があればリーダーシップを発揮できる

《GOODな声掛け》
「二人で一緒にお手伝いをしてくれる？」
「お兄ちゃん一緒に遊んであげてくれる？」

▶姉×妹パターン
姉として頑張っていることをいたわり、感謝の思いを伝える

・自分がどう期待されいるか敏感に察し応じようとする共感力があるのが女の子
・周囲からの期待に応え「しっかりもののお姉さんキャラ」になる
・「がんばらなくては」「でもうまくいかない」葛藤にしんどくなることも
・親はプレッシャーを感じないように配慮する
・女の子は男の子のように相手より優位に立とうとするのではなく、「共感性」を重視するため順列、勝敗のための喧嘩がおきにくい
・一方で「私だけを特別扱いして」という感情で、親に告げ口をしたり相手を蹴落とそうとすることがある

《GOODな声掛け》
「いつも頑張ってくれてありがとう。お礼にアイスをたべようか？」
「お姉ちゃんがいてくれるから楽しく過ごせるよ。ありがとう」

▶姉×弟パターン
ママの役割を果たすことでママの評価を受けようとする＆弟を支配する

・お母さんの口調まで真似し、世話を焼き弟を叱ったりする
・過度の世話焼きは弟を子分やペットのように扱うことにもなりかねない
・いきすぎた態度に親はお姉ちゃんに役割を与えすぎない

《GOODな声掛け》
「そこまでやってくれてありがとう。後はお母さんがするね。」

《ＮＧな声掛け》
「●●(弟)が悪いことをしているから叱ってきて！」
※叱りや注意するなどの行為を姉に頼らない

---

真ん中の子の育て方

【真ん中の子の良い面】
・兄／姉に対する競争心から負けず嫌いの努力家タイプが多い
・自分の存在感のアピールのため、自分の得意分野での努力を惜しまず、才能を発揮
・バランス感覚の優れた調整役になる
・冷静に見極め、分析し、最良の方法を選ぶことができる
・(上の子に比べ)期待値が高くないので自立心が培われる
・放っておかれることがおおく自分のことは自分でするようになる

【気を付けたい面】
・負けず嫌いがつよすぎると権力や権威に対して強く抵抗感を感じやすい
・自分の意見をまげない強情さがある
・周りの顔色を窺い自分の意見を押し殺しやすい
・強いもののいいなりになるイエスマンの傾向がある
・2番というポジションに落ち着き、遠慮がちになる
・自尊心が低くあきらめやすい

良い面も悪い面も親との関わりが減り、目が行き届かないから。
育て方のポイントは特別に意識をして、個別の時間を設けること。

▶兄×男×弟パターン
過剰なくらいほめ、よいところを認めてあげる
・兄には強さで勝てず、弟にはかわいさで勝てないポジション
・独自路線に走りやすくなる

▶兄×男×妹パターン
「あなたのこと大好き」というメッセージを伝え続ける
・兄には強さで勝てず、初の女の子＝姫に挟まれた微妙なポジション
・過剰なほどアピールをする傾向になる※これがいたずらに発展することも

▶姉×男×弟パターン
親はしんどいポジションであることを理解してあげる
・「弟なんだから我慢しなさい」「おにいちゃんでしょ」という矛盾を抱えて育つ
・無意識の”最初に生まれた男子”のプレッシャーを感じている
・母のようにふるまう姉への対抗心で弟に意地悪をすることも
・母姉連合と兄弟連合でうまくバランスがとれることもある

▶姉×男×妹パターン
親は積極的に男の子との関わりを意識してあげる
・女の子に囲まれているのでやわらかい雰囲気な子になる
・コミュニケーション能力が高く、人と関わりが丁寧
・反対に男の子の集団に馴染めないことも

▶姉×女×妹パターン
器用な調整役の息抜きをさせてあげる
・女の子が3人集まると非常に騒がしい！
・膨大なコミュニケーションのコントロール役を器用にこなすようになる
・頼りすぎると疲れてしまいすねてしまう
・「いつもありがとう」と頑張りを認めてあげる

▶姉×女×弟パターン
妹と姉の役割を使い分けるフィクサー(黒幕)的存在！普段の姿を認めてあげる
・姉であり、妹である立場を自分のいいように解釈し我道を進む
・全体の調整役または黒幕になる
・姉をみて”姉とは”を学び弟を操り動かすのもうまい
・調整役がうまくいかないときにキレることもあるが、「たまには感情を爆発させてもいいよね」といって攻めるのではなく普段の姿もみとめてあげる

---

下の子の育て方

【下の子のいい面】
・競争にさらされにくく、自分の思いを大切にできるのびのび＆おっとりした子になりやすい
・上の子とは一線を画す独自の個性がある
・人と争い合わずに渡り歩く、対人能力が高い
・よく気が回り、配慮できる
・親やきょうだいに囲まれ様々なルールの中で育ち、自律能力高くまじめな面もある
・社会正義、倫理観を意識する傾向があり几帳面でしっかりした考えがある　

【気を付けたい面】
・親やきょうだいからの愛が重すぎる場合、不安定になったり暴走してしまう
・親の体力も劣ってくるため何かと甘くなる
・甘えが強く、依存傾向があり心のコントロールがへた
・年上との関係に比べ、同年代や年下との付き合いが苦手
・リーダーシップをとったり全体をまとめることが苦手

下の子は常に上の子の影響を受けて育つ。上の子は下の子に対し、多少なりとも”親の愛を奪う存在”として否定的な感情を持っている。下の子はそれに対し、徹底的な従属に甘んじるか、抵抗を示し上を乗り越えるかのどちらかの態度をとる。どの関係性を築くかは家庭内のバランスによる。

▶兄×弟パターン
それぞれの個性を大切にし、高めあえる存在に
・同じ場合、兄のいうことは無条件に聞き入れコントロールされてしまうこともある
・正反対の場合、「兄のしてることは絶対しない！」と頑固になることもある
・方向性が異なる場合、共通の関心や家族全体でいっしょにできることを探ってみる

▶姉×弟パターン
男性との関わる機会をつくる
・もう一人の母親約を演じる姉にコントロールされがち
・姉の遊び相手をすることで細やかな性格になりやすい
・日頃から男きょうだいのいる友達と遊んだり、父親が積極的にかかわることで男性との関わりを意識する

▶姉×妹パターン
過剰な自信家にならないようにやさしさを一緒に育てる
・姉に対しては基本的に従順
・姉の経験値を自分の糧とし容量よくふるまえる
・同じものをほしがるが、同じ扱いを求めている
・姉の大きすぎる場合従順キャラに、小さすぎる場合、姉を見下すようになる

▶兄×妹パターン
親ときょうだいが対立する場面を意識的に演出
・感情のコントロールがうまくウソ泣きもうまい
・兄の過ちから学習する器用さがある
・きょうだいげんかでも上が叱られることがおおく、自分のことだとうけとめにくい
・きょうだいが一致団結できるような関係性も時には重要

※本ではこの他に双子育児についても解説されています。

---

きょうだい育児あるある相談

Q．上の子(4歳)に下の子との関わりをどう教えるか？
A．子どもはお母さんが大好きなので「ママがだいすきな赤ちゃんだよ」
と教えてあげると「この子（下の子）は大切な子なんだ」と理解することができる。また「こうやって抱っこしてね」「たたいてもわからないから、お口で言っておしえてあげようね。そのうち分かるようになるよ」など接し方を親が見本をみせるように教えてあげることが大切。
もし可能であれば、下の子が生まれる前から、また上の子の妊娠中の臨月の写真などを見せてあげ「あなたもここにいたんだよ」と教えてあげたり、「お兄(姉)ちゃんになるのは素敵なことだよ」と少しづつ伝えておくのがGOOD！

Q．手が出るきょうだい喧嘩(兄5歳・弟2歳)に親はどのタイミングで仲裁すべき？
Ａ. けがをしなければ止めなくても大丈夫。無理に仲裁にはいってもきょうだいのストレスは解消されない。親のすべきことは仲裁でなく、言葉での解決方法を教えること。「どうしてけんかになったんだろう？」と話し合ってみることで小さいときから、暴力以外で解決する方がよいことを学ぶ機会になる。
またけんかで子どもたちの「どっちが悪い」の判断について「つねに正しいジャッジ」をしようと思う必要はない。「お母さんはわからないから自分たちで話し合いなさい」でもよいし、各家庭ごとにルールを決める(例：)しかし、圧倒的に有利な上の子が下の子に不条理なことをしたときは叱ることが必要。叱るときは何がダメか、何が正義かを一緒に教える。

※本ではこの他に、年の差きょうだいにていて、タイプの違うきょうだいについて、きょうだいへの愛情の差についてなどの質問に対する回答が書かれています。

---

きょうだいの育て方
著者　：小﨑恭弘
出版元：洋出社
発行　：2017/4/4



#ブックレビュー #書評 #育児書#育児#きょうだい育児#きょうだい#家族#声がけ#プレママ#0歳児#1歳児#2歳児
#きょうだいの育て方