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【📖レビュー】心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」|ボーグ重子


読んだ感想


全米最優秀女子高生の母であり、ライフコーチとして活躍するボーク重子さんの著書。

生きる力とは、自分で自分の人生を切り開いていく力。

それを育む “非認知能力”の大切さや育て方について、自身の子育てを振り返りながら紹介されています。

0~10歳の家庭教育とありますが、年齢別の育て方が紹介されているわけではなく、親の心持ちや向き合い方がメインに書かれていました。

つまるところ、“非認知能力”教育とは子どもを信じて人間として尊重することということがよく理解できました。


第1章 非認知能力とは~数字で表せない、豊かな「人間力」と「生きる力」~

「非認知能力」とは
IQやテスト結果のような数値化できる能力ではなく、問題解決力、柔軟性、心の回復力、自制心、やり抜く力、社会性、共感力など、従来の「学力」とは異なる、数値化できない人間力のこと。

2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のジェームズ教授の研究では、乳幼児期に早期教育をしてもIQの数値が高まるのは短期間だけで、長期的な学力を高めるのは学習意欲や、誘惑に勝つ自制心、課題に対峙したときの粘り強さなどの非認知能力の高さであることが判明したというのです。

娘の通う保育園が「非認知能力」を育む方針であり、その重要性に触れた著者は家庭教育でも取り入れることにしました。実際に行ったのは、3つ
①    家庭のルール作り
②    豊かな対話とコミュニケーション
③    思う存分遊ばせる

また、子どもが安心してチャレンジできる環境づくりのために、3つの柱が重要だといいます。

①    「子供の存在を認めること」
②    「子どもの個性を認めること」
③    「子どもが楽しむことを重視した環境」

3つの柱の実践のためには、子どもよく観察すること。
そして、親が自分の希望を押し付けず、子どもを肯定的にみとめることが何よりも大切だそうです。

第1章のポイント


・就学前の幼児教育によって、子どもたちの学力やIQが上昇することが判明

・しかし、IQなど数値的認知能力への効果はとても短期的なものにすぎない

・就学前の幼児教育によって、大幅に、しかも長期的に改善されるのは、自制心や社会性、コミュニケーション能力、回復力、創造性などの「非認知能力」である

・非認知能力があがれば、学歴や年収、雇用などの面でも大きな影響を及ぼす

・非認知能力がもっとも伸びるのは0~10歳ころの時期 

・AIが多くの仕事をこなしていく時代に求められるのは、想像力と問題解決力
心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」

第2章ルールを作る~自立心と自制心を伸ばす枠組み~

子ども自己肯定感を高めるためになんでも自由に発想しやりたいことをやらせることは非常に大切ですが、無法地帯で思い通りにさせるということではありません。

自分勝手で他者への思いやりに欠けた衝動的な子どもと、非認知能力の高い子どもの差は、社会性や、自制心、責任感の有無です。

それらを育むために、家庭の中のルールを子どもも一緒になって作り、家族全員が責任をもって守ることが重要であると書かれています。

第2章のポイント

・子どもに明確な「限界」を提示することで「ここまでならやってもいい」と思える安心感を与えることができる

・たくさんのルールをつくりすぎないこと

・年齢相応のルールをつくること

・ルールを決める話し合いに、子どもを酸化させること 

・家族でルールをつくり、自分で守らせることによって、自己肯定感や達成感、自制心、自主性など非認知能力が育まれる

・家族にとって大切なことと、どうでもいいことを区別する

・子どもがルールを守らない場合はじっくり話を聞き、親子で丁寧に対話する 

・ルールを守ることが定着すれば、子どもは成長すればするほど手がかからなくなる
心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」

第3章対話する~親子の対話がコミュニケーションを伸ばす~


長い間「読み書き」を重視されていた日本と欧米とでは、コミュニケーション力を苦手に感じている人が日本人の方が圧倒的に多いそうです。欧米では幼稚園や小学校から自分の好きな物を発表する機会があったりとコミュニケーション能力を磨くカリキュラムが充実しています。

コミュニケーション能力の土台に必要なものは自己肯定感、さらに表現のスキルとして家庭での言葉かけが重要であると書かれています。

第3章のポイント

・親が子どもに話しかける量によって、その後の子どもの学力が大きく変わる

・子どもの「なぜ?」に「どうしてだと思う?」と問い返すことで考える力を伸ばす

・イエスノーでは答えられないオープンエンドな質問をする

・「自分だったどうする?」の質問で答えを導く手伝いをする

・本の読み聞かせをしていた子どもは、語彙が豊かで算数のスキルも高くなる傾向がある  

・否定的な親の言葉かけは子どもの能力を抑える

・子どもをほめるとき、その能力よりも努力を誉めると自己肯定感が高まる

・理由をきちんと話すことで、子どもの自制心を伸ばす 

・「今日一日あった出来事」など、テーマを決めて子どもと話す

・自己紹介を数パターン考えさせておくと、子どもは話すことに自信がつく 

・親も間違ったら謝る
心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」

第4章 遊ぶ~問題解決力を伸ばす最大のチャンス~


近年、遊びは神経生理学や発達・認知心理学、進化生物学、分子生物学などあらゆる分野で、人間の発達にとても有効であることが証明されています。

アメリカでは、「プレイデート」といって子どもを遊ばせるためだけのコミュニティもあるそう。

そんな遊びの重要性について書かれています。

第4章のポイント

・遊びは脳の柔軟性と順応性を高め、創造的にする

・未就学期に思いっきり遊んだり、好きなことに集中していた人の方が、学業成績があがる 

・子どもは遊びながら自制心や共感力をみにつけていく 

・早期教育で知育偏重になった子どもは、精神的に不安定になりやすくなる

・外遊びは子どもの身体能力を高め、脳の活動を活性化させ、非認知能力をあげる 

・自然の中で遊ぶ機会の多い子どもの方が、自己肯定感が高い傾向がある

・幼少期に体験する遊びによって問題解決能力が上がる 

・いつか必ず負けるスポーツは、失敗から立ち上がるレジリエンスを高める
心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」

第五章 子供と自分を受け入れる~自己肯定感とレジリエンスを育てるために~


「自分には生きる価値がある」という自己肯定感はあらゆる場面で+に働いてくれます。

子どもの自己肯定感を伸ばす上で、家庭でできることが紹介されています。

また、同時に親の自己肯定感も非常に重要であることも述べられています。

家庭で子供の自己肯定感を育む12の方法

①    子どもに頻繁に声かけをする
②    子どもの話をよく聞く
③    親が感情に左右されない
④    子どもに感謝する
⑤    子どもをよく見て、よく褒める
⑥    子どもを他の人と比べない
⑦    欠点を治すより、長所を伸ばす
⑧    子どもに決断させる
⑨    選択肢を用意して、自分で決める力を育む
⑩    やってあげるのではなく、手本を見せて手伝う
⑪    子どもの感情が爆発した時は、子どもを責めない
⑫ あるがままの子どもを認める
心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」

第5章のポイント

・自己肯定感が高いと、何事にも自分から前向きに取り組んでいくことができる  

・親が子の本来の姿を受け入れず、子どもの存在を否定したり、完璧主義で押さえつけたりすると、子どもの自己肯定感が低くなる傾向がある

・人と比べるのではなく、昨日の自分と競わせる

・母親の幸福度が下がった場合、最も不利益をこうむるのは子どもの幸福度

・「やらない」も立派な選択肢
心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」

第6章「好き」を見つける 


子どもだけでなく自分が情熱をかけることができ、夢中になれる「パッション」はとても大切です。子どものパッションを探し支える方法が紹介されています。 

①    さまざまなことに挑戦させる
②    いろいろな人に会う機会をつくる
③    子どもの「フロー状態※」
※周りの音が聞こえなくなるくらい、極度の集中状態になること
④見つかるまで探し続ける
④    始め方、やめ方のルールを決めておく(3か月間等)
⑥「何のために」という質問を習慣にする
※著者は娘に「なんのためにバレリーナになりたいのか?」をよく質問していました。娘の答えは「きらきらしたきれいなものを見たらみんなが楽しい気分になるから。」

第6章のポイント

・パッションは人生をかけがえなのないものにする 

・子どものパッションを探し支えるのが親の仕事 

・わが子は何に興味を持つのか、どんな時に頑張るのかよく観察することが大事 

・さまざまな挑戦や出会いを経験させる

・子どものフロー(熱中)状態を見逃さない

・パッションは見つかるまで探し続ける

・お稽古ごとは、始め方とやめ方のルールを決めておく 

・常に「なんのためにやるのか」を問う

・親にもパッションが必要!まずは好きなことから始めてみよう
心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」


心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力の育て方」
著者 :ボーグ重子
出版元:小学館
発行 :2018/10/31

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