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夕日と追いかけっこ。座間見の人たちの優しい美しさと清涼感に酔いしれて。


座間見島3日間の美しいひととき。
1日目のひとしきり海遊びを終えた午後のまったりした時間。


夕日を探しに


今回一緒に島遊びをしているキイちゃんから,

「夕日を見に行こうよ。」との提案。

雲は少し出ていたけれど,どんな空でも楽しんでみますか!ということで,私たちは夕日を探しに行くことにしてみました。
とりあえず島の全容を知りたいから島を一周しようと計画を立てます。
まずは宿の方に伺います。

「夕日を見に展望台に行きたいんですけど,何で行くのがいいですか?」

聞いてみると,どうやら山はかなり起伏が激しいため,自転車でも大変とのこと。
さらに,太陽が沈むと山道には街灯がないため,なるべく早く帰ってきた方がいいですよとのアドバイスも受けました。

自転車移動はちょっときついかもね,となりキイちゃんが探し出したのが,小型EV車。
日産ニューモビリティコンセプトという超小型の自動車。

1日目 EV車で島を一周してみた


初めての乗り物なのでよくわからずも,借りてみようか!と普段やらないことだろうし,面白そうだからレンタルしてみることに。
これから約2時間の島ドライブがスタート。

レンタル屋さんに行くとありました,本当に小型中の小型のEV車が。

基本は二人乗り。細い作りのためドアが縦方向の開閉式。

レンタル屋さんから説明を受けます。
まず,縦に開閉されるドアはギシギシしているので気をつけてくださいとのこと。確かにギシギシ。
そして,停車して駐車の時は前方が下りだと小さすぎて動いてしまうので気をつけて下さいとのこと。
確かに,この小ささだと、そこそこの駐車は平坦なところでないと難しそう。

と,ひとしきり説明を受けまして,いざ出発してみることに。

乗ったことのない乗り物なのでこれはこれでアミューズメント要素が高く,なかなかに面白い。

最初は馬力がなさそうなのですが,慣れてくるとなんとなく土地に馴染んでくれているみたいで,モビリティ君は,

「こっちだよ!」

と,今にも言ってきそうな勢いで気持ちよく走り出します。

チシ展望台から稲崎展望台へ


まずは東側の展望台を目指します。チシ展望台へ。

チシ展望台

誰もいない展望台から見渡す景色は、なんとも贅沢なわけです。
ビーチの反対側は,どうやら崖が多く人の気配がないありったけの自然が残されています。

チシ展望台からの景色

さて,時間も限られているため,次の展望台へ。2つ目は稲崎展望台。

稲崎展望台

このへんから少し雨雲も出てきたため,日が暮れる前にどんどん先へ進もうということになり,足早に次の展望台へ。

島だからこそ五感をくすぐる極上ドライブ


少し雨がぱらつくと,山の木々の香りが立ち込めてきます。
この香りが山の生命力そのもののようで,なんとも心地よく五感を刺激してくれます。

山道の起伏は確かに激しく,さらにほとんど誰ともすれ違うことがない山道。
全く人と出会うことがないというのも,少し不安になるもの。

そんな空気を察してか,キイちゃんから,
「DJよろしく。」
とのリクエスト。
沖縄らしく,まずは,夏川りみをかけながら沖縄の空気感に酔いしれます。

全く対向車もいないため,歌を歌いながら島を巡ろうと,落ち着く先は,
サザンオールスターズ。

海=サザンオールスターズ。

ベタだけど,これがいいし,これで,いい。

水を少しずつ浴びる山々から香る草木の生き生きした香りと,潮騒の匂いを全身に纏います。
そんな極上な羽衣を纏いながら,知ってる曲のサビをふわりと口ずさみながらのドライブ。

島でしかできない極上ドライブは高級車でもなく,小さなEV車。

これがいいし,これで,いい。

夕日を探す神の浜展望台


次は,神の浜展望台へ。

神の浜展望台

ここについたあたりでちょうど19時に近くなってきました。キイちゃんは,

「ちょうど日が沈むのが19時くらいなのね。だからここに最終を合わせてみたの。一番西側なの。」

とのこと。
なるほど,しっかりと時間を見計らいながら移動してくれてたのね。
島で一番西にある展望台。

坂で身勝手に下りそうになるEV車を,しっかりと停車してくれる場所を探し車を止めます。2分ほど坂を歩いて登ると,そこには美しい展望台がありました。

優美な時間を過ごす島の人たち


すると,2人の女性が展望台にあるテーブルを使って椅子に座りお弁当を食べていました。彼女たちの先に見えるのは,ただただ広い大海原。

ここで会話をしながら,ゆったりとした時間お過ごしている2人が,なんだかとても美しかった。

どんな高級なカフェでお茶をすることよりも価値があるような気がして。

でも,きっと彼女たちにとっては,こんな美しい場所が日常の憩いの場なんだろうな。

自然と調和して生きる。

そこには,島で生きる人の美意識で溢れています。

晴れでも雨でも,全ては調和との営み。
天気に合わせて,我々は,ちょっぴりその恩恵を受ける。
そんな普通のような日常が,大自然を目の前にすると,改めてありがたく感じられるのです。

素敵な景色を満喫している島の人たちを横目に,私たちも夕日を探します。

神の浜展望台は,素敵な絶景が待っています。

空が近い。

こんなにも雲の動きを眺め続けることは,人生で初めてかも。
毎秒毎秒,移り変わる姿の雲を見るのも面白い。
さっきみた雲を見ることは,もう二度とできないから。

素敵なベンチ


雲の合間に太陽があって,
「あ,夕日見える?見えない?」
と,夕日を探します。

ここが島で一番西側。
夕日に一番近い場所。
空にも一番近い場所。

雲と夕暮れ


風の流れと共に,日の入りの19時までひたすら雲の行方を眺めます。
大きな雲の奥底に見え隠れする沈みゆく太陽を,名残惜しく見つめ続けます。
EV車を借りる前に,スーパーで購入した唐揚げを食べながら。

結局夕日は顔を出してくれなかったけれど,それでも心は満足。

お弁当を食べていた2人も帰路へ戻りました。
私たちもそろそろ戻ります。
期待していた夕日が見れずに,キイちゃんは,

「夕日を見せたかったの。」

と。

「空を見ること,雲を追うことを,こんなにもした人生は生まれて初めてだったから楽しいよ。また探そう。」

と。また夕日を探すことを誓います。

なんとなく,夕日が見えたことよりも,見えなかったことにも楽しめた自分がいて,何かを探し求める時間も悪くないなと。

太陽の動きに導かれるように,潮騒のなつかしい香りを纏いながら帰路へ着くのです。

2日目 晴れるよ


さて,次の日も夕日を探しに出かけると,そこには五感をくすぐる島の美しさと,優しさに包まれた美しい島の人たちとの出会いが待っていました。

島2日目の朝は,少しばかり太陽を待つ時間。
目を覚ますと,まずは宿でコーヒーを入れてからコーヒーを持って,船着場へと移動し,海を見ながらのモーニング。

座間見港


もはや太陽と共存しているので全ての動きが太陽次第。
キイちゃんが,

「午後まで雨降るみたい。」

というので,私は,

「降らないよ,大丈夫。晴れるよ。」
と。
いつも天気予報は自分で決めるスタンス。
予想は,”そんな気がするから”。

というわけで,少しばかりお散歩へ。

座間見島の集落

朝の散歩。子供達の清涼感


細い道に民宿やお店がぎゅっと集まっています。歩いていたら小学生の集団登校のこどもたちが向こうからやってきました。
すると,10人ほどの子供たちが全員,次々と

「おはようございます!」

と気持ちのいい挨拶をしてくれます。
そんな姿を,シーサーが見守ってくれている座間見島の優しい朝。

座間見島のシーサー


こんなに朝から気持ちのいい,
「おはようございます」
が聞ける喜びに胸を躍らせながら,こちらも一人一人挨拶を返します。

忘れていたような懐かしさと共に,”挨拶”の持つ清涼感と生命力を感じます。

さらにお散歩をしていると,とある民宿の方から,
「ご無沙汰です。」
と挨拶をされます。キイちゃんは仲良さそうに,

「あ,お久しぶりです。」

と挨拶を交わしています。
どうやらキイちゃんは去年にそこの民宿へ泊まったらしく,覚えてもらっていた様子。

民宿の方とすれ違った後,キイちゃんから,話を聞きます。

「さっきの彼は息子でね,去年お父さんを亡くしたの。だから彼が今頑張ってるの。」
と。
「え,なんでそんな身内のこと知ってるの?」と聞くと,

「この前宿泊した時ね,1階で沢山人が集まってて,楽しそうだったから私も混ざって「一緒にお酒飲ませて下さい。」って言ったの。
そしたらその日は,そこのお父さんのお通夜だったみたいで。

『今日はお通夜なんです』って言われたんだけど,なんだか楽しそうだから参加させて欲しいって言ったら参加させてくれたの。

ほら,島はみんな親戚みたいなもんだから,1人2人知らない人が増えても気にしないの。」

なんと,,知らない人のお通夜に堂々と参加する人間がここにいるとは,,。
それは確かに覚えられるよね。
というか,その島の人たちがおおらかすぎて,私は,
「はあ,,そうなんだ。」
しか返せないわけで。

いや,まあまあ,知らない人が親族のお葬式にいれば気にするとは思うけど,まあ,そのうち”人類皆兄弟!”とかなんとか,,なるのかしらね。

楽しそうなお通夜。
確かに亡くなったお父さんは,さぞかしみんなが集まってくれて嬉しかっただろうなと,知らない方のお通夜と亡くなった方の気持ちをなぜか想像してしまう。

と,島の人たちの純粋なありったけの気持ちよさを朝から様々な展開で見聞きするわけです。

”人間らしさとは?”

についてを改めて見直したくなる一日がまたスタートします。

島の人たちと自然の美が織りなす美しい共存

徐々に晴れてきたのでまた海へ。
ひとしきり遊んでからまた宿へ戻ります。

さて,今日も,,夕日を探しにいきます。

夕日と追いかけっこタイム。

2日目の夕日探しは,若干の議論。
昨日行った神の浜展望台へもう一度行こうと提案されたのですが,私自身,
また同じところに行くの?
とあまり乗り気がしないわけで。

さて,そうこうしながら歩いていると,またお通夜に参加させてくれた心広いお兄さんと遭遇。
そこで,キイちゃんが質問。
「これから夕日を見に行こうと思うんですけど,どこかちょうどいい場所ありますか?」
すると,
「それならマリリンの像から綺麗に見れますよ。歩いて20分くらいかな。」
とのこと。私はすかさず,

「そこでいいじゃん,そこにしようよ。」

google mapで調べてみる。

「真西を考えると,島が邪魔するかもしれない。」

と,キイちゃんはぶつぶつ言っている。
正直私はそんなに夕日を探しに行ったことはなかったので,まあいいじゃん,と軽い気持ちでマリリンの像まで歩いていくことに。

てくてくと,左手に海を眺めながら人も車もほとんど走らない道をのんびり散歩。途中,町内会的なアナウンスが鳴る。

「本日6時から〇〇学校の〇〇体育館で親睦会があります。参加できる方はお待ちしております。」

そんなほのぼのしたBGMがとても優しく,なんともほっこりとした気分に。

さて,マリリン像のところに辿り着くと,少しばかり雲が。

マリリン像


やはり真西にはちょこっと島があって全容が見えない。
なるほど,このことをぶつぶつと言っていたんだなあと少しばかり申し訳ない気持ちになる。
とはいえ,気持ちのいい夕方の波風と暖かさに包まれた極上なロケーション。
すると,そこには地元の3人の女性たちが,夕焼けの下で語らうひとときを味わっています。

昨日展望台にいた女性たちも含め,美と共存している島の人たちの純度が高すぎて,美しい。

たまたまの風景が,まるで計算され尽くした名画のように,すっぽりと額に収められたような錯覚にとらわれるのです。

夕日と3人の女性たちの語らい

時折,車がゆっくりと彼女たちの前で停車し,なんとなく会話をしています。
そんな光景も全てが写実的で,ただただ美しい。素敵なドラマの風景を見ているかのよう。

なんだろ,時間があまりにもゆったりとしているのね。

今日も少し雲が出ていました。
でも,それでも,美しい風景。
海のさざなみを聴きながら,またゆっくりと歩いて戻ります。

波と森のシンフォニー


歩いていると,19時半くらいに一斉に太陽が沈みきり,真っ暗闇に。

すると,森の生き物たちがいっせいに動き始めたのか,交響楽団のごとく波の音と調和した旋律を奏で始めました。

島は,太陽と月と共に,全く別の新しい世界を見せてくれます。

波の音と,山の音がシンフォニーのように急に合わせたかのように歌いだします。
ゆっくりとその音たちが,体の細胞の奥にまで吸収される感覚。
思わず立ちすくんでしまうほどの生命力に体中が奪われます。

私たちが普段聴いている日常の音は,周波数帯が切られているため,20kHzまで。
自然のジャングルに近い森は,超高周波を生み出すため,脳内が一瞬でα波に誘われるんだろうなと。

だから感動が起きる。
感動というのは,

”その瞬間”

に時を止めてくれる。

それは,カメラのシャッターを切るかのように,脳裏にその情景や匂い,五感で感じること全てを記憶してくれる。

それが,感動の瞬間。

過去に,超高周波を聴いてみたい!という体験をしたくて,マレーシアのとあるジャングルまで出かけたことがあったんです。

しかしながら,日本でその時と同じような体験にたまたま遭遇できたことに,そのジャングルへ訪れた時の記憶が,ふと蘇ったのです。
香りと音と共に。

座間見で見つけた最高のギフトは,五感をどこまでも研ぎ澄ませてくれます。

さらに夜がふけていくと,美しい星空が宝石のように瞬きます。

島の人たちの美意識と,そこに共生する自然豊かな生命力に愛おしさを感じずにはいられないほど,島に魅了されたのでした。

夕日と追いかけっこ


最終日は,フェリーに乗り,ゆったりと2時間で那覇まで戻ります。
阿嘉島を経由しながらのちょっとした船旅気分が味わいながら,のんびりゆったり。

那覇へ戻るフェリー


そうこうしているうちにあっという間に那覇空港へ到着。
東京への戻りの便は,18:55。
それまで時間があるので少しぷらぷらと歩いていたら,まもなく飛行機への搭乗時間に近づいた頃,,夕日とご対面。

そうだった!夕日の時間だったと思い出す。

君のことをすっかり忘れていたよ,,。あんなにも探し続けたのに。
と,夕日に語りかけたい気分。

全く意識していないところで不意に現れてくれた夕日は,あまりにも眩しくて,空中を綺麗なオレンジ色に染めてくれていました。

私たちが2日にわたり求めていた夕日との追いかけっこは,ここにきて
「もおいいよー」と言ってるかのよう。

夕日を追いかけていたら,太陽から
「かくれんぼでした!」と,笑顔を振り撒いてくれているような気持ちに。

多分一生忘れない光景。一生忘れることのない夕日。

離陸で,もはやうとうと。

すると,隣からパシャパシャとカメラ音が。

窓からは,地平線の彼方まで続く厚い雲の上と,沈む夕日が織りなす圧倒的なドラマに息を呑みました。

飛行機から見た夕日

そんな最高級すぎる演出があるなんて,と感動の領域を超えて,思わず夕日に
「ありがとう」と,声をかけるしかありませんでした。

キイちゃんも満足気に「うーん綺麗。。」と,うっとりと夕日の地平線を眺めていました。

よかった。
見れて良かった。
来て良かった。


座間見島の珊瑚礁


座間見島の珊瑚礁,空の美しさ,島で共に生きる人たちの清涼感ある清らかさと美意識,そして太陽とのシンクロニシティ。
全てが愛おしさに包まれた旅でした。

地球と存分に戯れてみる。

ありったけの贅沢がここにはありました。

是非,日本の素敵な美を味わいに座間見島へ訪れてみてはいかがでしょう。

お読みいただきありがとうございました♪










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