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「世界漂浪の記」 羽生隆 101選

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50年遅れの同じ日付で毎日投稿されていた羽生隆さんの旅行記「世界世界漂浪の記」の中から、何度も読み返したい特に印象深い投稿を集めました。
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2023年10月の記事一覧

❨766❩1973.10.4.木.晴(58miles)/ロッキーの自然の素晴らしさ/パゴサ→ウルフ・クリーク→Del.horte:アメリカ合衆国

❨766❩1973.10.4.木.晴(58miles)/ロッキーの自然の素晴らしさ/パゴサ→ウルフ・クリーク→Del.horte:アメリカ合衆国

寒い筈だ。シモが降りていた。

出発は8時。昼1時から、山路を3時間歩く。ウルフ・クリーク (10850Feet) に着く。

裸になって自転車を押していると、通りすがりの車が手を振ったり、「乗れ」 と云ったりしてくれた。昨日から5台もそんな車がある。

峠付近で休んでいるオッサンの前を通ると、ウィスキーを飲ませてくれた。

峠では、おばさんが珍しがって、写真を一緒に撮らせてくれと云ったり、ポテト

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❨772❩1973.10.10.水.曇(夕方小雨)/親切なじいさん/アメリカ合衆国

❨772❩1973.10.10.水.曇(夕方小雨)/親切なじいさん/アメリカ合衆国

初めて一日中、長ズボンに上着で走る。

何んという寒い夜明けだったろう。これが外だったら、どうなっていたことか。
兎に角、バスの中で捨てた水が、数分後に凍っていた。

ほんのわずかの間 陽が射したが、めしを食い、8時半、走り出してから殆ど曇りっぱなし。
手袋をはめた手が、しばらく伸びない程、寒かった。

そんな中で、午後、パンク。
またあの草のトゲが原因だ。ガッデム!
一箇所と思ったら二箇所で、寒

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❨792❩1973.10.30.火.雨/ヒロちゃんと話して刺激を受けた/Ohio:アメリカ合衆国

❨792❩1973.10.30.火.雨/ヒロちゃんと話して刺激を受けた/Ohio:アメリカ合衆国

また雨。何んてことだ。
朝っぱらから降られると、ポンチョなど着て走る気にもならん。
一時頃止んだが、今日はここで本を読むことにした。

午前中は、ヒロちゃんにもらった「人間の教育」福原麟太郎 著 講談社 を半分読み、午後は、英語。

夕めしを食って、すぐに寝袋に入る。
一時止んでいた雨が、夜また降り出た。
明日は、雨でも発たねばならない。

久しぶりに日本人のヒロちゃんと会って、思う存分、話をした

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