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❨772❩1973.10.10.水.曇(夕方小雨)/親切なじいさん/アメリカ合衆国

初めて一日中、長ズボンに上着で走る。

何んという寒い夜明けだったろう。これが外だったら、どうなっていたことか。
兎に角、バスの中で捨てた水が、数分後に凍っていた。

ほんのわずかの間 陽が射したが、めしを食い、8時半、走り出してから殆ど曇りっぱなし。
手袋をはめた手が、しばらく伸びない程、寒かった。

そんな中で、午後、パンク。
またあの草のトゲが原因だ。ガッデム!
一箇所と思ったら二箇所で、寒い中二度手間を取った。

このパンクした所が、町から2マイル位の所で、修そうとしたら何んと、ノリが空っぽ。
下に穴があき、全部出てしまっていた。この時ばかりはガッカリしたぜ!
仕方なく、ここヒッチした。

しばらくしてやっと、一人のおじさんが乗せてくれ、次の町まで20miles行った。
日本へ戦町中、行った事のある人だった。

やっとパンクを修理したのが、3時40分。
次の町 St. Francisまで32miles。
曇り空で、雪でも降りそうな寒い天気。町外れで滞まるか、 行くか、考えた。
エエイッ20miles 楽をしたのだから、その分走れ、と思って出た。
15milesでコロラド Stateを出て、カンサス Stateに入る。

ここで、古ワーゲンに乗ったじいさんが止まって、「君をhelpしてやろう」と云ってくれたが、 自転車が乗せられる様な車ではなく、丁寧に断わると、何か解りにくい事をいい、隋分、気の毒そうな顔をして去った。

しばらく走っていると、ひょっこり横の道から出て来て、今度は針金を持って来て、自転車がしばれるから乗せろと云い、とうとう説得され、その親切に甘んじてしまった。

北風がビュービュー吹きつける 中で、懸命に自転車をばってくれた。
同乗させてもらい、10milesくらいで町に入り、家まで連れていってもらう。

寝室を与えてもらい、久しぶりに(ロス以来)、湯のシャワーを浴び、じいさん手製の夕食をいただいた( 一人住まい)。
小さいが、家の中は美れいにしてあり、 アメリカ人らしいと思った。
野宿生活から、いきなり美れいなシーツのベッドを用意されると、おかしな気分になるものだ。

それにしても今日は、不思議な日だった。
苦あれば楽あり、この言葉がよく分かった。

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