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私はまた旅に出た

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#コラム

女子タイツ

東日本の寒い山間の町に暮らしている私たち夫婦の、2月半ばの、とある日に起きた大きな事件、…

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太宰治「津軽」と、梶井基次郎「檸檬」と、可愛いやまパンちゃんの件

太宰治の傑作中の傑作、紀行小説「津軽」はこんな一節で終わっている。 多分にも脱稿が1944年…

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冬の出来事

だいぶ間が空いてしまった。 いろんな事があった。そして私は今、かなり疲れてしまっている。 …

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海辺の町にて

波乗りのあと波乗りを趣味にしている人なら共感してもらえるだろうが、初冬と言うこの季節に着…

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銀河鉄道の、昼

秘密のデート少し前の日曜日のことだった。 15才も年下の、密かにつきあっている恋人と、車で2…

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寝言に怯える

彼岸花中秋の名月も過ぎ、陽も落ちると少し肌寒く、もう一枚羽織ろうかと感じる季節になった。…

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「寺のある町にて」を・・・

梶井基次郎「城のある町にて」高校生の頃、恥ずかしながら(笑)「文芸班(部活)」に入部して、それから今日まで私が読んだ幾多の小説の中で「これが一番」を推挙せよと指示されれば、即答で、しかもかなりの大声で、この「城のある町にて」を推すのである。筑摩書房版の全集も持っているが、今は電子書籍で屡々(しばしば)読み直している。読むその度ごとに、音読した一字一句を、自分の僅かな脳の、そのまた僅かな記憶素子に、彫刻刀で刻み込むが如く読み進めるのである。 一方で、後世の文学少年少女たちに「梶

自分が何者であるのかが見えない

小さな幸せこのごろの私と言ったら、朝の通勤途上で、田舎の郊外にある私鉄駅に向かう男の子と…

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女の気持ちが分からない

子供長靴前回の記事に書いた、補助輪付き自転車に乗る男の子とその母親。 実は今朝も見かけた…

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夜の寺にて

ある日の夜。約4ヶ月ぶりに街の居酒屋に寄って、気の合う友人とお酒を酌み交わした。そして夜…

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太宰治全集付録の月報を読む。

パン屋さんでふたりの天使に出会う私の住む街の、この近辺でおいしいと評判のパンやさんに家人…

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ウグイスが鳴いていた

私の町にも暖かい陽気が到来し始めた。 先日、朝起きて何か鳴き声がするなと戸を開けたら、ウ…

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田舎の図書館と映画「華氏451」

(この記事は本日4月15日昼間現在のものです。明日16日から当該図書館含め全館の臨時休館との…

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岸田今日子の朗読「銀河鉄道の夜」を聴く

「銀河鉄道の夜」どうしたらこんなに美しく悲しい文章が書けるのだろうか。どうしたらこんなに澄んだ心のままに物語りが浮かんでくるのだろうか。 僕は昨夜も岸田今日子の朗読する「銀河鉄道の夜」を聞きながら、つい物語に入り込んで、少し涙がにじみ目先が霞んでしまった目を、ぎゅっと閉じて、そんな事を思うのである。 梶井基次郎、太宰治、いくつかの朗読CDを聴いてみたけれど、この宮沢賢治「銀河鉄道の夜」が、特に集中して聴いた(聴けた)ものであった。図書館で借りる前に目論んでいた「車を運転し