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今日もわたしは #音の世界と音のない世界の狭間で という見栄に生かされている。

わたしの右耳は全くきこえなくて、左耳も補聴器を使用して生活する程度の難聴で。そんなわたしのみる世界を #音の世界と音のない世界の狭間で と名付けてnoteを書いている。

生まれつき右耳は全くキコエナイのでわたし耳は完全にキコエルということを知らないし、左耳の残存聴力があるので完全にキコエナイということも、また知らない。365日生きていれば、330日はわたしの生きるこの狭間の世界が好きだけれども、残りの30日ちょっとくらいは劣等感というか不平等感というかそういうマイナスな気持ちをもたらす。

例えば、見たい映画が字幕上映されなかったときとか、周りの楽しそうな話題について行きそびれたときとか、ふと歩いているときに補聴器の電池が切れてしまったときとか、わたしも関係あるはずのお仕事とか受診の内容とか家族のニュースとかをその場で知らされずに後から知ったときとか。

ほんの些細なことかもしれないけれども、そういうことが積み重なってズーンとなってしまう瞬間が、やってくる。noteを含めSNSには見栄を張って「その日の余地」と言えるような嬉しかったことや小さな発見を投稿するようにしている。だけども、本当のわたしは日常的に「分からなかった……」のフラストレーションを溜めている。

「見栄」と書くと、わたしが無理をしてSNSをやっているみたいだ。そんなつもりじゃあない。なんて言ったらいいんだろう。SNSって、わたしのすべてじゃないし。なんなら「なりたいわたし」でいられるものだから。だからこの「見栄」は、往々にしてわたしをすくってくれているものでもあってね。

日々を生きていると「今日はとことんついてなかった!」みたいな一日もあるでしょう。でもそんな日に「今日は気圧が上がったり下がったり忙しくてしんどかった!」って投稿したらそれだけの日になってしまうような気がする。

でも、一日と最後に見たX(慣れない。Twitterって言いたい。)のタイムラインで嬉しい投稿を見つけたとかね。

昨夜なかなか寝付けなくてそのタイムラインを眺めていたら、わたしがこの冬めちゃくちゃハマったドラマ『ブラッシュアップライフ』に出演されていた安藤サクラさんのリポストが流れてきた。それが、このポスト。

今月末に上映を開始する彼女の出演映画に、バリアフリー字幕がつくというポストが、彼女のアカウントでリポストされていた。

わたしが子どもの頃……と言っても20数年前だけれども。TVが地デジ対応になるまでは、ほとんどのTV番組に字幕はつかなかった。いまだにバリアフリー字幕上映期間やその上映館も限られていて、バリアフリー字幕上映自体もされない映画もまだまだたくさんある。

だから、2023年になってもなお、わたしたちは観たい映画があっても、バリアフリー字幕上映があったらラッキー。特に邦画なら、期待すると悲しくなるから期待しないフリをして。

好きな人と映画を観に行くときは、なんとか字幕のある洋画に誘導したりそれに失敗したら何を言ってるかよく分からない字幕のない映画を観たりしてしのぐ。わたしは全部やったことがある。笑

そんなわけで、自分でアクセスしなくても映画の公式SNSで公開前にバリアフリー字幕上映の予定が公表されることはもちろんのこと、その情報がふと目にしたタイムラインに流れてくるなんてことは夢のまた夢のようなことだったから。あんまりにも嬉しくて、引用リポストしてしまった。

わたしが音の世界の人だったら、彼女のリポストは見逃していたかもしれない。でもわたしが #音の世界と音のない世界の狭間で 生きる人だから、このリポストに気付くことができた。音のない世界の住人として、バリアフリー字幕上映のないもどかしい映画鑑賞デートや、観たかった映画を諦めたあの日を経験していたからこそ、このリポストに感激できた。

強がりじゃなくて、本当にそう思っている。しかも、それを #音の世界と音のない世界の狭間で と名付けて発信することで「さんまりちゃんの発信見て、バリアフリー字幕上映ってものを知ったよ!」とか「機内アナウンスに手話がついていることに気付いたよ!」なんて周りが教えてくれて「こういうのがあったらもっと便利だよね」みたいな話に膨らんだり。

身近な友人やフォロワーさんに読んでもらって、その知り合いから知り合いに……巡り巡って映画に出演する俳優さんのアカウントからも発信があって、いつかはもっともっとバリアフリーに関する情報が当たり前のように流れてくる世の中になるかもしれない。

なんて思いながら、今日も明日も過去のわたしたちの先輩たちの見栄に、わたしの見栄に、生かされていくんだろうな。もっともっと、狭間でも大きく息の吸える瞬間が増えますようにっ!

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