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深海の赤い宝石を追う! シモダの夜明け 〜ガイア密着撮影秘話(前編)〜vol.72

2024年11月22日(金)放送のテレビ東京『ガイアの夜明け』の中で食品業界の異端児として紹介された、水産6次産業化に取り組むSANKO MARKETING FOODS。約2ヶ月に及ぶ密着取材の中から放送でも取り上げられた伊豆・下田でのキンメダイ漁撮影の裏側をご紹介します。

待ち合わせは深夜の漁港。ガイアの夜明け制作チームと2年ぶりの再会を果たす

2024年10月某日、深夜2時の静岡県・伊豆半島の最南端、南伊豆。

この日、当社はテレビ東京の経済ドキュメンタリー番組『ガイアの夜明け』の番組制作チームの皆さんと当社所有の漁船「三光丸」や地元漁師の方々と提携する「SANKO船団」の船が停泊する港へやってきました。

自社船団が行うキンメダイ漁を撮影するため、出漁に合わせて集合。撮影クルーと共に漁船に乗り込み、漁に帯同するのです。

草木も眠る丑三つ時の静かな港。
台風の直前のためなのか、風もなく生暖かい湿った空気に包まれ緊張感が高まります。

制作チームとは2022年の沼津密着取材以来の再会です。前回の撮影時には沼津での取り組みはあったものの、まだまだ手探りの最中だった当社の水産事業。そこから2年の月日の中で浜松など他の地域にも足がかりを確実に増やし、ここ下田も2023年から新たな拠点として漁協でのセリの参加や自社船での漁などの取り組みを行っています。今回は、自社漁の様子をお見せできる願ってもない機会と、取材をお受けすることになりました。

自然を相手にするため、常に危険も伴い予期できない事態ばかりの漁師の仕事。あらゆる事態に備え、出漁前の準備に余念のないSANKO船団「成宝丸」の鈴木正幸船長ら。

狙うは“地キンメ”。深海に棲む赤い宝石たち

船団が狙うのは、キンメダイ。目に鮮やかな赤い体、金色に輝く大きな目が特徴の深海魚です。

下田は毎日港に水揚げされる魚の8割がキンメダイと言われ、年間1000トンを超える水揚げ量を誇る日本一のキンメダイ産地。

キンメダイは脂の乗った白身の柔らかな食感と上品な味わいが人気で「深海の赤い宝石」とも呼ばれる高級魚。お寿司屋さんや高級料亭などで目にすることが多いのではないでしょうか。近年ますます価格が高騰しており、下田の魚市場では1キロ1万円の値が付くこともあるほどです。

また下田では獲れる漁場によって「島キンメ」「沖キンメ」「地キンメ」と呼ばれ方が異なります。今回、船団が狙うのは早朝から漁を始めてお昼頃に港へ戻る"日戻り漁”の「地キンメ」です。

密着取材期間中、何度も撮影を予定しましたが、連日海況の荒れや天候状況でリスケジュール。この日も、数日後に台風の影響で海が荒れることが予報される中、漁に出られるギリギリのタイミングで急遽出漁することになりました。

準備を終えたら、いざ出港。

午前3時前、真っ暗闇の太平洋へ!

漁場までの約3時間、私たちは2畳分ほどの小さなキャビンの中で待機します。小窓からは、暗闇の中に高速で走る船が切る白波が、月光に照らされ見えるのみ。湾を出ると静かな港の様子とは打って変わって、すぐに船体が大きく揺れだしました。時折、船全体を覆うような大きな波が小窓にかかり、波が高いことがわかります。

港からおよそ20マイルの漁場へ到着。ついに、地キンメ漁がスタート。

「着いたよ〜!」という船頭さんの声でデッキへ出ると、見渡す限りの水平線。まだ明けきらぬ洋上では、大きな波に揉まれながら船団の漁師さんたちがキンメダイのいる水深500メートルへ竿の仕掛けを下ろしていきます。

漁場に着いた夜明け前。波のうねりが大きく、湾内とは海の表情が異なります。

空が明けてゆくにつれ降り出した雨と風が強くなり、船はさらに大きく揺れ出しました。撮影隊と広報担当は船から振り落とされないようにするだけでも精一杯です。しかし、船団の漁師さんたちは仕掛けた竿から次々と上がるキンメダイに歓喜の声。

雨風が強く大きな波に揉まれ、船はまるで遊園地のアトラクション。
自然を相手に仕事をする厳しさを思い知ります。

仕掛けた竿にかかったキンメダイを引き上げては場所を変え、また竿を下ろしを繰り返すこと4〜5時間。十分な漁獲を確認してその日の漁を終えました。

それでも、漁師さんは竿の撤収、釣り上げた魚の選別、港までの安全な航行、港に戻っても水揚げ、そして翌日の漁の準備や船のメンテナンスと、やることは尽きません。

海に不慣れな広報担当は長時間の船酔いでヘロヘロ状態。もはや使い物になりませんでしたが、ガイア取材チームの方は過酷な漁に最後まで同行してくださり感謝の気持ちでいっぱいです。

本日大漁! 安堵の水揚げへ

水揚げに合わせて当社社長も下田に駆けつけ、日頃の苦労を労う様子も撮影していただきました。
船から引き揚げられた赤い宝石たち。採れたての鮮度抜群の証、金色の目が輝きます。

帰港は昼過ぎ。この日の船団はどの船も見事な大漁でした。船から次々と揚げられる色鮮やかなキンメダイに、漁の疲れを忘れて自然と一同笑顔がこぼれます。

もちろん自然相手のものですから、漁に出れば必ず大漁というわけにはいきません。天候次第では何日も海へ出られないこともあります。ましてやキンメダイ漁は、日戻りでも片道3時間、沖の漁なら10日〜2週間も港に戻らず漁を続けることもあり、決して楽なものではありません。

しかし、島国である日本は幸運にも海に囲まれ、陸を一歩出ればこうして豊富な水産資源が溢れています。手間や労力をかければ、かけるだけの価値あるものが獲れるのです。だからこそ私たちは、この先の食糧難が叫ばれる中、この豊かな水産資源を生かす日本の漁業を絶やしてはいけないと考えています。

そして、資本主義社会の中にいる以上、いいものを少しでも高く買っていただければもちろんいいのですが、この素晴らしい水産物を少しでも多くの方に手の届きやすい価格でお届けして、日本の漁業全体を盛り上げて持続可能にしていきたい。その想いで私たちは日々、手間暇をかけ、知恵を絞り、身を粉にしてたゆまぬ努力を続けています。

下田港へ戻ると雲間から陽が差しはじめ、雨風と荒波に揉まれた洋上が嘘のようにいつもの穏やかな下田の姿がありました。
その後のキンメダイの行方は、『ガイアの夜明け』でご覧いただいた通りです。

後編へ続く。

マグロのモツ煮開発までを追うアナザーストリーも絶賛配信中!

放送後の現在は、「Tver」などの配信サイトで12月6日(金)まで見逃し配信をご覧いただけます。また、公式サイト「テレ東Biz」では本編の放送には乗らなかった当社のマグロモツ煮開発を追った、和歌山・串本のまぐろ養殖場での映像などがアナザーストーリーとして配信中。こちらもぜひご覧ください。

テレ東Biz

▼見逃し配信はこちらでご覧いただけます
Tver  https://tver.jp/series/sr7x3ce7ak
U-NEXT  https://video.unext.jp/

番組詳細情報

タイトル:「物価高に挑む! 食品業界の異端児たち」
番組名:テレビ東京『日経スペシャル ガイアの夜明け』
▼番組HPはこちら
https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/


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