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亜熱帯のさなか

50
書いた詩を ここにまとめています。 若いころに書いた詩なんかも、織り交ぜながら 記憶を どこかに メモするように 細々と 書いています。
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#詩人

港街にて

しっかりした口調で
あなたに
言葉を濁した

ハタハタと
海風に はためく
ボロ布のような
国旗を振りかざし

後ろ暗い
おさげ髪の少女は

敵か味方か
そんなことはお構いなしに
躍起になって

戦いを挑む

しっかりした口調で
あなたに
言葉を濁した

今度
この港に
貿易船がやってきたら

おさげ髪の少女は
どうするつもりだろう

プラムの砂糖漬けを
口いっぱいに
頬張った時みたいに

しっか

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ひまわり

昔 そこの角のところに
ひまわりって言う
喫茶店があって

ぼくは
わたしは

いつも そこで
じゃあ またね
っていって

うちに帰ったんだ

寄り道をせず
肩に鞄を下げて

ぼくも
わたしも
幸せが何なのか

そんなことは
考えたこともなく

ひまわりのように
あぜ道を
雑草に触れたりして
突き進んだ

あたたかい追憶

ひまわり
ひまわり
ひまわり

僕は
わたしは

あそぶことが大好きな

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回想

絶望的なまでに
もう二度と 逢うことはない

私たちは
若すぎたのだ

まるい地球は
少し 楕円を帯びているから

直線を描こうとも
きっと
どこかで
少しずつ
まるみをおびてくるだろう

楕円の上で
這いつくばっている私たちだから
まるい地球だから

私たちは
絶望的に
もう 二度と逢うことはない

見える世界が
絶望的なまでに
楕円を帯びて

歪曲した
私たちであるから

さようなら
さよう

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