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月が泣くとき

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書き溜めた詩を まとめています。
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#文学フリマ

金色にたゆむ

金色にたゆむ
それは
夕方が来て
夜が来て
闇が来て
黒いこねこのような
そんなとき

とても 安心することに 気が付いて
わたしは 事あるごとに それを せがんだ

聞き分けのない子でごめんなさい

いつだって気がつけば
私は
安心を 欲しがってた

高み

そこに到達したいのだけど
わざと 回り道して
道すがら のらくら 脇道それて
そういうのが かっこいいと思ってたけど
あの人は
直接 そこに 到達していて
すごく 短絡的で
飽きたけど 正解だった

幻と

ぜんぶ ぜんぶ
幻だったかもしれない

身体が
覚えていることだけが頼りなのに

なんだかもう
忘れてしまった

宙ぶらりんの
わたしは
#詩 #詩作#詩を書く#ポエム

夜が時間を蝕んで

夜が
時間を
蝕んでいる

どうしようもなさを
もてあまして

意味を失い
ただ うずくまる

わらいごとではない

耐えることしか
知らない
穴が空いてしまった

夜が
時間を
蝕んでいる
#詩 #詩を書く#ポエム

夜明けの砂漠

夜がしらんできた

私のほかに在るものは
今 ここにいることの不思議と
どこまでも続く 有限の砂と
やすらかな星と
安堵

そして孤独
#詩 #詩を書く#ポエム#記憶

記憶

早く眠ってしまいたいのに
夜の闇が
馴染みすぎて
靄がみえてしまう

わたしは
くすりと
ひとつ 笑う

そしたら
もう 他にやることがなくなってしまって

おいてけぼりだな
と ちいさくつぶやくしか
それしか なかった

幼少の
とある夜
#詩 #詩を書く#ポエム

無題

遠いものとか
形にできないものとか
愛とか
くだらないものとか
わからないものとか
崩れるものとか
音とか

いつも 抱きしめて
いつもいつも抱きしめて

要するに
こころが ないものねだりで
結局は ただ一人なのだと
結局は ただ一人なのだと
思った
#詩 #詩を書く#ポエム

冬のうた

あぁ、もう今年も終わりなんだなと
あなたがつぶやいた

日が落ちて 
風がとても冷たくて
底冷えする アスファルトの上を
細いヒールで歩く私を
冷たい手で そっと 包み込んでくれるあなたは

やさしいのか
ひどいのか
#詩 #詩を書く#ポエム

ある雨の日のこと

雨が すこし 降り出した
その刹那
まだ見ぬ未来に思いを馳せていた 
若い乙女だったころの残像がよぎる

私は 
もう決して若くはない己の手の甲を眺める

自由だった
未来を夢見ることができた
それだけがあの頃の仕事だった

永い時間がたった今
この雨にのまれることが
多分 ゆるぎない幸せであったと
錯覚している

きっと 私は間違ってはいない

あのころ 思い描いた未来を 
選択しなかっただけの

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メコン河

用事があって外に出た
出たくないわけじゃない

でも
なんだか 世界が まぶしい

物乞いの子供たち
走る自動車の喧騒
埃っぽい空気
河で暮らす大人たち

どれほど 遠くにいても
私の瞼の奥には あなたたちがいる

もう 私のことなんて忘れたかしら

用事があって 外に出た
出たくなかったわけじゃない

ただただ
世界が なんだか
本当に 回ってるのか 
少しだけ 疑問に思っただけ
#詩 #詩を書

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夜につぶやく

言葉が出てこないほど
甘ったるい

もっと
あなたの誠実さに 近づきたい

長い旅を
あなたと共に

疲れない旅を
ゆるぎない旅を
切ないという言葉がぴったりの旅を

ずっと あなたと
甘ったるい旅を
#詩 #詩を書く#ポエム

無題

笑いながら
曇り空に 針葉樹の枯れ木の枝を
ぽいっと
放り投げて遊んだ

あの人は
だれだったろう
幼い記憶

冬が やってくる前の
きちんとした 秋のにおい

わたしを
確実に 幸せにする 記憶
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

日曜日の午後の憂鬱

憂鬱な 日曜日の午後に
耽るもの思いは
どこに流れてゆくのだろう

どんよりとした曇り空の果てに押しやるように
はやく この憂鬱を 
消し去りたい

単純でいいのに
簡単でいいのに

意味を見出そうとするから
がんじがらめになってしまう

こんな憂鬱な日曜日の午後
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

焦り

自分の見た風景が
においが
身体にしみわたって
自分の
血肉になりしとき

わたしは
生きる喜びを
今こそかみしめなければ
と 焦る
#詩 #詩を書く#ポエム