ある雨の日のこと

雨が すこし 降り出した
その刹那
まだ見ぬ未来に思いを馳せていた 
若い乙女だったころの残像がよぎる

私は 
もう決して若くはない己の手の甲を眺める

自由だった
未来を夢見ることができた
それだけがあの頃の仕事だった

永い時間がたった今
この雨にのまれることが
多分 ゆるぎない幸せであったと
錯覚している

きっと 私は間違ってはいない

あのころ 思い描いた未来を 
選択しなかっただけのこと

夜明けまでには
この雨は あがるだろう

私は また 歩き続ける


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