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論文掲載:交流分析学会誌にコロナ不安の論文が掲載されました

 日本交流分析学会の学会誌『交流分析研究』Vol.47 2022 No.2に、米沢が執筆したコロナ不安に関する論文が掲載されました。

米沢宏:自我状態の構造分析から考えるコロナ不安、極論、フェイクニュース、陰謀論.交流分析研究 47(2), 80-87, 2022

 コロナが始まった当初から企業の産業医として、「正しい情報は何か」ということを絶えず意識し情報収集・発信に努めてきました。同時に、人はなぜ怪しい情報を信じてしまうのか、という疑問にもぶつかりました。まずは日常的に使っている認知行動療法のアイデアである「認知の歪み(バイアス)」の考え方が役に立ちました。バイアスは誰にでもある、なので誰でも勘違いする、という当たり前のことに気づきました。それにしてもなぜ早とちりをするのか?次はヒューリスティックという行動経済学の概念が理解を助けてくれました。そしてそれらは交流分析の重要な概念の一つである「自我状態の混入」で説明できることに気づき、2022年4月に学会で発表しました(資料1)。

 自分の中ではこの発表で「コロナの心理学」に一区切りつけたつもりだったのですが、秋になって学会から論文化の打診が来て慌てました。思いつきをとりあえず言葉にしてみただけで、とても論文化できるような内容ではないと思っていたからです。
 しかし自分のアイデアを文章に残すチャンスをいただけたのは光栄なことです。早速スライドの資料の文章化に取りかかりました。ところが始めてみると、スライドを作った段階では気づかなかった、論理展開の脆弱性に気づくことになります。文章にすると論理が飛躍しているところが見えてしまう。一時はあきらめかけたのですが、締切を延ばしていただき、編集部とやり取りしながら書き進める過程で頭の中も整理され、「言いたいのはこういうことだったか!」と気づけ、最終的には満足できる形に仕上がったように思います。

 contamination(混入、汚染)という交流分析用語がこの論文の中心テーマですので、一般の方にはわかりにくい、マニアックな論文だろうと思うのですが、読んでくださった何人かの方から、「わかりやすい!」「これを知っていたらもっと楽に対応できていたと思う」といったフィードバックをいただき、驚きました。
 基本的な内容は資料1の通りですが、お読みになりたい方はお問い合わせをいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

お問い合せ:https://www.jes.ne.jp/form/contact

資料

1)交流分析学会発表:自我状態の構造分析から考えるコロナ不安、デマ・フェイクニュース、陰謀論

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