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本当のやさしさってなんだろう。

※芋虫の話題ですが、苦手な方もいるとおもうので写真は控えております。

某トラのキャラクターも、みんなで分けると嬉しいね。とか、はんぶんこ♪とか、言っている。

お母さんと一緒だったか、いないいないばあだったかも、譲り合おうね、なんて言っている。

ちょっと教育的な絵本とか、アニメとか、そんなことを目にすることも多いし、娘も真剣に見ている。

やさしさって、大人から教えられるものなのかな?教えないと、わからないのかな?

娘(3歳5ヶ月)は、食べたいものは独り占めするし、なんなら母のぶんまで「いーい?」と聞きながら口にいれる。

↑娘作、大根。

突然だが、我が家は畑を借りてニンジン等を育てている。

収穫期真っ盛り!
ニンジン好きな娘は、大興奮で「これも大きい!」と立て続けに3本も抜いた。
3本目で、あれ?と気づく、虫のかじりあと。
「うさぎがきて食べちゃったんじゃない?」などという。かわいいじゃないの。

ほどなくして、そばの土の中から、土色の芋虫を発見した娘。畑にとっては、いわゆる害虫である。
畑の管理の方からは、芋虫毛虫は即処分、といわれている。


「もってかえる」
虫めづる姫君は、芋虫を優しく包み込んで離さない。

確かに、アゲハチョウの幼虫は連れて帰って育てていた。
が、芋虫は明らかに土に馴染む色合いをしている。青虫、ではない。
コガネムシの幼虫とかでもなさそうだし、成虫になったらなにになるか分からない。
土のなかが好きだから狭い飼育ケースでは飼えないよ、と告げる。
それでも「土を沢山入れてあげたらいい」と言いはり、虫に頬擦りせんばかりの娘に、
「その芋虫が、にんじんを食べちゃったのかなぁ」
なんて、ちょっと意地悪な言い方をしてしまった。

そしたら、娘、どうしたことか。

しぶしぶ芋虫を土に返したあと、掘り出したばかりのニンジンをカゴからとり、また埋め戻したのだ。

「じゃあ、これは芋虫ちゃんの分にくれるの」

せっかく収穫したニンジンを、芋虫に一本捧げると。

な、なんだ、この考え方!
悪役がやさしい心に打ちのめされる、これがそんな気持ちか……。

この瞬間から、害虫という概念はなくなりました。

浄化される母……。

あれだけやさしさだの分けあうこころだの、見せておきながら、虫を敵と見なし血眼で取り、虫食いひとつで嫌がっていた、大人の身勝手さったら……。
「敵」は、己の立場で変わる。

娘は、芋虫の命もニンジンの命も、ただただその存在を受け入れていて。
その瞬間、それぞれと純粋に向き合っている。
畑では、私の方が命の学びをさせてもらっているなぁ。

黙々と、ニンジンを植え直す娘を、止めることはできなかった。ニンジン部分が寝た状態で埋められたけど、そっと、そのままにしておくことにした。
ニンジン、食べてくれたら良いね、とさえ思う。(どうか他の人の畑に行きませんように……)

芋虫だって生きている。
娘にとっては、お話の中の森のこりすも、畑の芋虫も、みんなおともだちになれる存在なのだなぁ。

そして、大好きな食べ物も分け合いたいという。

いや、書いていて気づいた。
これは、『はんぶんこ♪』とか、『おすそわけ♪』とか、そういう、自分のやさしさを見せるための行動ではないな。

この灰色の小さな芋虫が、土のなかでも元気で食に困らず生きていくためにはどうしたらいいか、彼女なりに考えた結果だ。
自分が大好きなニンジンだからこそ、あのこが食べられるだろう、あげよう、と思ったのだろう。

まだ3年と半年くらいの頭と心で、ここまでできるのだなぁ。



それを『やさしい』といわずして、なんというだろうか。

追伸。
最近、羽化して一週間たった同居人の、キアゲハ蝶々が、ダイニングの窓のそば(室内)から失踪し、母は気になって仕方がない。
いなくなっちゃったと告げたとき、「それより、とりあえず粘土しよう」といった娘よ……。おいおい。

お~い、キアゲハよー!どこ行ったー!!どこかに挟まってたりしたら、心臓止まりそう……。

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