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WAOニンジャ大量バトル!バトル物としてのニンジャスレイヤー『バック・イン・ブラック』お勧め紹介

ニンジャスレイヤーといえば!と新規ニュービー読者に向けて流布される紹介文句は大体「重厚なハードSF」「殺伐に乾いた社会派ハイコンテクスト文章」「歴史の真実が記されし壮大な伝奇」「洋楽とかの渋い音楽性があるホンモノの芸術」etc.といったところ。確かにこの小説が頭のいい人達が書いたレベルの高い文学作品であることは事実です。

「えっ…アイエーやイヤーグワーといった胡乱な面白語彙にニヤつきながらアメコミ超人が異能バトルするさまに中二感性を満たそうとしていたおれは恥ずかしい勘違い野郎だったのか……?社会を知り大人になった方がいいのかな……」

ノープロブレッモ!しかしてそのように自己を卑下してはいけません。界隈の人間は誰しも自ジャンルの沼に他人を引き摺りこみたい時には好きな作品のシリアスや高尚さを持ち上げたくなるものです。それが間違いなわけではありませんしシリアスなのも事実。しかしそういう紹介をされたからと敷居を高く見積りすぎなくてもよいのです。

そう。ニンジャスレイヤーは起承ニンジャ結。ニンジャが出て殺す!イクォールニンジャが出て死ぬ!ニンジャがたくさん出て死ぬ!我らが主人公ニンジャスレイヤーが次々と敵ニンジャとカラテして殺すわけですから当然敵ニンジャの方も見た目からキャラ付けまで多種多様になり個性的なジツやカラテを繰り出してくるに決まってます。彼らの研ぎ澄まされた命の獲り合いはゼンを感じる要素でもありますがそれ以前に単純明快なバトル活劇です。個性的な能力の攻略…戦闘中の刹那の懸け引き…破竹の勢いで倒しまくる快進撃……ニンジャスレイヤーはバトル物として超面白い

そんなわけで私考えました。「ニンジャスレイヤーが大量のニンジャとバトルするうえにニュービーでもとっつきやすく世界観も把握できて入門用にもなり得るエピソード」長年悩んだ末に出した一つの結論。それは…………

「バック・イン・ブラック」

である。

◆バック・イン・ブラックとは何か◆

このエピソードは第一部「ネオサイタマ炎上」の最初の方の時系列に位置する謂わばニンジャスレイヤー・ライジングとも言える名エピソードです。ニンジャスレイヤーと化した直後のフジキド・ケンジが内なるナラクの声に促されやがて暴走していく『暗黒の七日間』と師・ゲンドーソーとの出会いそして復讐者としての最初の決断が描かれます。以下にお勧めエビデンスを示していきましょう。

①第一部である

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第一部とは「一」とついている以上なんやかんやで読み始めるのには適しているものです。第二部にも「モータル・ニンジャ・レジスター」のようなフジキドがひたすらニンジャを殺戮し回るお話はありますし第三部もニンジャの数が増えたうえに戦闘描写の解像度が上がってるといった強味があるのですが二部はストーリーの連続性が重点され入門用としては推奨されない風潮があり(個人的には一向に構わんのだが)三部のニンジャ大量出現エピは中盤や終盤の大型クライマックスに集中していてこれは尚更初見でつまみ食いするのは難しい。やはり舞台が変動していないスタンダードなネオサイタマが映される一部が安牌となります。実際「電磁納豆培養コングロマリット」や「電話王子様」等の忍殺ミームがたくさん映ります。さらにこの「バック・イン・ブラック」第一部にありがちな初期作故の文体や設定の不安定さや一部特有の解像度の低さが無いのです!なにしろ三部連載中に書き下ろされた初期エピソードなので一部の文体を再現しつつ三部並みの解像度で読みごたえがあるんですねえ。

②けっこう重要エピソードである

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ニュービーに向けたエピソードとしては大筋に関わらない独立短編の方が読みやすいのですがこれは第一部初期の時系列。何せ全ての物語が始まったばかりなので理解できなかったりノリについていけないということはありません。貴方はニンジャスレイヤーの長きに渡る戦いの原点に立ち会うのです。
それは宿敵ソウカイヤとの死合の幕開け最後まで向き合うこととなるここで背負う罪と業恩師ドラゴン・ゲンドーソーやドラゴン・ユカノとの出会い謎めいたナラク・ニンジャの片鱗、そして何よりも敗北と喪失からのREFORGING THE HATRED……!これほどまでにたくさんのイベントがつまっている。『バック・イン・ブラック』はニュービー的わかりやすさと読み応えを両立したちょっと類いまれなる作品なのです。

③バラエティ豊かなニンジャたち~サンシタから猛者まで~

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先にも述べましたが私が本作をお勧めしたい最大の理由がこれなわけです。第一部は大体「今週のニンジャ」的なノリでニンジャが一、二体くらいしか出てこないのですが本作は劇場版みたいな大盤振る舞い。まずこの回初出のサンシタソウカイニンジャが10体以上出てきます。

・特に能力を持たない平均的造形のサンシタ
・連載開始時から予告されていてようやく登場したやつ
・最強の昆虫の名を冠するニンジャ
・登場、アイサツ、ジツ自慢、爆発四散を1ツイートに収める生き急ぎ
・珍しくて玄人好みな毒弓使い
・交通事故被害者etc.

これらをナラク化しっぱなしの作中全体で見てもトップクラスに強いニンジャスレイヤーがスレイしていく!景気の良い爆発四散は爽快なことですね。
さらには十把一絡げではない後々のエピソードでも顔を見ることになる豪華なゲストも!

・日本最後のリアルニンジャ、ヤバイ級存在格の漂うドラゴン・ゲンドーソー=センセイ
・そのバストは豊満である。ドラゴン・ユカノ
・言わずと知れたキング・オブ・ヴィラン、我らのラオモト・カン
・フジキド最大のライバル、妻子を奪った憎き強敵ダークニンジャ
・ソウカイ六門の頂点に立つ冷徹なる大幹部ゲイトキーパー
・第一部を通した影のライバル名脇役、ヘルカイト
・アゴニィ=サンetc.

さらに言えば劇中では本調子でないことが多かったゲンドーソー=センセイの戦闘描写が最も多い回でもあるんですね。これはバトルに次ぐバトルが期待できちゃいます!

「ニンジャスレイヤー…特撮とかラノベアニメみたいに異能エフェクトが飛んで物理で殴ったりクールな懸け引きをしたり……そういったものが、おれの大好きな痛快アクションもちゃんと用意されてたんだ!!」
そうだぜ。
ニンジャスレイヤーのバトルは面白いのだ。

最後に。BOOM BOOM SATELLITESさんの『BACK IN BLACK』を聴きながらの読書は最高ですよ。

https://diehardtales.com/n/n3e36109ae946

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