青森・田村ファミリーのすごすぎる手作り生活 PART3「庭にトイレを作ってみた」編
青森県にすごい家族がいる。
過去に何度もテレビで取材され、「超節約家族」「究極の0円家族」「自給自足家族」などのキャッチフレーズで紹介された。
わかるとおり、田舎で自給自足生活を送る家族だ。
前回の記事では書籍『都会を出て田舎で0円生活はじめました』の中から、「20万円で家をつくってみた編」と「自宅に水道を引いてみた編」を紹介した。
今回は、電気ガス水道も自給自足で賄う田村ファミリーが自宅の庭にある「自作トイレ」の様子をご紹介する。
みなさん、はじめまして。僕の名前は田村余一といいます。
我が家は、青森県にあるとある平屋。家主である僕と、妻である嫁さん、そして息子の3人暮らしをしています。 よその家とちょっと違うのは、その家がぜんぶタダでもらった廃材でできていて、建てたのは大工さんではなく、家主自身が1から建てた手造りの家だということ。 そしてもう一つ違うことといえば、我が家では電気・ガス・水道を契約していない。スーパーでの買い物もあんまりしない。ほとんどお金を使わない生活だということだ。
えっ、それで生活できるの? と思うかもしれない。 できる!家族3人、充分に生活できている。そんな僕たちの「手作り生活」の様子を、書籍から抜粋してご紹介させていただきます。
手前のケツを手前で拭けるトイレ
「 手前」と書いて「テメェ」と読む。要は自分のことは自分で解決しようねっていう 意味です、念のため。我が家にはそういう、当たり前のことに思えて世間のトイレと は一線を画したトイレ、「コンポスト(堆肥)トイレ」がある。 簡単に言うと、排泄物を水で流してどっかに捨てるんじゃなくて、堆肥化させて自 分の土地(畑)に還元するトイレ。 こう言うと昔ながらの「汲み取り(ボットン)便所」、いわゆる「肥溜め」を想像 するかもしれないけど、どうか皆さん、いったんアタマをクリアにして読んでほし い。
まず我が家のトイレはこんな感じ。
主なポイントとしては、
・排泄物がトイレ内にあり続けるけどほとんど臭わない
・溜まった排泄物の取り出しがカンタン
・室内が開放的で明るい
こんなところが挙げられる。
どうだい?昔ながらの暗くて狭い空間で鼻をつまみながら用を足して、いざ溜まったら桶にそれを汲み、よろけながら畑に柄杓でパシャパシャ撒くというイメージとは真逆でしょ?
いったいどんな仕組みかというと......住まいとは別にトイレ棟(2畳ほどの広さ)を設置。床板は付けず、土間の上に籾ガラや大工作業で出たオガクズを敷き詰める。妻壁はなく、頭上の通風も確保(換気扇いらず)。
便を溜める容器は底面に無数の穴を開けたオイル缶。その上に木製の便座を載せる。用を足すときはオイル缶に座るようなカタチの洋式スタイルだ。 オイル缶の真下は1メートルほど掘ったところに砂利を敷き詰めて、オイル缶内に入った尿は自然にこの砂利の層に落ちていき、地下に自然浸透。大小(ウンチとシッコ)を分離させることでバクテリアの繁殖を抑え、匂いが大幅に軽減される。
事を終えたら室内に置いてある自家製の「籾ガラくん炭」と、周囲で拾った枯葉を惜しみなく振りかける(消臭効果と堆肥化の資材投入、ブツの目隠し)。屋根は透明 なポリカーボネートだから日光が室内に降り注ぐ。これによりトイレ内の太陽殺菌も促され、適度な下草も生えてきてなんだか癒される。
たかが用を足す場所。屋根材以外はみんな廃材で作った(プライバシーさえ守られていれば別に野グソでいいじゃんって思っている僕)。お尻を拭くのは、前述したト イレの裏に自生するフキノトウや畑で栽培しているキウイフルーツの葉っぱ(第5話 参照)。 もちろん拭いたらオイル缶にイン。みんな一緒に堆肥化される。冬場はやむなく ティッシュペーパーか、古くなった布で拭く(これらは堆肥化されるまでかなり時間を要するからコンポストには入れない)。
オイル缶がいっぱいになってきたら、敷地内に数カ所設置しているドライコンポスト(密閉せず通気を良くした堆肥場=これまたほとんど臭わない)に移してリセット完了。溜め込みすぎないことで女性でも持ち運びが容易になる。
季節や条件にもよるが、ドライコンポストに入れて1〜3ヶ月でホロホロの土みたいに堆肥化して、野菜作りの元肥や追肥に使える。虫や微生物の活動が活発な夏場は分解が早く、逆に冬場はほとんど堆肥化しない。
冬は専ら果樹や庭木の根元周辺の雪を掘って「寒肥(かんごえ)」として直接的に利用する(やり過ぎると病害の原因になるので注意)。 ウンチとて立派な有機物。バカにならない自然パワーを秘めているわけで、何事もないことのように「水に流す」なんてとんでもない。飲めるほどに浄化処理された水 を大量に使い、莫大なコストをかけた下水道ではるか遠くの汚水処理場まで運んじゃう。
そこでなんとか無害なレベルまで浄化処理がされたら河川へ放流......というのが 現状だ。うわぉ!なんという回りくどいシステムなんだ! 全国の下水道事業が赤字だらけなのも頷ける。ウンチの処理を人任せにする代償は思いのほか大きい。なんと言ってもウンチパワーがまったく大地に還元されていない。
考えてみれば人 間以外の動物はみんな自然の、ノーボーダーなコンポストトイレを利用している。それが他の生物の食べ物になり、食料豊かな森を作っている。なんか食べてウンチをそ こに還すだけで幸せは約束されてるんだ。地球ってスゴい!トイレの話、まだまだ尽きないほどディテールに溢れているんだけど(最強のウン チ分解昆虫ミズアブの話とか、お尻を葉っぱで拭くときの効率的なやり方とか)、文字通り「くさい」話になるのでこのへんで尻をはしょろうと思います。
本を読まない人のための出版社 サンクチュアリ出版
https://www.sanctuarybooks.jp/
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