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闇と光 〜太田記念美術館へ〜

12月18日まで開催している「闇と光」を観に太田記念美術館へ行ってきました。場所は原宿です。


noteのオンラインでも有料で観られるようですね。

原宿は平日の昼でも混んでいました。たまたまかもしれませんが、大通り沿い、すれ違うのも大変な場所もありました。
美術館はちょっと横道にそれたところにあります。

太田記念美術館のnoteにも無料で載っているものを幾つかご紹介を。

小林清親「隅田川夜」大判錦絵 明治14年(1881) 福田熊次郎

隅田川東岸にある向島の土手から、対岸の待乳山と今戸橋を臨んでいる場所だそうです。
ステッキを片手に帽子を被った男性と着物姿の女性は表情が見えないだけに色んな解釈が出来そうです。対岸の建物から漏れる灯りの水面に反射しているの様子もきれいですね。

今回の展示は全体的に色使いが抑えられていますが、それゆえの良さがあって素敵でした。

小林清親「日本橋夜」大判錦絵 明治14年(1881)頃

明治14年、140年くらい前の日本橋、こんな景色だったのですね。
今をよく知る場所の昔の姿を鑑賞するのは楽しいです。

小林清親「御茶水蛍」大判錦絵 明治12年(1879)頃

お茶の水付近を流れる神田川の景。画面中央に目を凝らすと、川をまたいで設置された神田上水掛樋のシルエットが見えます。現代ではもはや想像もつきませんが、明治時代にはここで蛍狩りをすることができました。蛍の光と船の明かりとを少し色味を変えて表現しているところに、清親の観察眼が光っています。

太田記念美術館noteより

蛍の光と船の光、こうしてみても違いがわかりますね。
それにしても神田川、こんな静かな情景だったとは。

小林清親「天王寺下衣川」大判錦絵 明治13年(1880)頃

此方も色々な光がありますが、それぞれ違っていますね。闇の濃淡も素晴らしかったです。


上野の不忍池のほとりから眺める花火の景。見物客たちをまるで影絵のように全てシルエットにすることで、夜空に輝く花火の華やかさを強調しています。画面右に見える暗がりは不忍池の中央にある弁天島。対岸の灯りが水面に反射する様子を、赤や黄色の短い縦の線で表現しています。

太田浮世絵美術館noteより

暗闇の中で赤い提灯と花火の残像がよく映えていますね。水面に映る光もこれがあると無いとでは大違いだと思いました。

そして!
嬉しいことにもともと絵葉書でも持っていたお気に入りの一枚が展示されてました。

小林清親 東京新大橋雨中図 絵葉書から

実は母から貰った絵葉書だったので、実物を見るのは初めて。当然ですが絵葉書より細かい色使いの濃淡がくっきり肉眼で観ることが出来、改めて素晴らしいと思いました。

此方はpostcrossingで送った事もあるのですが、とても外国人にも評判の良い一枚です。

今回の展示で一番勉強になった点は…
手元に写真は無いのですが、同じ版画でも色使いを変えて刷った物を並べて展示してあるものがありました。色が変わると全く同じ版木を使っていても随分雰囲気が変わる事が改めて分かりました。
きっと試行錯誤して一番良い色使いで刷っていたのでしょうね。

番外として…
今回の展示ではなかったのですが、過去の太田記念美術館展示で気に入って購入した絵葉書から。

歌川広重 名所江戸百景 浅草田圃の町詣 絵葉書から

置きっぱなしになっている物の情景から猫の飼い主でもある女性の様子を想像するのも楽しいですね。

歌川広重 東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪 絵葉書から

しんとした雪の様子が伝わってきます。

今回の「闇と光」の展示では前期と後期で全部絵が入れ替わるようなので、後期も時間を作って行ってみたいと思っています。


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