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身心変容技法オンライン・セミナー リターンズ2021(シリーズ③刊行記念)

元サンガ編集部の川島がサンガの後も引き続き手掛けている『身心変容と医療/表現』に関連する企画のご案内です。

サンガで昨年2020年の秋に開催して好評をいただいたオンライン・セミナーに「身心変容技法オンライン・セミナー」があります。6人の医師・研究者による専門的な内容でしたが、充実した内容で、身心変容という人間の根源に関わる文化というか現象というか技法というかを、ご紹介して面白かった企画でした。

このセミナーはサンガでこのシリーズの第三巻を刊行するための、話題作りと資金集めとして企画したのでしたが、突然にサンガが破産したことで、刊行中止。そこに助け舟というか救い主が現れて、というか鎌田東二先生の念力ならぬ縁力で手繰り寄せて、日本能率協会マネジメントセンターさんから無事観光できたのがこの第三巻。しかしタイトルもそのまま、『身心変容技法シリーズ③』としていただけたのでした。

『身心変容と医療/表現~近代と伝統 先端科学と古代シャーマニズムを結ぶ身体と心の全体性 (身心変容技法シリーズ3) 』

https://amzn.to/3cSrdkR

マインドフルネスの基本から、精神医学、民俗学、シャーマニズム、表現芸術における心と身体の変容まで、話題てんこ盛りの一冊です。

そして、ここからが今日の本題なのですが、この第三巻の刊行を記念してオンライン・セミナーを開催します。

身心変容技法シリーズ③
刊行記念オンライン・セミナー

https://shinshinhenyo.peatix.com/


セミナーラインナップ

登壇者は本書に論考をご寄稿いただいた方から7名をラインナップ。

第1回(4月23日稲葉俊郎先生)
第2回(5月15日中田英之先生)
第3回(5月29日阪上正巳先生)
第4回(6月11日柿沼敏江先生)
第5回(6月25日安田登先生)
第6回(7月9日奥井遼先生)
第7回(7月24日鎌田東二先生×島薗進先生)

それぞれ簡単にご紹介します。

【第1回】
稲葉俊郎先生
「伝統と近代医療から未来医療を考える ~日本最古の医書『医心方』から学ぶこと」

稲葉俊郎先生

サンガジャパンにも寄稿いただき、セミナーにも登壇いただいた、現代医療の最前線で統合的な医療の試みを続ける第一線で活躍するお医者さんです。東大病院から軽井沢病院に舞台を移され、活躍されています。本書ではご自身の目指す医療のビジョンを描く論考からオリンピックの話、そして平安時代の医書『医心方(イシンホウ)』という国宝の医書をテーマとした論考を収録しています。セミナーでは「本草書・仙書・哲学・占相・天文学・易教・仏教・儒教・陰陽道などの文献を網羅」した『医心方』をテーマにお話しいただけるとのことです。興味津々です。


【第2回】
中田英之先生
「身心変容と東西医学~聖書に描かれた身心変容技法を修験道から読み解く」

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防衛医大と慶應大学医学部で学ばれた西洋医学の医師であり東洋医学の医師でもある方です。私はメールのやり取りばかりでまだ面識がないのですが、日本能率協会マネジメントセンターで編集を担当いただいた柏原さんとは旧知であったという偶然もあり縁を感じます。本書では、西洋医学を橋渡しするような、東洋医学入門的なわかりやすい論考を収録しています。東洋医学に興味はあるけど、よくわからないという方にお勧めの論文です。ぜひご一読を! セミナーでは。「身体の体験を通して全体性を回復する営みについて、聖書、修験道、医療を横断して流れる真実の核心に迫る。」とのこと。期待大です。


【第3回】
阪上正巳先生
「音楽療法における身心変容の諸相~統合失調症を中心に」

阪上正巳先生

金沢大学医学部、ウィーン大学医学部で精神医学を学ばれた精神科医で、今は国立音楽大学の教授をされています。本書では脳梗塞後遺症、摂食障害、統合失調症の方たちへの音楽療法の実際をご紹介いただいています。なかでも統合失調症の方の治療のプロセスは感動的で、ぜひ映像付きでお話を伺いたいと思い、セミナーにご登壇いただくことになりました。「統合失調症に対する音楽療法の実践例をご紹介しながら、このモデルにおける変容の意味を精神病理学的に考えてみたいと思いますが、そのさい音楽による「喜び」が一つのキーワードとなります。」とのこと。待ち遠しいです。


【第4回】
柿沼敏江先生
「ヒルデガルトとジョン・ケージにおける身心変容」

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カリフォルニア大学で学ばれた音楽学者で、京都市立芸術大学の名誉教授、そしてジョン・ケージの『サイレンス』の翻訳をされています。本書では中世キリスト教の修道女であり作曲家ヒルデガルトの宗教体験と音楽的な表現を描出、この聖女がつくった人工言語(エスペラント語のようなものですね)についての論考を収録しています。この論考ではじめてヒルデガルトという人を知りましたが、YouTubeで聞いてびっくり。心の奥に響く深い音楽で、これを宗教音楽というのかと、改めて知ったところです。セミナーではケージとヒルデガルトの二大話になるとのことで、キノコの芸術的なマジックが登場するか分かりませんが、とても楽しみです。


【第5回】
安田登先生
「あはひの身心変容技法~能と芭蕉を中心に~」

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能楽師(下掛宝生流)でいらして、本書とは直接しませんが昨年のZen2.0で、やはり本書に論文を収録している熊野宏昭先生と「日本文化とマインドフルネス」をテーマにご対談されていました。本書では松尾芭蕉の奥の細道を補助線として、世阿弥の世界、此岸と彼岸を往還する夢幻能の世界をご紹介いただきました。セミナーでは収録論文のテーマでもある「あわい」とは何か、古典や現代の実例を示しながら、そして「あはひ」の芸能である能楽について、「物語を紹介したり、謡を謡ったりしながら」、『奥の細道』にも触れつつお話しいただけるとのことです。見逃せません。


【第6回】
奥井遼先生
「フランス身体哲学の展開~わざの稽古にみる創発論」

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同志社大学社会学部教育文化学科の准教授です。本書では、パリ大学教授ベルナール・アンドリュー氏の意識の創発、内的感覚の創発を巡る論文の翻訳を収録しました。奥井さんの専門は現象学、臨床教育学・教育人間学、身体論ということで、「わざ」の習得および稽古のコミュニケーションを主なテーマとされてきたとのこと。そこで、「身体論」のお話をいただきます。HPの内容紹介にある「「わざ」の稽古場面をめぐる「身体的経験」を記述」するろとはどうことかとても気になります。「フランスにおいて発展してきた現代サーカスや現代マリオネットのアーティストたちがいかに自分たちの身体を生きているのか、その探究の一端を明らかにしてみよう。」とのこと。身心変容とはまず身体全体で考え、生きることかもしれません。思索を深める機会をいただけそうです。


【第7回】
島薗進先生
「身心変容と医療/表現~伝統と近代――総括と展望~霊的暴力と身心変容の社会的展開」

島薗進先生‗顔写真@上智大学

東大名誉教授で、上智大学グリーフケア研究所の所長をされている島薗進先生は、現在の日本の宗教学を牽引されていると言っても過言ではないでしょう。日本臨床宗教師会の会長でもあり、本書に寄稿いただいた論文では東日本大震災をきっかけに生まれた臨床宗教師のことも紹介されています。臨床の現場はこれから日本のスピリチュアリティの中心テーマであると私(川島)は個人的におもっていますが、それは置いておいて、本書においては内向し考察する論考が続いた最後、島薗先生の論考で一気に社会に向けて開いて本書は閉じられます。セミナーでは身心変容と宗教、身心変容と政治を取り上げ、「規律」をキーワードに霊的暴力の問題、戦後日本、そして現在のコロナ禍の社会への問題提起をいただけそうです。


鎌田東二先生
「身心変容と生業と医療~なりわい・わざわい・さちわいの交叉点」

鎌田東二顔写真 2021年2月24日

本書の編著者で、身心変容技法研究の代表研究者です。神道ソングライターとしてアルバムも出し、たまにライブもされていて、観に行ったことがありますが、三上寛を彷彿とさせる魂のフォークソングでかなり中毒性があります。本書を日本能率協会マネジメントセンターから出版されることになったのも、鎌田先生の天啓によるもので、役行者ならぬまさに縁の行者です。それはさておき、本書では序文として、人類史から身心変容の歴史を紐解き古代の神話・伝承に医療の源泉を探求する、重厚な論文を書下ろしいただきました。セミナーでは、「なりわい」「わざわい」「さちわい」をキーワードに、コロナ時代にあって「密」を求める私たちのメンタリティを浮き彫りにするお話をいただけそうです。

そして、お二人の発表の後、後半はセミナーの最後を飾るにふさわしい島薗先生と鎌田先生の対談です。

以上のように、本書のエッセンスを濃縮したラインナップのセミナーになりました。詳しいセミナーの内容はリンク先に書かれていますので、ぜひお読みください。そして、ご興味頂けたら、ご参加お願いします。
本を読みつつご参加いただけると嬉しいです。リアルタイムで参加できなくても、あとからアーカイブでもご覧いただけます。

ご参加お待ちしております。

川島

https://shinshinhenyo.peatix.com/


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