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1998 コソボ。 息を飲む衝撃のショート映画『ともだち』

みなさんこんにちは。
世界のショート映画 を配信しているサービス、SAMANSAです。

今回のnoteでご紹介するのは、第88回アカデミー賞にもノミネートされ、
世界中の観客が息を飲んだ衝撃の実話に基づく物語、『ともだち』です。


紛争禍にあった1998年のコソボでの、儚い友情を描いたショート映画。

一体彼らの生きた世界とはどのようなものだったのか。
なぜあの”自転車”が彼らの運命を大きく変えてしまったのか。

こんな時代、こんな時だからこそぜひ多くの方々に見て欲しい作品となっています。


もちろん、暗いニュースが続く中、
ショックを受ける作品を観るのは正直しんどい…という方もいらっしゃるかと思います。

そんな時は、無理な視聴や1人での鑑賞を避け、
どうかまずは、ご自身の心身の健康を大事にしてあげてくださいね。

※今回もネタバレを含んでおりますが、ご了承ください🙇‍♀️


1998-1999 コソボ紛争とは

そもそも、コソボ紛争とはどのようなものだったのでしょうか。

ヨーロッパの南東部、バルカン半島に位置するコソボでは、
長らくセルビア共和国内のコソボ自治州として、独立を目指そうとするアルバニア系住民と、それを認めないセルビア当局との間で対立が続いていました。

もともとコソボにはセルビア人がたくさん住んでいましたが、オスマン帝国の支配によってアルバニア人が移り住んだという歴史があったそうです。

当時、コソボ全体でみると、アルバニア人は”多数派”とされていましたが、かつてセルビアの土地であったということからも、役所ではセルビア語でないと対応してもらえなかったり、良い仕事をもらえなかったりという状況にあり、”多数派”としての意識を強く持っていたアルバニア人たちは不公平感を抱いていました。

そのため、1968、81年などには、自治権の拡大を求めるアルバニア人によって暴動が起こり、やがてセルビア当局による警察支配がしかれるようになっていきます。

また、こうした現状に対し、アルバニア人側は独立宣言を掲げ対抗していましたが、セルビア側がそれを認めなかったことにより、1998年はじめに武力衝突が激化

2000人以上の人が死亡、30~40万人の避難民が発生するなど、大きな国際問題となりました。

もっと詳しい歴史的な背景については、こちらの文などを読んでいただければよりわかるかと思いますが、↓
https://volunteer-platform.org/words/conflicts-peace-building/kosovo-war/


簡単にまとめると、

「歴史的にも由緒あるこのコソボは俺たちの民族的聖地だ」

と主張するセルビア側と、

「いやいやコソボの人口の90%はアルバニア人(実際の人口比についても論争あり)が締めているし、自分たちの領土だったんだぞ」

と主張するアルバニア側との間で長年続いていた陰湿な嫌がらせが、
大きな紛争へと発展していってしまったということなのです。

主人公ペトリットの家で流れていたテレビの報道や、
ペトリットとオキが受けていた授業などでも、アルバニア人の悲惨な現実や虐殺の様子が伝えられていましたね。

このような背景から映画を見てみると、彼らが置かれていた環境がどのようなものであったかが少しわかるかと思います。

これが、コソボ紛争と呼ばれる紛争の一部なのです。

「秘密の取引」とビジネスパートナー

ある日ペトリットと大親友のオキは、
こっそりセルビア人の元へ行き、秘密の取引をはじめます。

1996年、武力によって独立を求める組織、KLA(コソボ解放軍)が台頭していきましたが、彼らはセルビア役人だけでなく、彼らに協力するアルバニア人を対象に、攻撃を開始したそうです。

オキが「ネハットに何があったか覚えてるか?」と言っていたように、
セルビア役人に協力していたアルバニア人も多かったのかもしれません。

“需要と供給、ビジネスだよ”と答えるペトリット。

彼は初め、セルビア人を”ともだち”だと言っていましたが、
本当はただ都合のいいように使われていただけでした。

ずっとそれを教えてくれていたオキこそが、本当の友達だった…。

しかし、そう気づいた頃にはもうすでに遅かったのです。


オキの”自転車”が意味すること

コソボ紛争に巻き込まれ、平和な日々、そして大切な友情、命までもを奪われてしまった幼いペトリットとオキ。

そして、その引き金にもなったといえるオキの自転車。

セルビア人の青年がその自転車に乗っている姿を見たオキは、
一体どんな思いで振り返ってしまったのでしょうか。


あのラストシーンは、戦争の惨さがより伝わってくるようで、
本当に胸が詰まりますよね。


しかし、それ以上に、もっと大事なメッセージを伝えてくれているようにも感じます。


少し話が戻りますが、この映画からもわかるように、
「コソボ紛争」というと、

「セルビア側によるアルバニア人迫害
「コソボから追い出されたアルバニア人

という事実に焦点が当てられることが多かったそうです。

しかし、1999年、NATOによる軍事介入後、
”約20万人のセルビア人がコソボを追われることになってしまった”
という事実はあまり知られていません。

NATOは「人道的介入」として、ユーゴ全土への空爆、国際治安軍の介入などを行いましたが、結果的に民族間の対立はより悪化してしまったのです。


なんだか今の社会情勢と、重なる部分も多いですよね…。

今回のnoteではあまり取り上げませんでしたが、
現在でも世界のいたるところで、本当に胸が締め付けられるような状況が続いており、多くの支援と一刻も早い解決が必要であることは間違いありません。

しかし、一部のメディアや情報によって、
どちらか一方を”悪”」だとするイメージが、時に強く、
人々の心に刻まれてしまっていることがあるようにも感じます。


日々情報が溢れる中、何が正しいのか、それを見極めることは本当に難しいことだと思います。


ですが、”ほんの少し立ち止まって振り返ってみる”ということの大切さを、
オキ、そしてペトリットたちは教えてくれているのかもしれませんね。



今だからこそ、映画『ともだち』を多くの人に観ていただきたいと感じます。

ぜひSAMANSAで、お待ちしています!


***

参考:



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