2021.12.4 5分でわかる保守とリベラル:3つの分岐点
今回は、保守とリベラルという政治思想について書いていこうと思います。
これは、難しく話そうと思えばいくらでも難しくできる話なのですが、できるだけ誰にでも判るように簡単に説明致します。
まず、言葉としては、日本語ではかつて保守派と革新派と呼ばれていた政治思想のことです。
最近の日本では、保守とリベラルみたいな言い方をします。
保守が右、リベラルが左であり、その度合は色々ありますが、そう呼ぶことにしましょうということです。
そうすると、保守主義、革新主義(リベラル)って何ですか?
それぞれの傾向って何ですか?
となります。
特に、アメリカの場合は2大政党制なので、共和党が保守、民主党がリベラルということで、二項対立的になってきているわけです。
世界中で保守政党というものが大体ありますが、どういう傾向にあるのでしょうか?
<保守とリベラルを見分ける3つのポイント>
保守(右)とリベラル(左)には大きく分けて、3つの観点で違いがあります。
1.文化について
●保守(右)
文化の問題においては、伝統的な文化を重視することが保守の立場です。
伝統と繋がってきたもの、その中には一見非合理に見えるものもあるかもしれませんが、それを重視していくという考え方です。
例えば、日本で言えば、各地域の祭祀、宗教、神道、仏教。
そういったものを大事にしていくということです。
アメリカですと、やはりキリスト教的な伝統を大事にしようということに
なってきます。
ですから、自分の生まれ育った国や地域の文化伝統を重視するというのが、保守の考え方です。
●リベラル(左)
それに対して、文化伝統を軽視するというのがリベラルと言えるでしょう。
これは、世界市民思想の方向に行くわけです。
日本に生まれたというだけであって、日本人としてのアイデンティティーは別に大事ではない、自分は単に人類の一員だとリベラルの人たちは考えているので、“『日本』に住んでいるから私はこう考える”、“郷に入れば郷に従う”的な状況にははならないのです。
とはいえ、日本というのは、母国語として一生付いて回るわけですが、発想としてそういった方向に行くのがリベラルです。
つまり、文化伝統を重視する方向が保守、文化伝統というものを軽視する方向がリベラルと言えるでしょう。
2.経済について
●保守(右)
経済に関しては、保守というのは、やはり自由な経済が良くて、統制経済は良くないという考えになります。
そして、それが市場経済、厳密に言えば、
自由経済=市場経済
ではありませんが、人間が自由に活動して経済活動をしていくことは良いことである、その方が世の中全体が豊かになるという考え方です。
それはお金持ちから見て良い社会というわけではなく、貧困層の人もその方が結果として豊かになるという形で、これが自由経済重視、競争経済重視の市場経済となるわけです。
保守派は、それを重視して行こうということになります。
前述したように、
自由経済=市場経済
ではなく、
自由経済=市場経済+非市場経済
というものです。
例えば、家庭経済、ホームエコノミーというのは、市場経済ではありません。
お母さんが料理をして、家族に料理出したとき、家族はお金を払いますか?払わないですよね。
これは家庭内経済(非市場経済)ですから。
そこには、市場原理は持ち込まれていないわけです。
こういったものを含めて、人間が自由な活動をするというのが自由経済です。
人には、やはりこれが大事であって、その中で人間のいろんな創意工夫やイノベーション、革新が生まれて、世の中は豊かになっていくのだと考えるわけです。
そして、怠けてたら儲かりませんよ。
反対に、働き者は報われますよ。
それを良しとする考え方です。
●リベラル(左)
それに対して、リベラルは自由経済を軽視します。
経済は皆が平等主義の方が良いとして、働く人も働かない人も、能力のある人もない人も、一律に最低限の収入になります。
その代わりに福祉というものを保障していこうと考えます。
これは、自由よりも統制が大事、そして、
統制=安定
であるという考え方です。
逆に言えば、自由経済というのは自由であるということ、つまりは不安定です。
例えば、私が自由経済で企業を経営しています。
自分が会社の経営者なので、どんどん能力を発揮して、お金を稼いで良いとなります。
しかし、大不況が来れば失業して、社長といえども失業者になります。
これが不安定という解釈につながります。
自由ということは、裏を返せば不安定ということになるのです。
ですから、リベラルは、それよりも社会全体を統制して、安定させる方が大事だと考えるわけです。
つまり、リベラル(左)がみんなに福祉を約束するということは、大きな政府で税金もいっぱい取らなきゃいけない。
その分、社会全体が統制されていく。
そして国家が統制するということは、それは官僚が力を持つ、お役人が力を持つということです。
反対に保守(右)では、自由社会では起業して、自由に働いている人たちが一番力があると言う形になります。
自分で稼いだお金は自分で使う。
しかし、国家の一員である以上、最低限国家として必要な分は税金として払いますよ、というのが保守の考え方です。
3.国防について
●保守(右)
保守は、国家というものは、枠組みがしっかりしていて、外敵から国民を守らないといけないと考えます。
外国は、他国を侵略しようとして虎視眈々と目を光らせて爪を磨いている、そう考えます。
怖い国がいっぱいあるんだから、国防は重視すべきだということです。
●リベラル(左)
それに対してリベラルの人たちは、世界市民思想です。
保守に対して、世界はそんな危険な国ばかりじゃないよ、みんなで仲良くすれば良いと考え、軍事は軽視します。
軍事=国防を軽視するということになるのです。
<まとめ>
この傾向で見ていけば、大体どの国もそうだということが言えると思います。
だから保守というのは、文化伝統を重視し、そして、個人の自由を重んじて自由経済を重視しようということになります。
しかし、国防に関しては、しっかりやろうとなるわけです。
矛盾してるといえば矛盾しています。
自由経済が良い、大きな政府は嫌だ。
個人個人みんなが自由にして税金は少ない方が良いよね、と言っておきながら、でも国防問題は別だよ。
これは一見、矛盾してるように見えます。
ですが、そもそも、国という枠組みがしっかりしてないと自由な経済なんて保てません。
国の枠組みが無くなってしまい、外国からの侵略を受ければ、自由も何も無くなってしまうわけですから。
国防というものは、自由な経済を守るためにもしっかりしないといけない、だから、このような保守の考え方は矛盾してないのです。
そして、その逆がリベラルということになります。
自分が生まれ育ってきた国、あるいは地域の伝統を軽視するということ、それから経済は自由経済よりも統制経済が良い、安定したほうが良いという考え方です。
国防を軽視する、みんな仲良くすれば良い、そのような安易な平和主義、これもリベラルと呼んで良いと思います。
今回は政治思想の話をお読み頂きまして、有り難うございました。
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