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せいてんのへきれき   でも負けない

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2020年 作者の人生に起きた出来事を物語的にまとめています。
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せいてんのへきれき

せいてんのへきれき

4.母
右脳と左脳という言い方をすれば左脳は理性的に100%理解している。
その上でこれから自分や家族に起きる事、これから先何をすべきなのかを
しっかりと考えている。
右脳はそれを受け入れ切れていなかった。
これは夢に違いない、私にそんなことが起こるはずがない
むしろそんな風に考えることで私を護ろうとしているかのように

この感覚はあの時と似ている

半年前の2月2日、
電話が鳴った。
日本の兄か

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3.豚足野郎

『また逢おうね』
そう約束してエリカと別れた

1人車に乗り込み助手席のちいさな箱を見たとたん
あの豚足野郎が言った言葉を思い出して少し吐き気がした。

『私物を入れる良い箱を差し上げます。取っ手のついた使いやすい
とてもいい箱ですよ。』

『スタッフがお手伝いしますからこの部屋を出たら速やかに荷物をまとめてください。』

『あぁそれから、これより先社屋を出るまでは誰とも口を利かな

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1.晴天の霹靂ある日の夕方
いつもの営業会議に呼び出された。

会議室に行ってみるとかなり様子がおかしい
そこには居るはずのない人事部長がひとり座っていた。
彼は他の社員から『豚足野郎』と呼ばれ嫌われていた。

30分後小さな段ボール箱を抱えた見張り役に
付き添われて駐車場にいた。

自分の身に起きている現実が他人事のように
想えた。
悲しいとか悔しいとかそんな感情すらわかない。
体中が少ししびれ

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2.共感スタバにつくとエリカがいた。

彼女もあの会議室に呼ばれた一人だった。
わたしより先に席を立ちそのまま帰ってこなかった。

同じように自分の身に起きた現実を理解できないまま
私が連絡してくると信じて待っていた。
わたしもエリカが必ず私を待っているとわかっていた。
2人はコーヒーを手にしたまましばらくは何も話さなかった。

エリカと私はもう17年以上も同じチームで働いた
お互い言葉を交わさな

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