【短編小説】ハートのシャボン玉
ある晴れた昼。
うさぎは公園でシャボン玉を作っていた。
何度息を吹き込んでもうまく行かず、すぐに割れてしまう。
昼からはじめて気がつくと夜になっていた。
しかしうさぎは諦めずに膨らませ続けた。
月明かりに照らされた虹色の幕は、真円を通り越して大きなハートを形成した。
初めてできた喜びとあまりの可愛さにうさぎの目の中でそれは美しいプリズムに映っていた。
ハグがしたい。
小さな足にめいいっぱい力を入れてジャンプし、ハートに飛びついた。
しかし美しいものというのは脆いもので、一瞬で消えていく。
うさぎの心と一緒に破裂した。
月明かりの下、シャボン玉の残りがキラキラと月明かりに照らされてうさぎの上から降り注ぐ。
側からまたその景色は、虹と月か合わさって大変美しいものだった。
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