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二日酔い対策の商品を作って月商2000万円~このスモールビジネスの創業者が凄い

本文ほとんど無料で読めます。

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日本で一番スモールビジネス経営者を生むマガジン、SMBマガジン11回目です。

新たに立ち上げた「副業起業マガジン」、「令和の起業小噺」の執筆の方に時間を割いていて、SMBマガジンの執筆が少し時間が空きましたね。

各マガジンの具体的な役割分担なのですが

スモールビジネスマガジン(今見てるマガジン)の役割
・海外のスモールビジネス事例の解説をしながら普遍的な重要性を持つ事柄を理解する
・具体→抽象の思考法や具体例からのインスピレーションを受ける
・副業や起業のハードルを下げる

副業起業マガジンの役割
・副業の始め方や起業の仕方などノウハウを学ぶ
・実際に副業や起業をして、お金を稼ぐまでに失敗をしないために重要な知識を学ぶ
・スモールビジネスマガジンで具体的な事業例の知見を貯めて、副業起業マガジンでノウハウを学べばすぐにマネタイズできるように

令和の副業起業小噺
・上二つのマガジンに当てはまらないが、役立つ知識を学ぶ
・全てのことが学びになるという感覚を理解する

副業や起業に重要なのは最終的には”行動すること”です。ただ、知識面でのビハインドはせめて無くしておこうという思いから書いてます。

上3つのマガジンを腹落ちする読めば、副業や起業の失敗確率を下げ、失敗した時のリスクも最小化できるようにしていきます。

このあたりの詳しい説明は別の記事でお話できればと思います。

さて、今回は「ニッチへの気づきから始まった事業」について話していこうと思います。家族を養える程度の収益を稼げるニッチなんて無数にあります。

そんなニッチの中でも参入障壁があり、プロダクト力にこだわればここまで行けるんだ。という例を紹介します。

今回の創業者は今までで一番賢く、大胆で、運も兼ね備えた人物だと思います。そのため、学ぶべきところも非常に多く読み応えのあるコンテンツになってます。

2017年3月に発売してから、約10カ月で100万ドルの売上を達成し、2018年の年商は250万ドル(月商約200万ドル)のとんでもないプロダクトはなんなのか?

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日本への旅行経験から思いついた二日酔いビジネス

今回紹介する事業は、二日酔いの対策製品を販売する「Flyby」です。

ニューヨーク大学のEddieが卒業してすぐに創業した会社です。
Eddieが大学4年生のとき、日本への旅行中に出会った二日酔い対策商品(ウコンの力など)から市場の可能性に気付き、市場などのリサーチ後に創業を決めました。

日本では既にありふれた商品がどのようにして米国で売れていったのか?その過程をFlybyの創業から追いかけてみましょう。

Flybyとはどんなビジネスなのか?

Flybyは、人々が最高の自分になれるようなサプリメントを作ることに焦点を当てた、健康&ウェルネスのスタートアップです。

当社の主力製品は「フライビー・リカバリー」で、飲み会の後に立ち直るための薬です。この製品には、UCLAの支援を受けてJournal of Neuroscience誌に掲載された研究結果を持つ、当社独自のDHMエキスが使用されています。

また、第2弾として「Flyby Fuel」を発売しました。これは、砂糖、人工成分、添加物を一切使用していない電解質濃縮液で、最近の多くのスポーツドリンクに見られる不要なBS成分を含まずに電解質を補給することができます。飲むのにも、運動するのにも最適で、「ケト・インフルエンザ」を避けるためにケト・コミュニティの間で大ヒットしています。

2017年3月に発売し、約10カ月で100万ドルの売上を達成しました。現在は、トップレベルの小売店(Urban Outfitters、Anthropologie、American Eagle)で、月に20万ドル近い売り上げを達成しており、今年は250万ドルの売り上げを目指しています。また、新製品を発売して以来、常に40%以上のリピート購入率を記録しています。

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日本旅行中にウコンの力やヘパリーゼなどの商品を試したことが創業のきっかけに

ニューヨーク大学4年生のときに日本へ旅行したEddie。
夜に飲み会をしているときに友人が渡してきたボトルが二日酔い対策製品(ウコンの力やヘパリーゼなど)だったそう。

私が東京に来て初めての夜を過ごしたとき、友人たちは「5-Hour Energy」に似た小さなボトルをたくさん持ってきました。彼らの話によると、これらの治療法は翌朝につらい思いをしないために何世紀にもわたって使われてきたそうです。

アジア人の多くがそうであるように、私もアセトアルデヒド(アルコールの副産物で非常に有毒)を分解するのに必要な酵素を持っていません。この状態では、耐え難い二日酔いの原因となるため、私はすぐに売り込まれ、渡されたものを何でも飲みました。

日の出まで飲んだにもかかわらず、目覚めたときの気分は最高でした。その飲み物の中に何が入っているのかわからなかったが、興味をそそられたので調べてみることにした。

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東京の二日酔い対策ドリンクの画像検索結果

そして、アメリカに戻ったEddieはどのような製品なのかを論文や特許を調べ始めました。そして、摂取していた魔法の成分は、日本のレーズンツリー(Hovenia Dulcis)に含まれるDHMという化合物であるということを突き止めます

その後、気付けばDHM研究の第一人者に電話してアルコール科学について語り合ったそう。

日常から学びを得る姿(好奇心)と、行動力が優れている

好奇心と行動力ありすぎ!

旅行に行って、友達が自国では見たことの無いような飲み物を買ってきたら「なにそれ?」と聞くことぐらいはあるでしょう。なんかやべー飲み物だったら怖いし。

それで、「日本で昔から飲まれてる二日酔い対策のドリンクやで」って答えられたあとに飲みまくるのも分かる。

次の日起きてから「二日酔いじゃない!やべー!魔法の薬やん!」も分かる。

ただ、次の行動「よし、気になるし調べてみよう!」で論文や特許をリサーチするって普通に好奇心が凄くないですか?どれだけ普段二日酔いに悩まされてたんやと、そんなに飲むなよ、と。
普通だったら、「凄い!アメリカでも買えんかな?とかいっぱい買って帰ろう!」とか止まりじゃないでしょうか?

で、実際にアメリカに戻ってから主要成分を突き止めたと。ほうほう、良かったね。

でも、ここで止まらないのがEddie。その成分の第一人者に電話してる。しかも気付いたら。おそろしく速い架電、オレでなきゃ見逃しちゃうねと言わんばかりの速度。

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ハンターハンターより

成分のすばらしさだけでなく、市場調査,仮説検証も行う

Eddieなら、「DHM成分ヤバイ!気づいたら起業してた!」となる心配もありましたが、賢いEddieはキチンとリサーチもします。それも、ただGoogle検索をして「ほうほう、これくらいの市場規模なのか。」とただ落ちている情報だけを頼りにしたのではありません。

アルコール市場は330億ドルで、アルコールリカバリー製品の日本市場だけでも約2億ドルです。アメリカでは日本の7倍の市場規模がありますが、誰も効果的なソリューションを導入していませんでした。ほとんどの解決策は、古い妻の物語(犬の毛、朝のベーコンエッグ&チーズ)を中心としたものでした。二日酔いは、米国だけでも毎年1,700億ドルの生産性を破壊しています。


非常に驚異的な数字でしたが、私はまず、この製品の需要についての仮説を検証する必要がありました。そこで、Shopifyのプリセットテーマを使って、簡単なランディングページをデザインしました。モックアップの写真をアップロードし、テーマに付属するメールサインアップのランディングページ機能を使いました。

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私は結局、FB広告に100ドルを費やし、「アルコールとスピリッツ」に関連する購買行動を持つ人々をターゲットにしました。CPCは約0.3ドルで、約300〜400人の訪問者を自分のウェブサイトに送り、30人以上がサインアップしました(コンバージョン率は約10%。実際にコールドリードでかなりの数のサインアップを得ることができたので、市場が存在し、人々が興味を持っていることを確信することができました。

Eddie、恐ろしくクレバー。そこらへんに落ちている、だれのためにどんな手法でとられたか分からないデータを鵜呑みにするのではなく

自分自身のためにデータを収集することを始めました。と言っても、仮説検証に時間を掛け過ぎても意味がないのでshopifyでLPをつくりFB広告で検証するという非常に効率的なやり方で。

この、自分自身のためにデータを集めることの重要性とそのやり方については「NO FLOP」という本で詳しく説明されています。本当は皆さんに教えたくないぐらいの良書です。

製品の設計、プロトタイプの作成、製造のプロセスについて。

大学卒業後、すぐにFlybyを創業したのでサプリ業界についてはなにも知らなかったEddie。そのため、悪戦苦闘したようです。

大学を卒業してすぐにフライビーを始めたので、サプリメント業界の製造、サプライチェーン、オペレーションについてはほとんど知らなかったし、ましてや自分でビジネスをするなんて考えたこともありませんでした。そのため、確かに少しばかりの学習曲線がありました。

私はまず、FDAのウェブサイトでサプリメントの規制について調べ、FDAがcGMP(current Good Manufacturing Practice)規制と呼ぶものに出会いました。これは、消費者が製品の中身を正確に知ることができるように、製造者が製品の同一性、純度、強度、および組成をテストして評価することを要求するものです。

私はGoogleで検索し、1週間後にはcGMP認証を取得している米国のメーカー50社をリストアップしました。その中から、原料の調達先と製造能力を考慮して5社に絞り込みました。摂取するものだからこそ、有効性と成分のクリーンさを最優先しました。世の中の多くのサプリメントは、利益率を上げるために中国から仕入れた安価な原料や、人工的な充填剤、結合剤、保存料などが使われています。私たちは、そのようなものとはできる限り距離を置きたいと考えました。

メーカーに問い合わせたところ、ほとんどのメーカーがサンプル作成のために2,000〜3,000ドルの研究開発費を要求してきましたが、私にはそんなお金はありませんでした。そこで、自分が本物であることを示すために、巨大な販売チャネルを用意していること、製品を宣伝するための重要なマーケティングパートナーを確保していることなど、この製品が大成功することを保証するためにあらゆることをして説得した。

ほとんどの企業は理解してくれなかったが数社は、私が社内の博士と一緒に研究してまとめた製品仕様に基づいて、約100個のサンプルを無料で作成してくれた(送料だけは負担した)。

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リスクを最小限に抑えてスモールスタートする賢さ

下の記事でもパクるべきビジネスの条件の一つとして挙げている、"リスクが小さく始められる"をEddieはキチンと守っています。

「2000ドルから3000ドルのサンプル費用がかかります。」とほとんどの工場から言われてしまったら「まぁ、事業をするってことはそのくらいかかるか」と思って払ってしまう人は多いと思います。しかし、Eddieは交渉をして無料でサンプルを作ってくれる工場を見つける(作る)ことに成功します。

これは本当に凄い。私自身、交渉が面倒くさくて「どうせ利益出るしいっか」と思って交渉をしないことも多いのですがこのEddieの姿勢は学ぶべきですね。

プロダクト力を向上させ、リスクをとるときは大胆にとる

更に凄いのが、友人たちを使ってテストを行いプロダクト力に自信が持ててからは大学卒業後にためたお金約1万5000ドルを全額使って本発注を行う。

そして、その後無駄な出費を減らすために1年間は実家暮らしを続けたとのこと。

リスクを減らす努力を繰り返して繰り返して、極限まで減らしたところで最後は実際に試すしかないタイミングがくるのです。イケる!と思ったタイミングで適切なリスクテイクをする素晴らしい例ですね。

私は、この製品が本当に機能するかどうかを検証するために、できるだけ多くの「製品テスト」を行うという使命感を持っていました。大学時代はよく飲んでいたと思っていましたが、その4年間が恥ずかしくなるような月でした。私は常に友人たちを飲みに誘い、翌日にはサンプルを使った感想を詳細に記したアンケートを実施していました。

彼らはそれを気に入り、Flybyは本当に機能しているように見えました。その直後、私はすぐに最初の本格的な注文をし、製品の消費と販売に関してFDA(米国食品医薬品局)の規制に対応するためにコンサルタントを雇いました。結局、最初の注文には大学卒業後に貯めたお金(約1万5,000ドル)をすべて使いました

事態が本格的に動き出すまでの約1年間は実家暮らしでした。

ECサイトはshopifyを利用してほぼ自作した。

本発注の後に、8~10週間のリードタイムがあったのでECサイトを立ち上げる必要があります。

Shopify Expertsのデザイナーや開発者を探していたのですが予算に折り合いがつかずに結局自分で開発することに。PhotoshopやIllustratorなどのAdobeソフトの使い方に精通していたので自分で作って、小さなカスタマイズのみをフリーランスに依頼したそうです。
コレもめちゃくちゃ賢いやり方ですよね。

ぶっちゃけ、ネットに落ちてる情報だけでshopifyの構築なんてできますし、必要そうなアプリも把握できますよね。日本であれば、ラーンビズなどのサービスを利用して教えてもらったり、ちょっとした開発ならランサーズなどを使えばOKですし。

初心者の方は初期にほどお金はできるだけ使わない。ということを覚えておきましょう。(コンサル、情報商材含む)

製造注文をした後、8~10週間のリードタイムがあり、製品を正当化するためにウェブサイトと製品のブランディングを作成する必要がありました。

最初はShopify Expertsを使ってFlybyのデザイナーや開発者を探しました。当初はShopify Expertsを利用してデザイナーや開発者を探していましたが、独立採算制であるため、予算内で高品質なエージェンシーを見つけるのは非常に困難でした。幸いなことに、私はすでにPhotoshopやIllustratorに精通していましたし、Shopifyではテーマのカスタマイズが非常に簡単にできるので、最初のウェブサイトは自分で作り、小さなカスタマイズはフリーランスの開発者に依頼しました。

Webサイトを完成させるのにかかった費用は500ドル(約5万円)で、これは私のポケットマネーで賄いました。
この方法であれば、後から誰かを雇ってブランディングやウェブサイトをリニューアルすることができるので、立ち上げコストを抑えることができます(結局、立ち上げから1年後にリニューアルしました)。

発売後は、Product Huntなどのサイトに掲載し無料でのトラフィックを稼ぐ

サイト公開後の流入策として、FlybyではProduct Hunt(面白い商品などを紹介する掲示板サイト)を利用したようです。Product Huntへの投稿がプチバズって大きな反響を得たようです。

公開後すぐにトラフィックが集まって商品が売れ始めるのは理想的ですね。それも広告を使わず流入させれているので利益率もめちゃくちゃ高いです。

発売にあたっては、Product HuntにFlybyを掲載しました。この時、事態は大きく進展しました。一夜にして262件のアップヴォートを獲得し、Product Huntのデイリーニュースレターにも掲載されました。また、ブロガーや熱心な消費者、さらには投資家候補からのメールが私たちの受信箱に殺到しました。

この時、私たちは最初の大きな変曲点を迎えました。たった1つの投稿で、何万人ものビジターが当社のウェブサイトを訪れたのです。これが1ヶ月ほど続き、その後、Product Huntからのトラフィックが減少し始めました。

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Product Huntへの投稿

アーリーアダプターとしてフォロワー190万人の大物インフルエンサーとつながる

そして、1ヶ月ほど経過してProduct Huntからの流入が減少し始めているときに大物インフルエンサー@weworewhat(現在フォロワー270万人)とつながり、アーリーアダプターとなってもらえました。

そのことがきっかけで報道機関からの取材もあったりと社会的証明や権威性の獲得に成功しました。

結果として、発売後60日間で20万ドルの売上を記録します。

これは運の要素が強いため再現性があるかと言われると微妙ですが、少なくとも発売後60日間で20万ドルの売上というのはEddieの決断なしには到達できませんでした。なぜか?

リードタイムが8~10週間かかるため、本発注の段階で20万ドル以上の在庫をもつ必要があるからです(予約注文にしていたかもしれませんが)。つまり、本発注の段階でとったリスクが大きなリターンとして返ってきたわけです。

賢さと大胆さと運を兼ね備えてるEddie本当にすぎょい。

私たちは、@weworewhatさんに、サンプルが詰まった箱と個別のメモを送ることになりました。これにより、IGストーリーに無料で掲載され、社会的な証明となっただけでなく、主要な報道機関からの初めてのインタビューを受けることができました(IGストーリーを見た記者が連絡してきたのです)。

ロバート・チャルディーニは、著書『影響力の武器』の中で、社会的証明の原理を詳しく研究しています。

例えば、ある商品の購入を迷っているときに、「あなたが本当に好きな有名芸能人の名前を入れてください」と投稿されているのを見たら、その「芸能人」に見られるポジティブな属性が商品に伝わります。そうすれば、その製品が検証され、購入を迷っている人の背中を押すことになります。社会的証明には様々なものがあります(例:カスタマーレビュー、ソーシャルメディアでのフォロワー数の多さ、報道機関など)。

この記事は結局、主要なメディアに掲載され、発売後60日で10万人以上のビジターがサイトを訪れ、20万ドルの売上を上げることができました。

ちなみに「影響力の武器」はマジでおすすめです。読んでない人はヤバイです。続編の「PRESUASION」はあまり話題にならないんですが、これまた良書です。

発売後、顧客の獲得と維持に効果があったもの(以下有料)

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以下有料部分の内容ですが基本的に目次通りなんですが、ざっくり言うとこんな感じ

・FaceBook/Instagram/Google広告のコツ→ABテストやリタゲなど基本的な情報以外に2つ耳寄りな施策が。CVRが5~6倍になった手法や、直感に反するが効果の上がる手法を説明してます。
・メールマーケティングのコツ
・無料サンプルの効果
・Amazonでの販売について
・パートナーシップ契約について→マーケティングが面白い流石Eddie
・今後の見通し→現在の純粗利益率、ROASなどが公開される
・起業して役に立ったこと

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