読書メモ14 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 第9章
『世界は人間のためにできているのであり、人間が世界のためにできているのではない』(フランシス・ベーコンp.249)
こんな傲慢な言葉が信奉された社会があり、その言葉によって解き放たれた欲望が世界を動かした。
光
「ベーコンは、やがて科学的方法となるものの基礎の大要を述べ、この新しいアプローチをもってすれば、人間は自然を『征服して服従させる力』を手に入れ、『自然をその根底から揺さぶる』ことができる、と自慢げに語った。目標は、『人類の支配力を確立し、宇宙にまで拡張する』ことになる、と彼は予言した」(p.249)
「主体性は、自分を自然から切り離し、離れた所から観察し、『客観的知識』を積み上げ、『人間の帝国の版図を拡げる』」(p.249)
それが、400年にわたって行われて来た。 光
「『進歩の時代』のベーコンのアプローチは、無邪気に帰納的直線的であり、(今観ると)はなはだ青臭く見える。自然界は、さまざまな系が混ざり合い自己組織化し、進化する散逸的なパターンとプロセスを織り成し、地球の生命力を形作っていることが、今ようやくわかり始めており、それにふさわしい新たな科学的方法が生まれてきた」(p.250)
「レジリエンスに基づくアプローチは選択の余地を残す必要性、局地ではなく地域の視点から事象を眺め、不均質性を重視する必要性を大切にするだろう。
十分な知識があるという思い込みではなく、無知を認める態度が生まれる。
未来の出来事は予期されていないものになると考える。未来の出来事がどれほど意外な形を取ろうと、受け容れ対応するシステムを工夫する質的能力さえあればいいから」(p.252C.S.ホリング)
複雑適応系の探究
「・組織の根底のパターンから出現する系の属性を調べる。
・系の属性は相互作用の動的なパターンを通して現れる。
・閉鎖系から開放系へ。社会・生態系には明確な内側と外側がなく、すべての実体がつながっている。
・測定から把握と評価への知覚の転換。適応的で斬新な振る舞いや経路を予期する私たちの能力を助長する。
・観察から介入へーCAS[複雑適応系]では、観察者次第の系の境界を定める過程であり、客観的な観察によるものとはまったく違う介入を伴う」(p.260)
「科学的探究への複雑適応的社会・生態系のアプローチは、科学がこれまで求めていたほどの予測可能性を持たない。自己組織化系は時間と空間の中で拡がり、地球の各圏に及び、深い形で互いに影響を与え合っている。複雑適応的社会・生態系の考え方を応用するときに得られる最も重要な教訓は、『予測』への執着を部分的に捨て、『見込み』と『適応』で良しとするべきである、ということだ」(p.261)
ベーコンが解き放った【非物質的な主体としての心(p.249)】=【主客二元論の主体】は、客体から切り離されていた。
主体の居場所は侵される事の無い安全地帯であった。欲望を研ぎ澄まし、手段を講じさえすれば、どんな物でも、思いのままになる、ハズであった。
「知⁈恵⁉︎」さえあれば、切り取り放題の「パラダイス⁉︎」
人類は400年、愚かにも、その夢を追い続け、今になって崩れ落ちそうな【安全地帯】を目にして狼狽(うろた)えている。
光
「経済学は、もし生き残ろうというのなら、自然を『資源』と捉えるのをやめ、『生命力』として捉え直す必要がある」(p.257)
「人間」と「世界」は別々ではなく、「人間」は「世界」に埋め込まれている。その当たり前のことを、地球を散々に破壊してからようやく気付き始めた人間の愚かさ。行動を変えらない人間の愚かさ。
1、行動を変えることは出来るのだろうか?
2、愚かさを変えることは出来るのだろうか?
光
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