孤独ねグルメ 第四話

上井草
　
　

　

のんびりとした雰囲気だ
　

駅前でもごちゃごちゃしてない
住みやすそうな街じゃないか
こういう雰囲気は嫌いじゃない

　
　
　
　
上井草といえばガンダムだよな

電車の乗降音もガンダムのメロディーだった
　

制作会社があるんだったよな

　
　
　

　
お！ ここかな

う〜ん、アニメのポスターこそ貼ってあるけど
わかりにくい
　

まぁ観光地ってわけでもないしな
ここで皆さんは仕事をしているんだ

　
　
これからも宇宙を舞台にしたスケールの大きい作品
よろしくお願いします

　
　
　
宇宙の事を考えていたら
急に空腹感が増したな…

　
　
さっきちょっと果物をいただいたが…足りない！
　

俺の胃袋のブラックホールは空っぽだ

　
　
　
腹が
　
　

　

減った
　

　
　

　

　

　
　
　
店を探そう

　
どんな店があるだろう

…って、うわっ！
　
　

いきなり店があったぞ

　
　
なんか色々ごちゃごちゃしてるな
中華は悪くないけど…他も見てみるか
　
　

駅前にはいくつか店があったな
　
　
　

　
ガッツリ食べたいんだ
　
パンはちょっと違うだろ

　
　

とんかつもいいな
　

でもテイクアウト専門か
　
　
店で食べられるところは…
　
　
　

ラーメンか
　
　
いいけど…
　
　

他にもないかな

　
　
　
　
ん
　
　

　
　
　
大連家庭料理
　
中華だな
　
　
いいじゃないか

　
だいぶ奥の方にあって入口が暗いが…
　
　
11:57か、ぼやぼやしてたらランチ難民になってしまう
　
　
ここにしよう
　
　

カランコロン♪
　
　
店員“いらっしゃいませ
こちらにどうぞ”

　
　
あ、入口すぐの席に案内されてしまった
　
できれば奥の方がいろいろ見れてよかったのにな

　
　
先客は１人か
　
　
　

　
ランチ定食、かなり安いな
　
そこいらのチェーン店より安いんじゃないか
　

しかも種類が豊富だ

それでいてライスのおかわり無料か

こりゃガッツリ食えそうだ
　
　
　

　
こういうのもあるのか
　
すごいな
　
　

一品料理も色とりどりだ
　
　
　

食べ放題、飲み放題でこの値段
　
　
下戸に飲み放題はいらないな

　
食べ放題のみだといくらになるんだろう
　
　
　

　
店員“お待たせいたしました〜”

　
お？
　
先客はテイクアウトだったか

　
そういえば入口にも貼ってあったな

　
　
　
よし、やっぱりランチ定食だな
　
そして中華といえば
　
　

六郎“すいません、麻婆豆腐定食ください”
　
店員“はい、かしこまりました”

　
　
店員さん、女将さんかな？
少しカタコトだった
　
大連の方なのかな

　
　
カランコロン♪

　
他にもお客さんが来たな

　
すぐ奥に座るのか
　
　

　
カランコロン♪　
　
　
またそのすぐ奥に座った

　
　
　
　
入口の方から徐々に座るシステムなのか
　
みんな勝手がわかってる感じだ

　
　
一見さんは俺だけかな
　
　

　
店員“お待たせしました〜”

　
来た！
　

　

おぉ！ 鍋がまだグツグツいってるぞ

　

“いただきます”

　
熱そうだな〜
　
猫舌に耐えられるか
　

　
いや、麻婆豆腐を食べる時は
いつだってヤケド覚悟だ
　

　
井の尻尾三等兵、突撃します！

　
　
　
熱い！
　
トロッとした餡が舌にまとわりつく
　
噛んだ豆腐の中までアツアツだ

　
　
　
わかりきってた事だが
これが麻婆豆腐の得意攻撃だ
　
　
　
負けないぞ！
　
かなり熱いけど…

　
　
でも旨い
　
味がしっかりしていて
辛すぎないが
何口も食べ進めるうちにじんわり体が火照ってくる

　
　
いいぞ、麻婆豆腐のお手本のようだ

　
　
　
　
さすがに熱い
　
ちょっと箸休めだ
　
　
　

えっと、サラダ、漬物…
　
　

ザーサイって漬物なのか？
　
　
あとサラダはどこにも見当たらない

　
　
　
まぁこの値段だ
文句は言うまい
　
　
ザーサイ、いい箸休めになる

　
　
スープもあっさりしていてホッと一息だな

卵にわかめに小さい豆腐もあって具だくさんだ

　
　
　
店員“失礼しま〜す”

　
なんか遅れて来たぞ

　

サラダ…じゃないよな

　
これは、ゴマ団子か

　
　
ごまと揚げた油の香り
　
大連でも食べられてるのかな

　
　
中はあんこ
　
これは食後に食べるべきだった

　
　
　
　
しかし、まだまだアツアツだ

　
　
　
だが怯んではいられない

再び突撃だ！

　
　
あぁ、旨い
　
夢中で食べちゃうな

　
　
　
ご飯のおかわりするか

　
　
ちょっと店員さん忙しそうだな
　
タイミングを見計らって

　
　
六郎“すいません、ご飯のおかわりお願いします”

　
　
　
ふぅ、一時休戦だ

　
　
カランコロン♪

　
カランコロン♪

　
　
　
どんどんお客さん入ってくるな
　
地元に根ざしたいい店なんだな

　
　
　
店員“お待たせしました〜”

　
ご飯が来た

　
　
よし、一気に決着だ！

　
　
　
カランコロン♪

店員“すいません、今、席埋まってしまって…”

客“わかりました、また来ます”

　
あ〜、もう少し遅ければカタがついてたのに

　
　
　
　
　
　
　

はぁ〜　旨かった

“ごちそうさまでした”

　
　
　
カランコロン♪

店員“すいません、席埋まって…”

　
六郎“あ、もう出るんで”

　
店員“ありがとうございます、じゃあここの席にどうぞ”

　
　
　
　
レジが店の奥にある
　
やっと店の全貌が見えるぞ

　
　
　
ある程度間隔を空けてるが、
見事に席が埋まってる

　
　
店員“670円です”
　

伝票も何もなくてもわかるのか
ベテランのなせる技だな

　
六郎“どうも、ごちそうさまです”

　
　
　
　
　
あ、食べてる時は気づかなかったが
けっこう満腹だ
　
　
　

良心的な価格
　
優しい雰囲気の女将さん
　
ちゃんと美味しい味
　
近所に愛される店
　
　

　
いい出会いだった
　
　
　
　
　

やっぱり舌はヤケド気味だ…
　
　
でも意外と上顎はやられてない
　
　
　
この戦い、勝ちだな
　
　
　
　
　
まだ12:30か
　
　

　
太陽の優しさが温かい

　
　
　
　
　
ふぁ、帰って昼寝でもするか

　
　
　
　
　
第四話

杉並区上井草の愛される町中華