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『さよーならまたいつか!』 を聴いたら、故きを温ねて新しきを知りたくなった話。

こんにちは。
映画『ラストマイル』後にずっと聴いている主題歌である米津玄師さんの『がらくた』。作品の世界観にマッチしながらもいかようにも解釈できる歌詞にはまり、リピートが止まりません。同じく米津玄師さんの曲で通勤時に聴いているお気に入りの曲は、朝ドラテーマソング『さよーならまたいつか!』です。法曹界に飛び込んだ女性が困難に立ち向かうストーリーに合う当事者目線の曲に毎朝チカラを貰っています。先日対談番組にて、この曲には種田山頭火のオマージュととれる表現があることにに触れられていました。作詞において日本語や日本の文学を大切にされている魅力を改めて感じたら、わたしも今一度故きを温ねて新しきを知りたくなりました。そして、そんなわたしにピッタリの本を見つけました。



図書館で出会った「エコトバ」レーベル

  さあどんな文学を読みなおそうかと図書館を訪れたら、カラフルな表紙が目に入りました。それは分類としては名作・伝記・古典になる子どもたちから読める近代文学✕イラストのレーベル『エコトバ』というシリーズでした。

近代文学の名作が新進気鋭のイラストレーターさんたちとコラボして登場


  いわゆる教科書で読んだ作品や名作と呼ばれるもの自体が久しぶり。一気に読んで改めてこの6作品を新鮮に感じました。中学生や高校生が手に取る前提の企画でしょうが、イラストのチカラもあって大人のわたしも夢中で読ませていただきました。巻末の語句の説明がとても丁寧でわかりやすく、琥珀・翡翠・牡丹などの色の名はその色がカラーで記載されていました。


よだかの星』は宮沢賢治の名著。みにくいと言われた鳥が、イラストではキャンバスに描かれていました。絵筆をとる男性の心情が原作と重なり胸に迫るものがありました。

中島敦著の『山月記』は高校の国語で習いますが、ポップで現代的なイラストのインパクトのおかげでこの本ならスムーズに読むことができました。友に伝えるシーンがSNS風に描かれていて驚きました。

夏目漱石『夢十夜』は多くのクリエイターに今もなお影響を残している名作。この本では毎話黒いバックに白い文字でタイトルが入り、読み手に心の準備のような切り替えを促していました。おかげで今度はどんな話だろうと集中でき、さらに愛らしい絵で作品の重さや苦しさのようなものをマイルドにしてくれています。

ご存知『ごん狐』は小学校の国語で学びました。新美南吉作品として、『手袋を買いに』もこの本に収められています。なによりも擬人化されたようなイラストにより、ごんのあの悲しみがより悲しく伝わり、青い煙の余韻がいつまでも続きました。

国木田独歩による『画の悲み』は空の青さが印象的な明るい絵がより悲しみのコントラストを引き立てていました。写真とイラストの組み合わせも新鮮で、エンディングの「まばゆきばかりの景色」とラストの構図が見事です。

梶井基次郎『檸檬』は、憂鬱やいたずらな感情を表している本文に黄色い色彩や現代風の絵のタッチがなんともマッチしてました。檸檬の香りを表現するところが印象的です。さらに全くの偶然かもしれませんがこの作品に「がらくた」という言葉が登場していることに気づきました。

原文を文字のみで読み解くのも勿論素晴らしいと思います。今回このコラボシリーズを読んでそこに絵があることはミュージックビデオのようで、初心者のわたしの理解に役立ち、なにより手にするきっかけになりうると実感しました。この年齢だからこそ意味を実感するはじめて出会う“日本語”もありました。漫画や解説本も含めて、これからも古き良き文学を少しずつ自分なりに楽しんで読んでみたいと思います。




お読みいただきありがとうございました。






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