見出し画像

「させていただく」 がちょっぴり気になって。

こんにちは。
今週、急に気になる木が生えました。

こちらのnoteでも、古くから細々と続けている場所でもずっと記事の締めくくりには「お読みいただきありがとうございました」「読んでいただきありがとうございました」と書いてきた私。いただくは大丈夫かな。

そういえば、Twitterなどでも担当・公開・演出・応募の言葉の後ろにセットで「させていただく」がついていることがありますね。自分ごとである「卒業させていただきました」や告知の「受付を終了させていただきます」などは、これって正しいのかな?とちょっぴり気になります。

ってことで今回の週末noteは気になってちょっと考えてみた「させていただく」のお話です。


まずはやっぱり急がば図書館

疑問が湧いたら、急がば図書館とダッシュ。早速こちらの本を読みました。とっても読みやすく、正しいのか誤用なのか白黒つけるわけではなく言語学として説明してくれる一冊と出会うことができました。

ちなみに椎名先生は、『「させていただく」の語用論—人はなぜ使いたくなるのか』の書籍で有名な方。もう一つ『「させていただく」大研究』も以前雑誌[英語教育]の中で紹介されていたのを覚えています。ご覧のように、もうどんだけ「させていただく」を調べたのだろうと驚くラインナップ。

★この本を読んでなるほどなと気付きをもらったのは以下の3点です。

・ 「させていただく」は、不特定多数ではなくあなたという相手を認知している場合において違和感が少ない表現である。
・ ルーツはもしかしたら関西なのかもしれない
・ 謙譲語は相手に向かう敬意が含まれるが、丁寧さが自分に向かう丁寧語として捉えると「現代のコミュニケーションにおける相手との適切な距離」のために便利な表現である

このように、なるほどボタンがあったら何回でも押したくなる本でした。そうか相手が不特定多数の場合やお知らせなどに違和感があるのか。そういえば最近宣言型言い切りの形「させていただきます。」(キリッ)も確かに多いなと本文を読んで再確認。

この言葉は1870年にすでにあり、1990年代から増えた表現だそうです。だから比較的若い層ほど違和感をあまり感じないらしい。私も昭和ではさせていただくといえば「実家に帰らせていただきます」のイメージでした。今では誰もが使うある意味日本人らしい丁寧な表現なのかもしれないですね。


関西出身としてのなるほど

本を読んで「おっ」と思ったのは、先程挙げた3つのうちの1つ。そのルーツもしかして関西かもよ説。

確かに筆者が例として挙げている通り、関西では自分だけではなく他者に「させてもらう」をよく使います。先に帰るなら「ほな帰らしてもらいますわ」になり、道案内では「そこを右に曲がってもらって…」と言います。

さらにこれを受けて個人的に付け加えたい表現として「〜しはる」があります。活用形として「しはるから、しはってん、しはるやろ」と恐ろしくナチュラルに日々多用する関西人は、敬うべき他者との抜群の距離感を自然に保っている気がします。

現代においては、SNSやブログなどインターネット上での発言は誰が見ているかわかりません。ときには意図せず異なる見解が生まれることもあるでしょう。文字情報だけではうまく伝わらない例としてよく挙げられる「いいよ」も「結構」も2つの解釈がありますから。だからきっと直球をさけつつ、丁寧な気持ちを含んだ表現が広がり定着したのだと思います。

今回本を読んで、言葉とは時代で変わるものだと基本的なことも学びました。だとすれば、配慮ゆえの「させていただく」の発言は、たとえ違和感があってもそうかとふんわり受け止められそうです。



じゃあ時の流れに身をまかせて、このまま使っていこうかな。「させて」は入っていませんが、違和感がなくなるよう相手を認知して。


(縁あって読んでくれたあなたに)

お読みいただきありがとうございました。







この記事が参加している募集

推薦図書

最近の学び

いただいたサポートは娘達への図書カードに使わせていただきます。