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なぜ、人は健康診断前にだけ食に対してこんなにも向き合えるのか。



わたしは、ちょっとやりすぎたと反省している。

胃はきっと今この瞬間も「気持ちはわかるで、そやけど久しぶりだからってこれは多くないか?」と言いながら食べ物をせっせと消化してくれている。
うん。そりゃもたれる。王と名のつくハンバーガーショップで今だけオトクなビックサイズのランチセットを炭酸ドリンクと共にもりもり食べ、おやつにたった今バスク風チーズケーキを平らげたんだもの。実においしかった。


1年に1回のチャレンジが幕を閉じた。健康診断が終わった。

いつも通り苦手な採血に針を刺す前から怯えて顔をそむけたら、検査する方から「苦手なんですね」とにこやかに言われ、階段を上がってすぐの血圧計で深呼吸が足りず再測定となり、ピンクのいかにもな検査着を着て最後まで検査項目をただひたすらにこなした。せめて待ち時間を楽しもうと大きなポッケには文庫本。物語に集中しすぎて2回名前を呼ばれたりもしたが今年も無事に完了した。

普段からある程度健康には気を使っているけれど、通勤中の車内で飲むカフェオレがやめられない。ご褒美☆と言いながら頂いたお菓子などを無意識にもぐもぐ食しながら帰宅している。

そんなわたしが久しぶりにきっちり食と向き合った。健康診断というイベントに向けて2週間は油ものを避けてなぜだか緑茶を飲みまくってみた。1年を通じてやれば良いものを、この時期だけ取り組むのはやっぱり良くないなと思っていると、先日勤務先でこんな会話を耳にしたことを思い出した。


「おかわりはどうですか?今日は欠席があったから余ってしまって」とお昼ご飯の配膳を担当する方が聞いて回っていた。
すると遠くで「今日はやめておきます健康診断前なんで」と照れくさそうに答えた声が。おお!同士がいるじゃないか。

わたしだけじゃなかった。気にしている人はすぐそこにいるんだ!「健康診断」の威力をひしひしと感じた。なぜ、人は健康診断前にだけ食に対してこんなにも向き合えるのだろう。私の場合は、たとえばこんな理由がある。

◯ 記録に残るし結果を職場に出さなきゃいけないから。
◯ 昨年もがんばったから。やっぱいい結果だと嬉しい。
◯ 動かせない検査日が決定しているから。←ゴールが明確だからかも!


いやあもしかしたら検査して現状を知ったり早期発見に役立ったりする健康診断は、健康を意識する効果もあるのかもしれない。もしみんながわたしと同じようにこっそり取り組んでいたら。それだけでひそかな裏メニュー的な意味があってなんだか面白いな。もしかしてあの待機スペースにいた人の中にも、検診が終わったら何食べようと模索している人がいたりして。

やっぱり今日はいささか羽目を外しすぎた。心の満足度を求めたら胃が全くついてこなかった。からだは正直だ。でも気持ちはゴールテープを切ったような達成感がある。しかしこれではせっかくの2週間の努力がもったいない。あんなにたくさん緑茶を飲んだのに。

よし。これからはご褒美(やっぱり食べるんかいな)やハレの日ごはんの時と、体に優しいごはんの日のバランスに気をつけよう。そして2ヶ月に1回くらい自分だけが知る“健康診断かもしれない日”を設定してみたい。


全国に潜んでいる“今は気をつける期間”だと思って行動している人たちと心の中で勝手にハイタッチしながら。






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